経団連タイムス No.3061 (2011年10月27日)

提言「公正取引委員会審判制度の早期廃止を再び求める」公表

−独禁法改正法案の速やかな審議・成立による審査手続き適正化を


経団連は18日、提言「公正取引委員会審判制度の早期廃止を再び求める」を取りまとめ公表した。

独占禁止法改正法案は、経済界が長年主張し続けてきた公正取引委員会による審判制度の廃止、ならびに独禁法の手続き適正化にかかる重要な内容を含んでいるにもかかわらず、昨年3月に国会に提出されて以来一度も審議されていない。近年の改正によって、課徴金制度の対象範囲の拡大や課徴金額の増額、課徴金減免制度の導入等、独禁法の執行が大幅に強化されていることとのバランスを取る観点からも、改正法案の速やかな審議と成立により手続きの適正化を実現することを、改めて求めることとした。提言の概要は次のとおり。

1.審判制度の廃止

公取委は独禁法違反の疑いが生じると、審査手続きを経て排除措置命令や課徴金納付命令を出す。当事会社はその命令に不服があれば審判の申し立てを行うが、この審判の担い手も公取委である。つまり、公取委が下した行政処分について、その適否をさらに同じ公取委が判断するという、いわば同一機関が検察官と裁判官の役割を兼ねるかのような仕組みである。これは国内外の行政機関にも例がなく、公平性・中立性の観点から大きな問題がある。

独禁法改正法案には、行政処分取消訴訟を東京地方裁判所に直接提起できるようにすることのほか、処分が下される前の手続きについても、証拠の閲覧・謄写や当事者に対する説明等の充実など、従前以上に適正手続きに配慮した改正も含まれている。独禁法運用の透明性向上の観点からも、早急に改正法案を審議・成立させることを求める。

2、審査手続きの適正化

わが国独禁法の手続きにおいては、例えば、自己負罪拒否特権(自己に不利益な供述を強要されない権利)、立入検査や供述聴取等における弁護士の立会権、弁護士と顧客事業者との間の法律相談を含めたメールや文書などに関する秘匿特権など、海外では当然に認められているような、被調査者を保護する重要な権利が認められていない。

今後は国際的な事件の調査が一層増えることや、現在、刑事手続きの適正性を担保するため、取り調べの可視化の是非について議論されていること等に鑑みても、審査の適正化を進めていくべきである。

この点、前述の改正法案の附則において、法案の公布後1年を目途として審査手続きの見直しが検討されることとなっているが、この検討の場は中立性・公正性を担保するため、公取委以外に設け、さらに、実際に審査の対象となる企業の声が適切に反映されるよう、検討メンバーについても十分な配慮が求められる。

提言本文は、ホームページ(URL=http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2011/099.html)に掲載。

【経済基盤本部】
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