経団連タイムス No.3047 (2011年6月30日)

世界経済フォーラム東アジア会議

−日本の復興について発信


「新たなグローバリズムへの対応」をテーマに
開かれた世界経済フォーラム東アジア会議

世界経済フォーラム(WEF)の東アジア会議が12、13の両日、インドネシアのジャカルタで開催された。今年の会議では「新たなグローバリズムへの対応」という総合テーマのもと、(1)グローバルなリスクへの対応(2)雇用の確保と包摂的成長(3)持続的成長(4)アジアの新しい規範の追求――をめぐって討議が行われた。

西田・小島両副会長が参加

経団連では、2月にASEANミッションがインドネシアを訪問した際のユドヨノ大統領からの参加要請に応え、西田厚聰副会長と小島順彦副会長が参加し、40カ国約600人の政界、産業界、市民社会を代表する参加者に対し、日本の震災後の状況を正確に伝えた。

開会式に登壇したユドヨノ・インドネシア大統領は、アジアは新しいグローバリズムの中心となって、市場や社会を開放すべきと語った。また、リー・シェンロン・シンガポール首相は、企業は繁栄を生み出し、その恩恵が可能な限り広範な人々に広がるように努めてほしいと述べた。

また、ユドヨノ大統領は、自身が主催したレセプションの開会あいさつで特別に日本について言及し、震災に対するお見舞いと日本の復興を確信するとの温かいメッセージを送った。これに対し、小島副会長が感謝の言葉を述べ、各国からの支援への謝意と復興への取り組みを紹介し、また、風評被害防止について各国の理解を求めた。

「グローバルな混乱に対処する」をテーマに行われた全体会合では、失業問題、食糧高騰、生態系の破壊などアジアのさまざまなリスクにいかに対応するかが議論された。西田副会長は、リスクの一つとして自然災害を指摘し、日本が復興過程で得るノウハウや災害に強いインフラ構築技術を各国と共有し、アジア全体の防災強化に貢献したいと述べた。あわせて、日本経済界による震災復興への取り組みやサプライチェーン(部品の供給・調達網)の着実な回復状況を紹介し、また、訪日観光の奨励について各国の協力を要請した。

今回のフォーラムでは、東日本大震災後の日本とアジアの成長戦略や協力の方向を少人数で議論するジャパン・ラウンドテーブルも開催された。アルミダ・インドネシア国家開発計画庁(BAPPENAS)長官による進行のもと、両副会長から震災復興における経団連の取り組みを説明するとともに、日本が災害の復興モデルとなりアジアとの協力を一層拡大・発展させたいと発信した。

アルミダ長官はじめ、マハティール・マレーシア国際貿易産業副大臣、曹愛華大連副市長らアジア各国の政府要人からは、日本の復興のパートナーとして工場やデータセンター建設地の提供の申し出が相次いであり、また、今後のエネルギー政策に関する議論の必要性が多数指摘された。

【国際協力本部】
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