経団連タイムス No.3065 (2011年11月24日)

観光による東北復興支援で論議

−仙台で経団連観光シンポジウム開催


あいさつする大塚副会長・観光委員長

経団連観光委員会(大塚陸毅委員長、山口範雄共同委員長)は14日、仙台市内で「復興支援・経団連観光シンポジウム」を開催した。震災復興に観光の果たす役割が極めて大きいとの観点から、観光立国と東北観光のブランド力の強化に向けた方策を検討するのがねらい。東北経済連合会が共催、観光庁はじめ官民の組織が後援・協賛等を行い、企業、関係省庁、地方自治体などから約300名が参加した。

開会あいさつで大塚委員長は、「国内外で多くの人々が東北に想いを寄せているいま、できるだけ多くの人々に実際に足を運んでもらい、『また来たい』と感じてもらえるような取り組みを共に進めることが今後の復興のカギ」と、シンポジウムへの意気込みを述べた。

シンポジウム前半では、来賓の奥田建国土交通副大臣が、震災復興と観光立国の実現に向け野田佳彦総理から寄せられたメッセージを紹介した。また、溝畑宏観光庁長官が観光立国の実現に向けた政府の諸施策について説明した。

後半では、「東北観光の可能性を探る−地域ブランディングの観点から」と題して、浜田健一郎ANA総合研究所社長、藤里明久毛越寺執事長、高橋善幸釜石シーウェイブスゼネラルマネージャー、内藤愼介NHK制作局ドラマ番組部2013年NHK大河ドラマ「八重の桜」チーフ・プロデューサーによるパネルディスカッションが行われた。

藤里氏は、平泉の仏教関連施設に込められた奥州藤原氏の平和への願いを紹介。「今年6月の世界遺産登録を機に訪れる多くの人々に平泉の『心』を伝えることが東北の活力につながる」と述べ、他の地域と連携し東北の文化的な再建を目指したいとの考えを示した。

高橋氏は、ラグビー日本選手権7連覇を達成した新日鐵釜石のクラブチーム化を機にラグビーの町を目指す釜石の住民の動きを紹介。スポーツで地域に元気を与えたいと述べるとともに、復興の象徴とするため、2019年ラグビーワールドカップ日本大会の一部試合を釜石に招致することへの意欲を示した。

内藤氏は、「会津の女性・新島八重の生涯を通じて日本人の誇りと力強さを描き、復興を目指す東北・日本に元気を与えたい」と、2013年大河ドラマ「八重の桜」のねらいを説明。また、歴史に違う角度から光を当てれば新たな観光資源の発見もあると指摘、ドラマを通じ東北を盛り上げていくと語った。

浜田氏は、企業マルシェ(産直市)や給湯機能を持つ車両を利用した温浴施設運営ボランティアなど、ANAグループの地域活性化や震災復興に向けた取り組みを紹介。また、他の3氏の話も踏まえつつ、今後の観光振興には東北旅行者のリピーター化がカギであり、旅行者のニーズの多様化や本物志向に関係者が連携して対応していくことが重要と指摘した。

閉会あいさつでは、山口共同委員長が、「本日の成果を踏まえつつ、官民の組織と連携しながら、東北復興支援、観光立国の実現に向けた取り組みを進めていく」と締めくくった。

【産業政策本部】
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