経団連タイムス No.3064 (2011年11月17日)

情報セキュリティめぐる現状と対策について説明聞き意見交換

−内閣官房情報セキュリティセンターの占部審議官から
/「情報セキュリティ対策に関する説明会」開催


説明会には約300名が参加した

経団連は8日、東京・大手町の経団連会館で「情報セキュリティ対策に関する説明会」を開催し、内閣官房情報セキュリティセンターの占部浩一郎副センター長・内閣審議官らから情報セキュリティをめぐる状況について説明を聞き、意見交換した。企業の関心も高く、約300名が参加した。
説明の概要は次のとおり。

昨今、政府や民間企業がサイバー攻撃を受ける事件が多発しており、国会で質問が提出されるほど情報セキュリティ対策は政府・民間企業にとって重要な課題となっている。最近は、実在する政府関係者名で業務メールと見まがうような内容のメールを送りつける標的型メール攻撃や多数の攻撃元から行われるサービス不能攻撃(DDoS攻撃)が頻発するなど、サイバー攻撃の脅威はますます大規模化・高度化・複雑化している。

政府は2005年に、内閣官房長官を議長とする情報セキュリティ政策会議と、内閣官房情報セキュリティセンター(NISC)を設置し、警察庁、総務省、経済産業省、防衛省が協力するとともに、金融庁などの重要インフラ所管省庁が連携する政府横断的な体制を整備した。

政府機関・地方公共団体では、標的型不審メール訓練の実施、政府機関統一基準の策定などの取り組みを行っている。重要インフラ分野では、09年にセプターカウンシルを創設し、情報共有体制を整えるとともに、分野横断的な演習も行っている。一般企業や個人に対する情報セキュリティ普及啓発はまだ十分な水準に至っておらず、このたび、情報セキュリティ政策会議の下に分科会を設け、官民連携による情報セキュリティ対策の強化について検討することとなった。

10年に決定した「国民を守る情報セキュリティ戦略」を踏まえ、11年には年度計画である「情報セキュリティ2011」を策定し、大規模サイバー攻撃事態への対処体制の整備や新たな環境変化に対応した情報セキュリティ対策の強化、東日本大震災を踏まえた情報セキュリティ政策など、222施策を実施している。引き続き、官民が連携して情報セキュリティ対策に力を入れていきたい。

■ 意見交換

続く意見交換では、「インフラを機能不全に陥らせることはテロ行為に当たり、国内法の整備のみならず、国際的な連携の枠組みづくりにも取り組むべきである」「ネットユーザーに対する啓発活動に加え、犯罪者がネット上で活動しにくい状況をつくるための対策が必要である」「経営トップに情報セキュリティ対策の重要性を認識させ、必要な対策を講じることが重要だとあらためて認識した」といった意見が出された。

【産業技術本部】
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