経団連タイムス No.3063 (2011年11月10日)

農林漁業の成長産業化に向けた取り組みなどについて説明聞く

−農水省の針原食料産業局長から/農政問題委員会


経団連は10月28日、東京・大手町の経団連会館で農政問題委員会(小林栄三委員長、廣瀬博共同委員長)を開催し、農林水産省の針原寿朗食料産業局長から、農林漁業の成長産業化に向けた取り組みなどについて説明を受けるとともに懇談した。
針原局長の説明の概要は次のとおり。

■ 食料産業局新設のねらい

農林水産省は今年9月に食料産業局を設置した。食料産業局は、食に関する産業、食を創り出す農山漁村の資源や環境に関連する産業を広く所管する。政策の対象は、6次産業化、食品産業、物流、輸出産業、バイオマス、再生可能エネルギー、観光など幅広い。こうした分野において、新たな(1)財貨(高品質品種など)(2)生産方法(植物工場など)(3)販路(機能性食品など)(4)原材料(バイオマス活用など)(5)組織(食料産業局)――の5つの政策ツールが結合しイノベーションを起こすことで、農林水産業、農山漁村を今後の日本の成長の切り札としていきたい。

■ 食料産業局の当面の取り組み

10月25日に政府が決定した「我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針」に基づき、当面は、農林漁業の成長産業化、輸出戦略の立て直し、再生可能エネルギーの推進に向けた取り組みを進めたい。食料産業局では、6次産業化、新事業創出、再生可能エネルギーといった取り組みを通じて、現在10兆円規模の1次産業の生産額を20兆円へ、現在100兆円規模の関連産業を120兆円規模へと高めていきたい。

■ 農林漁業成長産業化ファンドの創設

こうした取り組みを進めるため、「農林漁業成長産業化ファンド(仮称)」の創設を図りたい。これは農林漁業者等による農林水産物の加工・販売、農山漁村の環境・資源を活かした観光・商品化等への取り組みに対して、官民共同のファンドを創設し、出資や“ハンズオン(経営支援)”を行うものである。具体的には、政府と民間が出資して「農林漁業成長産業化ファンド(仮称)」をつくり、このファンドが出資して当面全国20程度の「地域ファンド」を形成する。この地域ファンドが農林漁業成長産業化に取り組む事業者に対して出資やハンズオンを一体的に行うことを考えている。

また、農林漁業の成長産業化を目指して、消費者、産業界、農林水産業界、金融機関、行政の人々が集い、知恵を出し合い共有しイノベーションを進める場として「産業連携ネットワーク」の構築を検討している。

【産業政策本部】
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