経団連タイムス No.3075 (2012年2月23日)

「新たな観光立国推進基本計画に向けた提言」を取りまとめ建議

−国を挙げて観光立国実現に向けて施策実行を


少子高齢化社会の到来による経済の縮小が懸念されるなか、震災からの復興を果たすとともに、国内にリーディング産業を創造することで新たな成長へとつなげていくことが喫緊の課題である。経団連では、観光がその重要な一端を担うとの認識の下、観光委員会(大塚陸毅委員長、山口範雄共同委員長)を中心に、観光立国の実現に向けた取り組みを精力的に進めてきている。

今般、政府において、震災の影響を踏まえたうえで、「観光立国推進基本計画」を今年3月末にも改定することから、同計画への経済界の意見の反映を図るべく、21日、「新たな観光立国推進基本計画に向けた提言」を取りまとめ、政府関係者をはじめ広く建議した。

提言ではまず、次期観光立国基本計画に基づく取り組みがわが国の将来の成長を左右する極めて重要なものである旨を指摘し、国を挙げて観光立国の実現に向けて革新的かつ効果的な施策を実行に移すべきとした。そのうえで、重要なポイントとして次の3点を訴えている。

第1点は、同計画の基本方針についてである。今般取りまとめられる基本計画は、復興を乗り越え、観光立国に向けて歩み出すためのグランドデザインでなければならない。そのためには、基本方針において、政治のリーダーシップの下、ドラスティックな施策を強力に推し進める決意を示すべきとした。加えて、基本的な方針と目標、施策とを相互に一貫性をもったかたちで、体系立てて示すことも求めている。

第2点は、目標設定についてであり、震災の影響を踏まえつつも、それを克服する政府の強い覚悟とそれを示す野心的な目標を設定するとともに、それを達成し得る革新的な施策を政府全体で決定すべきとした。また、前回の基本計画では未達だった目標が散見されることから、施策の実施状況を検証・改善しやすくする必要があるとの認識の下、目標達成へのロードマップを示すことも訴えている。

第3点は政府の推進体制の強化についてである。観光立国を実現するうえで、効果的な予算の確保・重点化、広域連携の推進はもとより、施策を強力に進め得る体制整備が不可欠である。特に、観光庁と日本政府観光局(JNTO)との役割分担を明確にすることが急務であり、観光庁は企画立案・総合調整機能の発揮に専念する一方、JNTOについては海外への情報発信機能等の一層の強化、独自財源の確保を図るべきとした。

また、同提言では、「おわりに」において、経済界として、官民を挙げた観光立国の実現に向け、一層の協力をしていくとの決意を表明している。具体的には、観光立国シンポジウムの開催、産学連携のインターンシップによる人材育成等に加え、民間外交を通じた情報発信等に取り組むこととしている。

【産業政策本部】
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