経団連タイムス No.3070 (2012年1月19日)

食と農林漁業再生に向けた取り組み聞く

−町田農水事務次官から/農政問題委員会


経団連は12月21日、東京・大手町の経団連会館で農政問題委員会(小林栄三委員長、廣瀬博共同委員長)を開催し、農林水産省の町田勝弘事務次官から、食と農林漁業の再生に向けた取り組みなどについて説明を受けるとともに懇談した。
町田次官の説明の概要は次のとおり。

■ 食料・農業・農村基本計画に基づく政策展開

1999年に制定された「食料・農業・農村基本法」に基づき、5年に一度「食料・農業・農村基本計画」が閣議決定されている。直近2010年3月に策定された現行の基本計画では、食料自給率についての目標として、2020年度にカロリーベースで50%、生産額ベースで70%を目指すこととしている。また、戸別所得補償制度の導入、食の安全・安心の確保、農山漁村の6次産業化の3つの柱を掲げている。

■ 我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画

政府は、2010年10月、「我が国の食と農林漁業の再生のための基本方針・行動計画」を決定した。これは、高いレベルの経済連携の推進と我が国の食料自給率の向上や国内農業・農村の振興との両立を目指したものである。

この基本方針では、(1)新規就農の増加と規模拡大の加速(平地20〜30ヘクタール、中山間地10〜20ヘクタール)(2)6次産業化、消費者との絆の強化、輸出戦略の立て直し(3)エネルギー生産への農山漁村資源の活用促進(4)森林・林業の再生(5)水産業の再生(6)震災に強い農林水産インフラの構築(7)原子力災害対策への正面からの取り組み――の7つの戦略を掲げ、これらの戦略を5年間で集中的に展開することにしている。

基本方針の具体化に向けた取組方針については、2011年内に取りまとめる予定である(取組方針はその後、12月24日に取りまとめられた)。

■ 農林漁業の成長産業化に向けた経済界との連携

農林水産省は2011年9月に食料産業局を新設した。食や「食を生み出す農山漁村の資源や環境」に関連する産業との連携を進めることとしている。特に、以下の点について、経済界との連携を深めながら進めていく考えである。

まず、農林水産物・食品の輸出については先月、輸出戦略の再構築に向けた提言をまとめていただいたところであり、これを踏まえ、輸出額1兆円目標に向けて官民一体で取り組むこととしている。また、6次産業化、成長産業化を進めるため、官民共同ファンドを創設し、6次産業化に取り組む事業者を支援することとしている。さらに、経団連の協力もあり、12月に、消費者、産業界、農林水産業界などからなる「産業連携ネットワーク」を創設したところであり、多様な産業分野の相互連携による新産業の創出等を促進していく考えである。

【産業政策本部】
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