経団連タイムス No.3067 (2011年12月13日)

被災地の産業復興に関する説明会開催

−復興特区制度、第3次補正予算、福島県の企業立地環境


説明会には230名以上が参加した

経団連は11月29日、東京・大手町の経団連会館で、日本政策投資銀行の後援と日本商工会議所の協力により、「被災地の産業復興に関する説明会」を開催した。「復興特区制度」「平成23年度第3次補正予算」「福島県企業立地環境」について、それぞれ関係者からの説明を聞くとともに、休憩時間を含め、230名を超える参加者と説明者側の積極的な交流も図られた。

■ 復興特区制度

まず、内閣官房・東日本大震災復興対策本部事務局が、現在、国会で審議中の東日本大震災復興特別区域法案の概要を説明した。

復興特別区域(復興特区)制度では、東日本大震災で一定の被害が生じた区域である財特法(東日本大震災に対処するための特別の財政援助及び助成に関する法律)の特定被災区域等(222の市町村)が対象となる。地方公共団体は、単独もしくは共同で復興特区としての計画を作成し、内閣総理大臣の認定を受けることで、個別の規制や手続きの特例、税・財政・金融上の特例等の支援を受けることができる。国と地方は新たな特例の追加・充実を図るための協議会を設置するなど、ワンストップで総合的な支援を行う体制を構築し、民間からの特例追加提案も受け付ける。

■ 第3次補正予算

続いて、経済産業省が、11月21日に成立した平成23年度第3次補正予算のうち、国内の産業空洞化防止および震災復興に関する措置内容を説明した。

第3次補正予算では、立地補助金として5千億円が手当てされており、そのうち2950億円は全国を対象として企業の生産拠点の立地を支援する「国内立地推進事業」に充てられる。また、同じく全国を対象として企業の研究開発拠点の立地を支援する「イノベーション拠点立地推進事業」には350億円が充てられる。残りの1700億円については、福島県内への企業立地支援を行う「がんばろう ふくしま産業復興企業立地支援事業」に充てられる。

1700億円のうち大半の1601億4千万円を占める立地補助金では、全国最高の補助率が設定されている。原子力災害による計画的避難区域等が解除された地域への早期立地の場合には、最高で経費の4分の3まで(他の地域では最高3分の2まで、いずれも上限200億円)が補助され、用地取得費や設備投資費、建屋建設費等の幅広い初期費用が含まれる。対象事業は製造業全般に加え、対事業所サービス(コールセンター等)も含まれる。投下固定資産に応じた新規地元雇用(例=10億円で10人以上)等の適用要件や10年以内に事業を休止・廃止した場合の返還規定はあるが、福島県の早急な復興再生に寄与することを目的に、柔軟かつ手厚い制度となっている。

■ 福島県の企業立地環境

最後に、福島県が、県内の企業立地環境を説明した。同県は約200万人の人口を抱え、全国第3位の面積を有する。首都圏からの近さを売りに産業集積を進めており、東北6県のなかでも抜きん出た製造品出荷額を誇り、大学等の県内教育機関を中心とした人材育成も盛んである。関心の高い環境放射能測定結果も随時公表されており、すでに日常生活には支障のない数値に低減していることも付言された。

【産業政策本部】
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