表紙イメージ 経済Trend ロゴ2008年3月号

自然保護と企業のあり方を考える
今月の表紙: 渡邊喜代子 作 「もくれん」 (ふれあいアートステーション・ぎふ提供)
障害を持つ方々の個性豊かで、印象深い絵画を厳選してご紹介しています。

巻頭言

科学技術立国を担う次世代を育てるために
中鉢良治 (日本経団連評議員会副議長/ソニー社長)

特集
自然保護と企業のあり方を考える

地球環境問題はいまや世界中の人々共通の重要テーマの一つである。昨年11月に第三次生物多様性国家戦略が閣議決定され、今年4月から京都議定書の約束期間が始まり、7月にはG8洞爺湖サミットで環境問題が議論される。こうしたなかで、真の持続可能な社会構築に向けて、企業は、自然環境を守る活動に対しどのように取り組んでいくべきか、NGO、NPOとの協働はどうあるべきか、今後の自然保護のあり方を議論する。
座談会
大久保尚武 (日本経団連自然保護協議会会長/積水化学工業社長)
自然保護協議会はこの15年の活動で、企業における自然保護の理念の新党、企業とNGOの協働の定着、国際的ネットワークの構築など、大きな成果をあげてきた。生物多様性国家戦略では、関係者の意見を踏まえた活動ガイドラインの作成や、農林漁業の産業的位置づけが重要である。
池田弘一 (日本経団連評議員会副議長/アサヒビール会長)
環境に配慮しながら企業活動を行うことは今や当たり前になっている。自然保護活動を展開する上で、さまざまな具体策や知恵を持つNGOやNPOとの協働を積極的に行っていくべきである。当社では、アサヒの森(森の子塾)、日本の環境を守る若武者塾、環境基金「水の惑星」、学術助成などの活動を展開している。
川勝平太 (静岡文化芸術大学学長)
21世紀のものづくりは「自然に学ぶ」方向に大きく変わってきており、日本はその先進国になるべき歴史的使命を担っている。各都道府県が誇る木を持ち寄った「森の議事堂」の建設や、景観を軸にした道州制など、日本列島を地球に見立てて生物の多様なモデル空間にする大構想を持つべき時である。
澁澤寿一 (樹木・環境ネットワーク協会理事長)
NPOが企業と協力して目指すところは、地球1個の自然の成長量におさまる社会をつくっていくことである。NPO活動においては、50年、100年のスパンで人間側の世代をつなぐことが最も重要である。現在、東京湾のごみの埋立地に、明治神宮の1.3倍の森をつくる計画に協力している。
永松惠一 (司会:日本経団連常務理事)
現在、地球温暖化の議論が盛んであるが、途上国の問題などを考えると、生物多様性、CO2吸収など森林の持つ多面的な機能がもっと強調されてしかるべきである。

