経団連タイムス No.3073 (2012年2月9日)

社会保障・税一体改革に関する説明会開催

−民主党、一体改革への決意表明・経済界に理解を求める


約200名が出席した社会保障・税一体改革に関する説明会

経団連(米倉弘昌会長)は1日、東京・大手町の経団連会館で社会保障・税一体改革(以下、一体改革)に関する説明会を開催した。経団連からは渡辺捷昭副会長はじめ約200名が、民主党からは藤井裕久税制調査会会長、長妻昭社会保障と税の一体改革調査会事務局長、古本伸一郎税制調査会事務局長、池口修次企業団体対策委員長が出席した。

■ 渡辺副会長あいさつ

冒頭、あいさつした渡辺副会長は、政府・与党が1月6日に決定した一体改革の素案の取りまとめに至る藤井会長らの尽力に敬意を表するとともに、「素案において消費税率の引き上げの時期・幅が盛り込まれたことは、持続可能な社会保障制度を確立し、中長期的に財政の健全化を実現するうえで大きな前進であり評価している。ぜひとも速やかに必要な法制上の措置を講じていただきたい」と述べた。そのうえで、素案において積み残しの課題となっている社会保障給付の重点化・効率化、住宅の取得に係る負担軽減措置の具体化、自動車取得税との二重課税および燃料関係諸税等との Tax on tax の解消、印紙税の負担軽減について、早期実現を求めた。法人実効税率についても、「来年度から3年間課される復興特別法人税の終了を待つことなく、新成長戦略にのっとって早期かつ段階的に税率を引き下げるための道筋を明らかにしていただきたい」と述べた。

藤井民主党税制調査会会長
渡辺副会長

■ 藤井税制調査会会長あいさつ

続いてあいさつした藤井税制調査会会長は、「一体改革については次の世代はどうあるべきかを考える必要がある。できるだけ環境を良くして次の世代に渡したい」と述べ、国民生活の基盤である社会保障制度を安定させることの重要性を訴えた。また、「消費税は(税収の)安定性と公平性という要件を満たしている」とし、社会保障制度を支える財源として優れているとの認識を示した。そのうえで、「わが国の財政状況は先進国で最悪の水準に達している」とし、国債価格の下落や金利の上昇を防ぐ意味でも「税制改革は経済政策であるとの認識を持つべきである」と述べた。今後の予定については、「日本の財政状況など、背景にある問題とあわせてしっかりと説明すれば、国民の理解は必ず得られる。キャンペーンを行う以外にはない」と決意を表明した。

■ 意見交換

長妻、古本両氏による説明に続いて行われた意見交換では、会場から「社会保障・税一体改革と成長戦略をパッケージで進めるべき」「国民に対するPR活動を充実させ、早期に改革を実現すべき」「企業や現役世代の社会保険料負担は限界に来ており、自助・共助・公助のバランスを図るべき」などの発言があった。これに対し民主党からは、「素案では、新成長戦略を踏まえ、法人課税のあり方について今後も検討することとしている」「民主党の各都道府県連単位でも説明会を開催する。政府とも連携し、信念と覚悟をもって国民の理解促進に取り組む」「パート・アルバイトに対する保険の適用拡大については、企業への影響にも配慮したい」などの回答があった。

【経済基盤本部】
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