経団連タイムス No.3054 (2011年9月8日)

春季労使交渉・協議に向けた検討を開始

−経営労働政策委員会


あいさつする米倉会長(左)と宮原委員長

経団連の経営労働政策委員会(宮原耕治委員長)は8月30日、東京・大手町の経団連会館で、今年度の第1回会合を開催し、2012年版経営労働政策委員会報告(以下、経労委報告)の作成方針(案)ならびに骨子(案)について、審議を行った。

経労委報告は、毎年の春季労使交渉・協議における経営側のスタンスを中心に、雇用・労働問題に関する経団連の基本的な考え方を示すものである。

冒頭、米倉弘昌会長があいさつし、「行き過ぎた円高、税・社会保険料負担の重さ、TPPへの取り組みの遅れ、労働規制強化の動きなどに加え、震災による電力供給の制約も新たな課題として重くのしかかっている」との厳しい状況認識を示したうえで、「企業の成長を通じた経済成長こそが雇用を生み、国民の生活を豊かにするということへの理解を求めるとともに、企業を取り巻く環境がいかに厳しくなっているかという実態を広く国民に伝える必要がある」と述べた。

続いて、今年から委員長に就任した宮原副会長があいさつし、「国際競争において、わが国企業が大変厳しい状況に置かれていることを、強く訴える必要がある」と述べるとともに、「職場ではますます多様な社員が働くようになり、経営のグローバル化を一層進めるうえでの基盤づくりも問われている。こうしたさまざまな変化を踏まえた今後の人材戦略についても、課題や望ましい方向性を提示したい」との考えを示した。

その後の審議では、各委員から「日本はこれまでにないほどの危機に立たされており、国内の経営環境の大転換を図らねばならない」など、国内における企業活動の厳しさを指摘する発言が多く出された。あわせて、「企業の成長による経済成長の延長線上にこそ、雇用の創出がある」との意見が相次いだ。

また、「中小企業の経営は非常に厳しく、この問題をしっかりとらえていくことが重要である」など、地方や中小企業の厳しさを強く打ち出すべきとの意見が出された。

あわせて、「震災からの復旧における労使の取り組み、日本の現場力やチーム力など、世界に誇れる日本企業の強みを総括する必要がある」など日本企業の長所をさらに強化すべきとの意見や、企業の人材戦略に関して、「激化するグローバル競争に勝ち抜くための戦略を打ち出すべきである」との意見などが出された。

今後は10月、12月に会合を開催し、12年1月下旬に12年版経労委報告を取りまとめて発表する予定である。

【労働政策本部】
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