経団連タイムス No.3056 (2011年9月22日)

「平成24年度税制改正に関する提言」公表

−経済活力に配慮した復興財源の議論を


経団連は14日、「平成24年度税制改正に関する提言」を公表し、当面の税制上の課題に関する経済界の考え方を示した。概要は次のとおり。

1.復興財源論と平成23年度税制改正における残された課題

まずは第3次補正予算の所要額を十分精査する必要がある。そのうえで、行政改革や税外収入の確保に最大限取り組み、それでも財源が足りない場合は復興債を発行することもやむを得ない。復興債の償還財源については基幹税への増税が検討されているが、必要額や経済への影響、企業の国際競争力等を踏まえれば、消費税を選択肢から外すべきではない。

震災後、電力供給不安や円高により国内の立地環境が急速に悪化しており、まずは法人実効税率の5%引き下げを早急に実現する必要がある。復興債の償還財源として法人税に負担増を求める場合は、平成23年度税制改正における法人税改革を一体として成立・施行したうえで、法人実効税率の5%引き下げに伴うネット減税分を限度として付加税を時限的(3年以内)に課す方式などをとるべきである。単純に現行制度に付加税を課すなどの純増税は絶対に容認できない。

2.税制抜本改革

わが国の財政状況は、一段と深刻さを増している。国・地方を合わせた政府の長期債務残高はすでに先進国の中で最悪の危機的な水準に達しており、歳出・歳入両面からの改革を通じた財政健全化は喫緊の課題である。また、本格的な少子高齢化、人口減少社会が到来しており、社会保障制度の持続可能性に対し、国民の多くが将来に不安を抱いている。さらに、グローバル競争が激化するなかで、持続的な成長と国内での雇用確保に懸念が持たれている。

このような将来不安、閉塞感を払拭し、再び経済を成長軌道に乗せ、豊かで明るい国民生活を実現するためには、税制抜本改革の実現が不可欠である。平成21年度税制改正法附則第104条の要請に基づき、各税目について以下の具体化を行いつつ、今年度中に法制上の措置を講ずる必要がある。

  1. (1)消費税を社会保障給付費に充てる方針を明確化したうえで、国・地方を合わせた税率を2015年度までに10%まで段階的に引き上げ
  2. (2)法人実効税率を最終的にアジア近隣諸国並みの25%まで速やかに引き下げ
  3. (3)給付付き税額控除を導入し、子育て世帯や低中所得者層を重点的に支援。そのためのインフラとして社会保障・税共通番号を早期に導入
  4. (4)経済活性化の観点から資産課税(相続税・贈与税)につき総合的な検討
  5. (5)地球温暖化対策税の導入反対、税制のグリーン化の推進
  6. (6)自動車・燃料関係諸税の簡素化・負担軽減

3.平成24年度税制改正に関する提言

経済活力の維持・向上に向けて、平成24年度税制改正においては次の措置を講ずるべきである。

  1. (1)研究開発促進税制の本則化・恒久化、特に総額型の税額控除限度額については法人税額の30%とし恒久化
  2. (2)原料用ナフサおよび原料炭に係る免税・還付措置の本則化・恒久化 等
【経済基盤本部】
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