経団連タイムス No.3059 (2011年10月13日)

第2回アジア・ビジネス・サミット開催

−地域経済統合やイノベーションの推進など


サミットで採択された共同声明は米倉
会長から野田首相(右)に手渡された

経団連(米倉弘昌会長)は9月29日、東京・大手町の経団連会館で第2回アジア・ビジネス・サミットを開催した。当日は、アジア11の国・地域から13経済団体(注)の首脳が出席。討議の結果採択された共同声明を、米倉会長が野田佳彦総理大臣に手交した。

■ サミットの開催趣旨

現下の厳しい経済状況を克服するためには、潜在的な成長力を有するアジアが世界経済を牽引していく必要がある。一方、アジアがその潜在的な成長力を十分に発揮するためには、地域経済統合の推進、環境・エネルギー対策、イノベーションの推進、インフラ整備、域内の金融協力等の課題にアジアの経済界が協調して取り組み、持続可能な成長に向けた環境整備を図ることが求められている。このような認識に基づき、「アジアの経済界としてどのような貢献ができるのか」をテーマに、昨年3月に引き続き、第2回アジア・ビジネス・サミットを開催した。

■ 討議概要

討議の内容は次の4点に集約される。

  1. 地域経済統合を進め、より開かれたビジネス環境を構築する。APEC規模の経済統合であるアジア太平洋自由貿易地域(FTAAP)を実現する道筋として、各国・各地域の事情とニーズを勘案しながら、ASEAN+6による経済連携協定やTPP(環太平洋連携協定)等の実現に向け、連携して取り組みを強化する。
  2. イノベーションを推進することで、付加価値の高い製品、技術、新しいビジネスモデルを生み出し、世界に展開する。そのために、優秀な人材の自由な交流、域内の規格・技術の標準化等を推進する。
  3. 豊かな生活・産業基盤を構築すべく、インフラを重点的に整備する。PPP(官民連携)スキームによる民間の技術・ノウハウの活用、二国間オフセット・メカニズムの導入による環境に優しいインフラの普及、インフラ整備を資金面から支える金融協力を推進する。
  4. 東日本大震災の経験を踏まえ、アジア域内のサプライチェーンの強化、防災等の課題について協力する。

以上に沿って共同声明を取りまとめ、レセプションに来席した野田総理大臣に米倉会長より直接手交した。野田総理からは、「震災復興、世界経済の回復には民間の力が不可欠であり、一丸となって元気なアジアをつくっていこう」という力強い激励が寄せられた。

■ 今後の対応

今後、共同声明に盛り込まれた事項を実現するため、11月のAPEC首脳会議ならびに東アジア・サミット等に向けて発信する予定である。また、わが国経済界としても、共同声明の趣旨に沿って、国内の震災復興に努めるとともに対外関係に力を入れ、特に、アジアの成長に貢献するため、官民連携でパッケージ型インフラの輸出を推進していく。

なお、第3回アジア・ビジネス・サミットは、タイ商業・工業・金融合同常任委員会の主催により、来年、バンコクで開催する予定である。

11の国・地域から13経済団体の首脳が参加した
第2回アジア・ビジネス・サミット
(注)中国国際貿易促進委員会、中国企業連合会、インド工業連盟、インドネシア商工会議所、全国経済人連合会(韓国)、マレーシア日本経済協議会、比日経済委員会(フィリピン)、シンガポール経団連、東亜経済会議台湾委員会、工商協進会(台湾)、タイ商業・工業・金融合同常任委員会、ベトナム商工会議所、経団連
【国際協力本部】
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