経団連タイムス No.3068 (2012年1月1日)

四国地域経済懇談会を高知で開催

−新たな日本の創造と四国の持続的発展テーマに


経団連と四国経済連合会(四経連、常盤百樹会長)は12月7日、高知市内のホテルで「第48回四国地域経済懇談会」を開催した。懇談会には、経団連から米倉弘昌会長はじめ副会長らが、四経連からは常盤会長はじめ会員約110名が参加し、「新たな日本の創造と四国の持続的発展を目指して」を基本テーマに、活動を報告するとともに懇談した。

開会あいさつのなかで四経連の常盤会長は、東南海・南海地震発生の懸念を抱える四国においても、災害に強い地域づくりを進める必要があるとし、四国の持続的発展のために欠かせない産業空洞化対策と産業競争力の強化に取り組み、観光や農業等で四国地域の特性を活かした活性化策を展開していくと述べた。

続いてあいさつした経団連の米倉会長は、東日本大震災の発生から9カ月が経過しようとするなか、復興特区の創設や復興庁の設置をはじめとする具体的な取り組みを一層スピーディーに進めていく必要があると指摘。そのうえで、円高など企業を取り巻く事業環境が厳しさを増すなか、立地競争力の強化、TPP(環太平洋経済連携協定)をはじめとする高いレベルの経済連携の推進、税・財政・社会保障の一体改革などの課題に取り組む重要性を強調した。

■ 活動報告

第一部の活動報告では経団連、四経連の順にそれぞれ活動報告が行われた。「成長戦略の推進」(小島順彦副会長)では、豊かな国民生活を実現するため、震災からの復興に向けた取り組みを経済成長の起爆剤と位置付けつつ、「日本企業の活力の発揮」と「世界との連携」を進めていくことが必要と指摘。「社会保障と税・財政の一体改革」(斎藤勝利副会長)では、少子高齢化が加速するなか、社会保障制度を持続可能なものとしていくためには、消費税による安定財源の確保を進めるとともに、給付面でも効率化、重点化を進めるべきであるとした。「ポスト京都議定書の新たな国際枠組」(大宮英明副会長)については、南アフリカでのCOP17(国連気候変動枠組条約第17回締約国会議)で交渉中の国際枠組について、すべての主要排出国の参加が不可欠であるとの見解を示した。「経済法制をめぐる最近の動向」(奥正之副会長)では、現在政府で検討が進められている会社法と消費者法の議論の動向、またそれに対する経団連の取り組みについて説明をした。「観光の振興に向けた取り組み」(大塚陸毅副会長)では、今後の東北地方の復興のためには観光の果たす役割が極めて大きいとの観点から、11月に仙台でシンポジウムを開催したことなどを紹介した。

四経連からは、「東南海・南海地震に強い対応力を持った地域づくり」について西山昌男副会長が、「地域資源を活かした交流人口拡大策」について松田清宏副会長が、「地域の競争力強化に向けた鉄道の抜本的高速化など交通・物流インフラの整備」について森田浩治副会長が活動を報告した。

■ 意見交換

続いて行われた第二部の意見交換では、四経連から、(1)高速道路「四国8の字ネットワーク」の整備(2)貿易の自由化推進と1次産業の活性化(3)電力供給の安定化と今後のエネルギー政策(4)グローバル競争を生き抜くための人材育成のあり方(5)少子化対策の推進(6)道州制など地方分権の推進――の6点について発言があった。

これに対して経団連からは、(1)四国地域が持つ強みを活かした地域発展のビジョンや、交通体系のグランドデザインを明らかにしつつ四国8の字ネットワークを整備することが重要(宮原耕治副会長)(2)TPPを通じて日本が新たな国際ルールづくりに積極的に参加することが重要。農業の競争力を高めるため、政府が取りまとめた基本方針に沿って、大規模化や高付加価値化、成長産業化等に向けた具体的な施策を早急に実行すべき(大橋洋治副会長)(3)安全性の確認された原子力発電所は、地元自治体との信頼関係の構築を前提に、早期に再稼働すべき。中長期のエネルギー政策の見直しにあたってはどのように電源を確保するかが重要(西田厚聰副会長)(4)グローバル人材の育成に向けて、大学2、3年生を対象とした国際ビジネスに関する講義の実施、日本人学生を対象とした海外留学奨学金の設置、理科離れを防ぐための出前授業を推進していく(宮原副会長)(5)政府は歳入改革を通じて、子育て世代の経済的支援や保育サービスに必要となる財源を手当てしていくことが必要(斎藤副会長)(6)道州制の実現には、地方分権の積極的な推進、自治体間の広域連携と国民理解の促進が重要であり、経団連として今後も取り組みを進めていく(畔柳信雄副会長)――とコメントした。

【総務本部】
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