経団連タイムス No.3079 (2012年3月22日)

日・ウクライナ経済関係の一層の発展の方途など聞く

−リトヴィン・ウクライナ最高会議議長と懇談


リトヴィン議長(左)と握手する岡委員長

経団連の日本NIS経済委員会(岡素之委員長)は8日、都内で、訪日中のリトヴィン・ウクライナ最高会議議長との懇談会を開催し、議長からウクライナの経済情勢や日本とウクライナの二国間経済関係の現状と展望について話を聞くとともに、懇談した。説明の概要は次のとおり。

国内投資環境の整備を重視

昨年9月にキエフで開催された第3回日本ウクライナ経済合同会議の成果を高く評価している。わが国が政治的経済的に難しい局面にあった時も、日本有数の企業が早くから目を向け事業を展開してくれたことに感謝する。わが国は、地理的特殊性や近隣諸国との歴史的関係などから複雑な状況を抱えている。わが国に対する日本企業の信頼をより一層高めるため、ビジネス環境の整備を重視している。必要な法律の迅速な制定と適切な執行が重要であり、汚職を克服し、法の支配が確立された体制へ移行すべきと考えている。

政府が提出した法案は、提出後平均30〜40日以内にウクライナ最高会議で採択されている。経済分野に関する規制緩和はほぼ完了した。円滑な企業活動の実現に必要な法律や、経済構造の近代化に向けた法律もほぼすべて採択された。わが国の最重要課題である省エネに関する法律も採択済みである。2010年の官民協力推進法によって、法人・個人を問わず、事業活動を行う際に要する行政機関との手続きは簡素化が図られるとともに、事業主体の電子登録制度の導入や登記簿の統一等も実施された。

ウクライナ経済は着実に成長

わが国は08年の世界的な金融経済危機から立ち直り、一昨年、昨年と2年連続で経済成長を達成した。昨年の実質GDP成長率は5.2%、工業生産は7%以上、農業生産は17.5%も伸びた。穀物生産量は5500万トンを記録し、今後の経済成長の基盤となることを期待している。インフレ率は4.6%と安定している。こうした経済成長の達成には、危機以前の水準にまで回復した輸出が大きく貢献している。

ロシアとのガス契約問題を機に、国産エネルギー資源が注目され、石炭や省エネ、再生可能エネルギーの活用に関心が高まっている。石炭分野への投資促進を目的とした法律が近々採択される。ガスおよび石油分野でも同様の措置が講じられる予定である。

日ウ投資協定(BIT)の早期締結を期待

両国の協力推進の基盤はすでに整っており、日ウ投資協定(BIT)の早期締結を期待する。わが国から日本への天然資源の輸出に関する規定を盛り込むことや日本企業を対象とした優遇措置の導入も検討している。BITは、日本の投資家のわが国における権利の保護にとどまらず、質的に優れたものでなければならない。

【国際経済本部】
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