経団連タイムス No.3060 (2011年10月20日)

モレイラ欧州議会国際貿易委員長一行と懇談


モレイラ委員長(中央)と握手する米倉会長(右)
と横山共同委員長(左)(3日、経団連会館で)

経団連の米倉弘昌会長、横山進一ヨーロッパ地域委員会共同委員長は3日、東京・大手町の経団連会館で、EUの通商政策の決定において重要な役割を担う欧州議会国際貿易委員会のヴィタール・モレイラ委員長一行と日EU経済統合協定(EIA)等をめぐり懇談した。発言概要は次のとおり。

■ モレイラ委員長

前回2月の訪日後、日・EU間では二つの特筆すべき進展があった。一つは、5月の定期首脳協議において、スコーピング作業(交渉の範囲および野心のレベルを定めるための議論)を開始することになった。交渉開始を目指した内容の報告が取りまとめられることを期待している。もう一つは、同じく5月に、協定締結について同意権限を持つ欧州議会として、日本との協定締結が通商関係の深化にとってメリットがあるとの判断から、条件付きながら、議会としてイニシアチブをとるべく決議を採択した。協定は、サービス、投資、知的財産、公共調達を含む包括的なものであると同時に、貿易障壁となっている非関税措置の撤廃、基準の調和を含めた野心の高いものでなければならない。

■ 米倉会長

7月に経団連ミッションの団長として欧州を訪問して、日本との協定交渉の早期開始を働きかけたところ、各国の姿勢が従来に比べて前向きになっていることを実感した。他方、交渉開始には日本の非関税障壁の撤廃が条件であると言われた。しかし、かつてとは異なり、現在の規制は安全性の確保など正当な理由に基づくものが多い。したがって、外国から見た障壁を取り除くためにはそれなりの時間が必要である。そこで7月のミッションでは、産業界同士の対話を通じてWin‐Winの解決策を追求してはどうかと提案したところ、各国首脳から賛意を得た。スコーピング作業を成功裏に終了させ、速やかに交渉を開始できるよう、経団連として引き続き、産業界同士の対話等を働きかけていきたい。

また、2020年のアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)実現を目指して、日中韓自由貿易協定、ASEAN+6(注)を推進するとともに、環太平洋連携協定(TPP)交渉への参加を働きかけている。FTAAPにEUとの協定を合わせれば、世界のGDPの90%近くをカバーする自由貿易圏が形成されることになる。そのような構想を抱きながら、EUとのEIAも推進していきたい。

(注)ASEAN10カ国に日本、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドを加えた協力の枠組み

<意見交換>

国際貿易委員会一行からは、そのような意図をもってつくられた法規制でなくとも、保護主義的に運用されているケースがあるのではないかといった指摘があった。これに対し、経団連側からは、実態を踏まえた根拠に基づく議論が必要と指摘するとともに、自由な競争はイノベーションを促し、消費者に便益をもたらすことを強調した。

【国際経済本部】
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