経団連タイムス No.3062 (2011年11月3日)

玄葉外相との懇談会を開催

−TPP交渉をはじめとする経済連携強化の重要性や地球温暖化問題など


あいさつする玄葉外相

経団連(米倉弘昌会長)は10月24日、東京・大手町の経団連会館で玄葉光一郎外務大臣との懇談会を開催した。外務省からは玄葉大臣をはじめ、山口壯副大臣、中野譲大臣政務官らが、経団連からは米倉会長をはじめ、渡文明評議員会議長、副会長らが出席した。

米倉会長、玄葉大臣あいさつ

冒頭、米倉会長は、わが国経済を取り巻く環境が一段と厳しさを増すなか、日本経済の真の復活と再生を実現するためには、高いレベルの経済連携をスピード感をもって推進していくことが重要と指摘した。特に、TPP(環太平洋経済連携協定)に関しては、交渉参加国が11月のハワイでのAPEC首脳会議における大枠合意を目指しており、もはや待ったなしの状況にあると述べたうえで、政治の強いリーダーシップの下、機を逸することなくTPP交渉への参加を決断してほしいと求めた。

これに対して玄葉大臣は、日本の少子高齢化が進むなか、逆転の発想に立って戦略を打ち出すべきであり、アジア太平洋地域40億人の内需を日本の内需と考え、外に目を開いて、大局的な判断を示す時が間近に来ていると述べた。

<意見交換>

意見交換では、経団連側から4名の副会長が発言した。まず、勝俣宣夫副会長が、これまでわが国は自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)への取り組みで韓国はじめ諸外国に大きく後れを取っているが、こうした遅れはアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の基礎となるTPPへの参加で一気に取り戻せると指摘。そして、21世紀型の高いレベルの新しいルールづくりを目指すTPPにわが国が参加しないという選択肢はあり得ず、TPPへの参加を通じて日米関係の強化、アジアとの連携強化、アジアにおける安定的な秩序づくりへの貢献が期待できるとして、早期にTPP交渉への参加を表明するよう要望した。

続いて大橋洋治副会長が、TPPと並行してASEAN10カ国に日中韓、豪州、ニュージーランド、インドの6カ国を加えたASEAN+6の実現が必要であり、それに先立って、まず日中韓FTAを締結することが重要と述べた。あわせて、今年7月からEU韓国FTAが発効していることから、日EU経済統合協定(EIA)交渉の開始が喫緊の課題であり、経団連では、業界対話の推進によりEU側の関心事項である非関税措置問題の解決を図り、早期交渉開始を後押ししていきたいと述べた。

川村隆副会長は、アジアのインフラ整備に向けて、(1)パッケージ型インフラの海外展開の推進(2)PPP(官民パートナーシップ)の推進(3)二国間オフセットメカニズムの導入(4)ODAによるミャンマーのインフラ整備――の4点を要望。アジアにおけるインフラ整備への協力は、震災復興と並んでわが国経済成長の重要なエンジンであることから、インフラ整備に貢献する姿勢を東アジア・サミット等の場で明確に打ち出すよう要望した。

坂根正弘副会長は、地球温暖化問題に関し、来る気候変動枠組条約第17回締約国会議(COP17)でも引き続き、すべての排出国が参加する公平で実効性ある国際枠組の構築を目指すよう要望した。また、COP17までに温室効果ガス削減25%目標を見直すことが最も望ましいが、少なくとも25%削減という数字だけが種々の前提条件を離れて独り歩きすることのないよう十分留意する必要があると指摘した。

これに対して玄葉大臣は、経済連携は順番が大切であり、まずTPPを先に行うことでASEAN+6、日中韓FTAの双方にプラスに働くとの見解を示した。また、アジアにおけるパッケージ型インフラ整備のトップセールスをしっかりやっていきたいと表明するとともに、地球温暖化問題については、すべての主要排出国が参加する、法的拘束力のある枠組みづくりが必要であるとあらためて述べた。

【国際経済本部】
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