経団連タイムス No.3048 (2011年7月7日)

改正鉱業法で説明聞く

−資源戦略をめぐる環境変化踏まえ意見交換も/海洋開発推進委員会総合部会


経団連は6月27日、東京・大手町の経団連会館で海洋開発推進委員会総合部会(山脇康部会長)を開催した。当日は、資源エネルギー庁資源・燃料部政策課燃料政策企画室の茂木正室長を招き、改正鉱業法について説明を聞くとともに意見交換を行った。
会合の概要は次のとおり。

■ 資源戦略をめぐる環境変化

石油、天然ガス、ベースメタル(銅、鉛、亜鉛など)、レアメタルなどの資源は新興国などを中心に世界的に需要が拡大し、価格が高騰している。国際的動向をみると、例えば産油国が世界全体の8割程度の石油資源を保有し、外資には開放していない。非鉄金属資源は少数の資源国に偏在し、特にレアアース(希土類)は中国が世界全体の97%を産出している。

こうしたなかで、わが国のエネルギー安全保障を強化するために、資源確保戦略、消費国間の連携、国内エネルギーの構造転換が必要である。資源確保戦略としては、資源外交の推進、JOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)法改正による探鉱・開発支援、鉱業法改正による国産エネルギーの確保・獲得が挙げられる。

■ わが国海洋資源のポテンシャル

わが国の海洋資源としては、海底熱水鉱床、コバルト・リッチ・クラスト、メタンハイドレート(注)、石油・天然ガスの賦存が期待されている。2009年3月に政府が策定した「海洋エネルギー・鉱物資源開発計画」では、海底熱水鉱床やメタンハイドレートを18年度までに商業化する道筋や技術開発が明示された。コバルト・リッチ・クラストは南鳥島の周辺海域に多く分布する。

(注)メタンハイドレート=天然ガスの成分であるメタンと水分子が結合した氷状の物質。次世代資源として注目されている

■ 鉱業法の改正

国際的な資源需要の増大、資源国の台頭、経済活動のグローバル化、開発技術の進歩等の環境変化を踏まえ、現行鉱業法を改正する。

1点目に、経済的価値がない場合や、公共の福祉に反する場合などを除いて排除できない許可要件を改め、技術的能力や社会的信用など、鉱業権の設定許可に係る許可要件を新設する。2点目に、先に鉱業権の設定を出願した者(日本国民または外資を含む日本国法人)が優先される先願主義を見直す。石油・可燃性天然ガスなどの重要な鉱物を「特定鉱物」として、一定期間に申請を受け付け、開発を最も適切に行うと認められる者に鉱業権を付与する。3点目に、現行鉱業法にはない資源探査規制を設ける。事前許可制を創設し、立入検査や罰則等の措置を講じる。

改正法は公布から6カ月以内に施行され、経済産業省では審査体制を強化する。

<意見交換>

「改正鉱業法の施行前に提出された申請はどう扱われるのか」という委員の質問に対し、茂木室長は、「未処理である7万件の鉱業権出願については、改正法の施行後に新しい許可要件を適用する」と答えた。

【産業技術本部】
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