経団連タイムス No.3055 (2011年9月15日)

「子ども・子育て新システムに係る中間とりまとめ」に基づき意見交換

−少子化対策委員会


経団連の少子化対策委員会(前田新造委員長、伊藤一郎共同委員長)は5日、東京・大手町の経団連会館で会合を開催し、村木厚子内閣府政策統括官(共生社会政策担当)ら政府担当者から、幼保一体化の制度設計等に関する検討状況を聞き、意見交換を行った。
概要は次のとおり。

■ 検討状況説明

7月27日に「子ども・子育て新システムに係る中間とりまとめについて」を少子化社会対策会議(全閣僚で構成)で決定した。「中間とりまとめ」は、新システムの全体像、幼保一体化を中心とした給付設計、質改善(機能強化)のあり方等、これまでの議論の到達点を中間的に整理したものである。今後に残された課題は、(1)費用負担のあり方(2)国における所管のあり方(3)ワーク・ライフ・バランスのあり方(4)国の基準と地方の裁量――などであり、関係者との協議を進めつつ、今秋には検討を再開したいと考えている。

新システムとは、現行の教育・保育サービスを抜本的に見直し、子育てを社会全体で支援するとの理念のもと、幼保一体化を進め、質の高い幼児期の学校教育・保育を一体的に提供するものである。また、客観的基準を満たす優良なサービスに給付を行う仕組みの導入を検討している。

「中間とりまとめ」では、新システムに必要な費用の総額について、推計を行った。現状では、現金給付に約4兆円、保育サービス等の現物給付に約2兆円かかっているが、今後現金給付が減る一方、保育サービスは毎年1000億円ずつ増える。さらに保育の量的拡充とともに、職員配置の充実などの質の強化を含めると、追加所要額として2015年には1兆円超が必要であるとの試算が示された。

これに対して、社会保障・税一体改革成案では、税制抜本改革により約7000億円を充てるとともに、さらに税制抜本改革以外の財源を含め1兆円超程度の措置を今後検討することが明記された。今後、税制抜本改革に係る法案提出とともに、早急に新システム法案を提出し、恒久財源を確保したうえで、施行する考えである。

■ 意見交換

続いて行われた意見交換では委員から、「震災後、企業は国内立地を見直すなど未曾有の危機に直面しつつも雇用維持に向け必死に努力している。また、各社で実情に応じワーク・ライフ・バランス施策を推進している。そのような企業の努力を勘案したうえで、負担のあり方を議論してほしい」「0〜2歳児の受け入れ義務を伴わない幼保一体化で、本当に待機児童対策となるのかが疑問」「株式会社が総合施設の認可を受けられないとなると、民間の新規参入は進まないのではないか」との意見があった。

これに対し、村木統括官からは、「社会保障と税の一体改革における追加所要額1兆円超は、公費ベースの話である。企業の事業環境の厳しさは十分に承知しているので、一方的に企業に大きな負担を強いるつもりはないが、一方で、消費税で付け替えるような財政状況ではないので、応分の負担はお願いしたい。いずれにせよ、今後十分ご相談したい」「待機児童対策は、指定制の導入により、認可外の小規模保育等にも財政支援を行うことで解消したい」との回答が示された。

【経済政策本部】
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