経団連タイムス No.3073 (2012年2月9日)

地域主権と道州制を推進する国民会議、広島で道州制シンポジウム開催

−地域を元気にする行政システムづくりに向け240名参加


約240名が参加し広島で開催された道州制シンポジウム

経団連、日本商工会議所、経済同友会の経済3団体で構成する「地域主権と道州制を推進する国民会議」は1月24日、広島市内で中国経済連合会と共に「道州制シンポジウム」を開催した。当日は、広島県内を中心に各地から、企業・団体や自治体の職員、地域の住民など約240名が参加した。

シンポジウムでは、中国経済連合会の山下隆会長が開会あいさつ、経団連の松下雋道州制推進委員会共同委員長が閉会あいさつを行った。パネルディスカッションでは、松沢成文・前神奈川県知事、林宜嗣・関西学院大学経済学部教授、畔柳信雄・経団連副会長・道州制推進委員長が、山本一隆・中国新聞社副社長のコーディネートのもと、道州制の意義や実現に向けた課題について発言した。概要は次のとおり。

松沢成文・前神奈川県知事

道州制は、国のかたち、統治機構を抜本的に見直し、自立した地方によって構成される新たな国のシステムを創り出すということである。地方は国への依存をやめて、経済的・政策的な自立を実現することが重要だ。経済的自立では、地方が自ら伸びる産業を見いだし、発展に向けて取り組むべきである。政策的自立という観点からは、国は基本法の制定、いわば方向を示すことだけに専念し、他の内容は各地方で決めていくこととすべきだ。道州制は政治主導で進めるべきであり、まずは道州制をマニフェストに入れるよう各政党に働きかけてはどうか。

林宜嗣・関西学院大学経済学部教授

人口減少、企業活動の減少、財政悪化という負のスパイラルを断ち切り、地域が独自資源を活かして元気になるのが道州制の目的である。行政の仕事を国でやるか地方でやるかを延々と議論するのではなく、地域主体で地域のポテンシャルを掘り起こせるようなパラダイムシフトを道州制で実現すべきだ。こうしたパラダイムシフトが実現しなければ、震災からの復興もわが国の中長期的成長にはつながらない。

畔柳信雄・経団連副会長・道州制推進委員長

国の成長に向け、地域がその特色を活かした独自の成長戦略を立案し地域経営に取り組むことができるようにするとともに、国と地方の二重行政の解消をはじめ徹底した行財政改革により合理化を進めていく必要がある。地方の自立と活性化のためには、企業経営と同様にストックとフロー両面を意識しながら経営を合理化し、成長戦略につぎ込むための原資を確保することが重要だ。

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同国民会議は、2009年12月に第1回会合を東京で開催して以降、熊本、高松、名古屋でシンポジウムを行っており、今回で5回目。地域主権改革や道州制の導入に向けた機運を盛り上げるため、今後もシンポジウムの開催等の活動を続けていく予定である。

【産業政策本部】
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