経団連タイムス No.3067 (2011年12月13日)

タイ・キッティラット副首相兼商務相と懇談

−タイの大規模洪水の現状と復旧策を聞く/日タイ貿易経済委員会


発言するキッティラット
副首相兼商務相(左)

経団連は11月28日、東京・大手町の経団連会館で日タイ貿易経済委員会(小林栄三委員長)を開催し、タイのキッティラット・ナ・ラノーン副首相兼商務大臣、ウィラポン・ラマンクラ復興・開発戦略委員会(SCRF)委員長、ポンサック・アサクン・タイ商業・工業・金融合同常任委員会(JSCCIB)会長兼タイ貿易院(BOT)会長らと、深刻化する洪水被害の現状と対応をめぐり意見交換した。概要は次のとおり。

■ キッティラット副首相兼商務大臣

このたびの洪水は過去半世紀で最も深刻な自然災害であり、グローバル・サプライチェーンに影響を及ぼした。現在、排水は順調に進んでおり、状況は改善しはじめている。タイ政府は、省庁横断的な水害被災者救済センターやSCRFなどの各種委員会を設置するとともに、100億ドルを超える救済・復興計画を承認した。これに基づいて災害に強いインフラを整備し、内外の投資家の信頼を回復することで、タイの持続可能な成長を実現したい。タイの復旧のための投資は、アジア大洋州域内の生産活動とコメ供給の安定に貢献する。域内防災協力を促進したい。

■ ウィラポンSCRF委員長

復旧のための具体的措置として、被災した工場が設備を入れ替える際の輸入関税の一部免除、通関手続きの円滑化、復旧に携わる外国人技術者の入国・雇用手続きの簡素化を決定した。タイのインフラは老朽化しており、洪水はインフラ整備を前進させる機会である。国際協力機構(JICA)と連携しながら、来年の雨季までに効率的な水管理体制を構築し、洪水の再発リスクを最小限にする。そのための資金調達手段として、インフラファンドや政府銀行の特別ローン等を検討している。

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これに対して経団連側から、復旧活動の円滑化のために、(1)輸入通関手続きと原産地証明証発給手続きの簡素化(2)治水対策の策定と実施でのわが国経済界との連携(3)投資インセンティブの柔軟な運用――等を重ねて要望した。キッティラット副首相兼商務大臣は、いずれの要望についても実現を約束し、最後に「タイは難しい時期に日本の支援を得て強くなってきた」と述べ、過去における日本の継続的なタイへの協力に謝意を表した。

【国際協力本部】
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