経団連タイムス No.3060 (2011年10月20日)

安住財務相との懇談会開催

−成長戦略、社会保障と税財政一体改革、TPPなど


米倉会長
安住財務相

経団連(米倉弘昌会長)は12日、東京・大手町の経団連会館で安住淳財務大臣との懇談会を開催した。財務省からは安住大臣をはじめ、五十嵐文彦副大臣、藤田幸久副大臣、三谷光男大臣政務官らが、経団連からは米倉会長をはじめ、副会長、評議員会副議長らが出席した。

冒頭、米倉会長は、震災からの復興への取り組みが遅れるなかで、行き過ぎた円高や海外経済の減速懸念など、わが国経済を取り巻く環境は一段と悪化していると指摘。震災復興や円高対策等を含む第3次補正予算を速やかに成立させるとともに、社会保障と税財政の一体改革や成長戦略を着実に進めることを求めた。

続いて安住財務大臣から、「法人税に関しては法人実効税率を5%引き下げることとし、これからも企業の日本に根付いた活動を期待している。ただし、復興財源を確保するうえで、将来世代にツケを残さず、財政規律を維持することも重要と考えており、今後3年間は法人税も貢献いただきたい」「財政健全化に関し、国の予算は歳出面で社会保障関係費、国債の利払い費、地方交付税交付金等だけで7割を占め、硬直化している。歳入面でも少子高齢化が進むなか、今後も所得税に依存するのは厳しい。したがって、歳出面では予算編成時に効率的な組み替えを行いつつ、歳入面では直間比率を見直し、消費税を含む税制抜本改革を行うことが極めて重要である」「TPP(環太平洋連携協定)への参加は、開かれた日本としていくために必要であり、そのメリットをわかりやすく国民に説明するとともに、痛みを伴うところに対しては温かい手を差し伸べることもあわせて求められる」との発言があった。

<意見交換>

意見交換では、経団連側から、「景気の下振れリスクを軽減し、持続的な経済成長を実現していくためにも、第3次補正予算を早急に取りまとめ、スピード感をもって執行することが重要である。さらに今後の成長の道筋として、震災復興と成長戦略の一体化を図りつつ、日本企業の強みの発揮と世界との連携を軸にした政策を推し進めるべき」(大橋洋治副会長)、「社会保障と税財政一体改革については、消費税率の10%までの引き上げ時期を2015年度と明確化するとともに、社会保障給付の効率化、重点化への取り組みを一層強化する必要がある。その際、自助の拡充とあわせて、公助である税の負担割合を増やし、自助、共助、公助のバランスの最適化が求められる」(畔柳信雄副会長)、「TPPへの参加については、米国ならびに成長著しいアジア地域との連携強化により、わが国の戦略的地位が高まる。残された時間は限られており、政治の強いリーダーシップの下で早期に交渉参加を決断すべきである。あわせて、強い農業の実現に向けた着実な改革が求められる」(勝俣宣夫副会長)などの発言があった。

【経済政策本部】
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