経団連タイムス No.3056 (2011年9月22日)

枝野経産相と懇談

−震災復興、円高、エネルギー、税など


経団連(米倉弘昌会長)は20日、都内で経済産業省幹部との懇談会を開催した。懇談会には、経産省から枝野幸男経済産業大臣、松下忠洋経済産業副大臣、牧野聖修経済産業副大臣、柳澤光美経済産業大臣政務官らが、経団連から米倉会長、副会長、評議員会副議長らが出席した。

発言する米倉会長(左)と枝野経産相

冒頭あいさつした米倉会長は、東日本大震災からの復興が最優先課題と位置付けたうえで、枝野大臣はじめ政府一丸となった取り組みに期待を示した。また喫緊の課題として、世界経済の先行きに不透明感が増すなか、歴史的な水準にある円高や法人税等の公的負担、経済連携への取り組みの遅れがあり、経済の再生を阻んでいるとした。とりわけ経済連携の推進は、産業空洞化の回避や雇用の確保のためにも必要不可欠で、機を逸することなくTPP(環太平洋連携協定)への参加を表明すべきと指摘した。また、経済界自らも行動を起こしていかなければならないとして、「未来都市モデルプロジェクト」等を推進するとの発言があった。

続いてあいさつした枝野大臣は、短期的な課題として震災からの復旧・復興と原発事故の収束という大きな課題があり、第三次補正予算の編成などを急ぎたいとした。また、もう一つの短期的課題として円高への対応があり、立地補助金など大規模で思い切った対策を実施するとともに、投機的な動きに対しては財務省、日本銀行などと連携していきたいと述べた。

さらに、中長期的には日本の経済社会の活力を取り戻すため力を注いでいくとして、競争力と付加価値の向上に向けて事業環境を整備していく旨の発言があった。

意見交換では、経団連側から、「震災復興のためには復興庁、復興特区の一日も早い実現が重要」(岩沙弘道副会長)、「現下の円高は産業空洞化を加速させる要因となっており、工場の立地補助金の大幅な拡充や、行き過ぎた円高について為替介入を断続的に行うことも必要。国内景気の不透明感を払拭するためにも経済成長への期待を高めることが不可欠で、成長戦略を迅速かつ着実に実行すべき。民間が創意工夫を活かしていけるよう規制改革を推進してほしい」(西田厚聰副会長)、「企業が生産計画や投資計画を立てられるようエネルギー供給の見通しを明らかにすることが必要で、エネルギー需給安定策の工程表を速やかに具体化すべき。今般のエネルギー政策の見直しに伴い、温室効果ガス削減の中期目標も見直しが求められる。政府一体となって進めてほしい」(坂根正弘副会長)、「少子高齢化が進むなか、社会保障制度の持続可能性を高めることが急務で、そのためには消費税率の10%までの増税の時期を2015年度と明確にすべき。日本の立地競争力を高めるため、平成23年度税制改正法案に盛り込まれている法人実効税率の5%引き下げを成立させ、その後も主要国並みの30%、最終的にはアジア近隣諸国並みの25%程度まで引き下げることが必要」(畔柳信雄副会長)などの発言があった。

【産業政策本部】
Copyright © Keidanren