●日本経団連の自然保護活動と最近の状況、現状認識と国際潮流

●自然保護に対する取り組み

●歴史・文化を踏まえた自然保護に対する考え方

●生物多様性国家戦略に対する取り組み

日本経団連自然保護協議会15年の活動
佐藤正敏 (日本経団連自然保護協議会副会長/損害保険ジャパン社長)
第三次生物多様性国家戦略の策定とその意義
大澤雅彦 (日本自然保護協会専務理事/東京大学大学院新領域創成科学研究科教授)
生物多様性は皆の課題
ジュリア マートン‐ルフェーブル (IUCN(国際自然保護連合)事務局長)
■ 自然保護のための企業の取り組み ■
企業とNGOとの協働
協働に「地域」の視点を
塚本一郎 (明治大学経営学部教授)
  • 「社会に信頼される企業」をめざす
  • 「対話」から「協働」へ
  • インパクトに欠ける企業とNGOとの協働
  • 「地方分権」型の協働が求められている
地球環境の持続を目指して
〜NGOと進めるリコーの森林生態系保全活動
益子晴光 (リコー社会環境本部環境コミュニケーション推進室長)
  • 「環境経営」の実現を目指して
  • 森林生態系保全活動を実施
  • ガーナにおける森と共存するカカオ栽培
  • 参加住民は理解し満足している
NGOと進める地球環境保全
〜東芝の取り組み
日比野 亨 (東芝社会貢献室長)
  • 東芝グループ150万本の森づくり
  • NGOとの協働の具体例
  • NGOに期待するもの
企業における環境教育
新しい知性をみがく
小澤紀美子 (東京学芸大学教授・日本環境教育学会会長)
  • 「内なる自然」と環境教育
  • 新しい知性構築の基盤――想像力と創造性
  • 環境教育に対する企業への期待
デンソーの環境教育の取り組み
〜持続可能な社会づくりに向けて
宮地一郎 (デンソー総務部企画2室長)
  • デンソーエコレンジャー21の取り組み
  • デンソーエコレンジャー21の特長
  • 講座を支えるもの
  • 地域からグローバルな活動に
森を守り、活かし、未来につなぐ
〜三井物産の社有林の保有意義と積極的活用
山本隆彦 (三井物産CSR推進部長)
  • 森林の公益的機能と所有者の社会的責任
  • なぜ社有林を保有するのか
  • 「森林環境教育」の本格的実施
  • 持続可能な森林、社会の実現に向けて
自然に学ぶ技術
自然に学ぶものつくり ネイチャー・テクノロジー
石田秀輝 (東北大学大学院環境科学研究科教授)
  • 地球環境問題を考える
  • 自然に学ぶ持続可能な循環型社会
  • 精神欲を煽るあたらしいものつくりのかたち
  • ネイチャー・テクノロジー
積水化学工業の環境貢献型木材に関する取り組み
刈茅孝一 (積水化学工業ウッド事業推進部部長)
  • エコバリューウッドの特徴
  • 木の特徴を活かし、木の弱点を克服するモノづくり
  • 今後の取り組み
カタツムリの防汚機能に学ぶ
〜INAXの技術開発
山中潤一 (INAX取締役上席執行役員総合技術研究所長)
井須紀文 (INAX総合技術研究所創造技術研究室長)
  • 人と地球を考えた新しい材料
  • 防汚と環境
  • カタツムリに学ぶ防汚技術
  • 適材適所の住空間の防汚技術
  • 自然に学ぶことはたくさんある
環境保全と産業化を考える
アニマルパスウェイの技術を世界に
湊 秋作 (ニホンヤマネ保護研究グループ会長/キープ協会やまねミュージアム館長)
  • ヤマネの棲む森が分断され生存の危機に
  • アニマルパスウェイ完成の悲願に向け技術研究が始まった
  • 人々の環境意識も豊かに
  • 自然との共生に向けて
エコツーリズムの現状と課題
門脇 仁 (環境ジャーナリスト/生態学史家)
  • 価値の転換期に見直されるエコツーリズム
  • 持続可能な開発のモデル――コスタリカのケース
  • エコツアーの効果と逆効果
  • 小規模兼業化が今後の課題
  • 新たなメカニズムの導入を
ブラジルとパラグアイに見る南米日系社会における自然保護の取り組み
渡邉 忠 (サンパウロ日本人協会代表/オイスカ・インターナショナル中南米駐在代表)

広報委員長対談『世界で活躍する日本人』
日本人としてのアイデンティティを持ってグローバル化を
平山郁夫 (日本画家/日本美術院理事長・前東京藝術大学学長)
古川一夫 (日本経団連副会長・広報委員長/日立製作所社長)
第111回日本経団連労使フォーラム
日本型経営の再構築
〜人材を尊重し、成長させる組織へ
日本経団連事業サービス
調査
2007年度新規学卒者の採用動向
〜5年連続で過去最高
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2008/003.html
日本経団連労政第一本部
  • 採用意欲は高まっているものの、四割強の企業が採用予定数を充足できず
  • 多様な人材を確保するため、種々の選考形態・手法を導入する企業が主流
  • 企業がもっとも重視する要素はコミュニケーション能力
  • 普及・拡大するインターンシップ制度
  • 大学・大学院新規学卒者等の採用選考に関する企業の倫理憲章について
2007年定期賃金調査結果について
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2007/111.pdf
2007年昇給、ベースアップ実施状況調査結果について
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2007/110.pdf
日本経団連労政第一本部

● 道州制の取り組み
東北の自立発展を目指しコンセンサス形成を加速
幕田圭一 (東北経済連合会会長)
● 国際標準化最前線
コアの部分を欧米と連携して標準化すれば、世界のマーケットで勝負ができる
松本修一 (KDDI研究所取締役副所長/ITU-T/SG9副議長)
● 経営者のひととき
沈黙の世界
稲員裕三 (日立メディコ社長)
● あの時、あの言葉
顔色
佐治雍一 (日本冶金工業社長)
● エッセイ「時の調べ」
野生動物のたくましさ
小林万里 (東京農業大学講師・北の海の動物センター理事)
● 翔べ!世界へ―奨学生体験記
多様性を求めて
高梨真子 (松下電器産業MBA派遣留学生)

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