経団連タイムス No.3064 (2011年11月17日)

日・EU経済統合協定に関し緊急提言

−首脳協議控え早期交渉開始を要請


経団連は10月31日、日・EU経済統合協定に関する緊急提言を公表した。提言は、今月3日から4日にフランスのカンヌで開催されたG20サミットの際に野田総理とファン=ロンパイ欧州理事会常任議長、バローゾ欧州委員長との間で行われた日EU首脳協議にわが国経済界の声を届けるべく取りまとめられたもの。現在、日・EU間で進められているスコーピング作業(交渉の範囲および野心のレベルを定めるための議論)の成功裏の終了と、一刻も早い交渉の開始を求めている。

■ 緊急提言のポイント

緊急提言のポイントは、第一に、経団連として、産業界同士の対話の促進に引き続き取り組むことを強調し、日・EU間に横たわっている非関税措置を含む諸問題について、双方にとって望ましい解決策を見いだすための努力を続ける姿勢を打ち出したことである。

経団連では、今年7月の訪欧ミッション(団長=米倉弘昌会長)において、EU側が交渉開始にあたって重視している非関税措置問題の解決には、産業界同士の対話を進めることが有効ではないかとEU側に提案したところであり、これを受け、主要業界に対して欧州業界との対話の推進を働きかけてきた。産業界においては、これまでにもさまざまな対話が行われてきているが、日・EU間に新たな問題が生じるのを防ぎ、よりシームレスな事業環境を実現するといった課題についても、既存の枠組みを活用して対話が進められている。経団連としては、こうした動きを歓迎するとともに、業界同士の対話を引き続き促進していく。

第二は、日・EU間にWin‐Winの関係を構築するために協定交渉において取り上げるべき業界横断的な課題をあらためて提示したことである。

(1)規制の導入・改変に関する通報・協議・早期意見照会ならびに規制のあり方に関する継続的協議を通じた規制の整合性の確保(2)規格および適合性評価手続きの調和・相互承認の推進、規格の設定・変更にあたっての早期事前通報の義務付け――など、今回提示した項目は、欧州の経済界からも概ね賛同を得られる内容と考えられる。このような事項をあらためて提示することで、EU側に日本との協定締結のメリットを訴えることがねらいである。

◇◇◇

今年7月1日にEU韓国FTAが発効し、わが国にとってEUとの協定交渉の開始は待ったなしの課題となっている。11月3日の日EU首脳協議では、スコーピング作業の迅速化・加速化で両者が一致した。今回の緊急提言が一刻も早い交渉開始に資することが期待される。

提言の全文はホームページ(URL=http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2011/102.html)に掲載。

【国際経済本部】
Copyright © Keidanren