表紙イメージ 経済Trend ロゴ2011年1月号
新春特別企画
2011年、新たな扉を開く
今月の表紙: 小池誠 作 「春の声」 (アートビリティ登録作品)
障害を持つ方々の個性豊かで、印象深い作品を厳選してご紹介しています。

米倉経団連が発足して約半年。この間、菅政権は経済再生に向けた「新成長戦略」を打ち出すとともに、「平成の開国」を表明、TPP交渉への参加の道を開いた。2011年は、これらを実現する正念場である。
本号では、『2011年、新たな扉を開く』をテーマに新春特別企画をお届けする。
対談
人と技術で世界に貢献する日本へ
米倉弘昌 (日本経団連会長)
緒方貞子 (国際協力機構(JICA)理事長)
膳場貴子 (司会:NEWS23クロス キャスター)
座談会
課題解決に向け正念場となる2011年
グローバル競争のさらなる激化、デフレ下での経済の低迷、少子高齢化に伴う将来不安の広がりなど、日本は、内外のさまざまな課題に直面している。2011年を迎え、日本がとるべき選択、課題解決に向けて企業が果たすべき役割を議論した。
川村 隆 (日本経団連副会長・教育問題委員長・アジア・大洋州地域委員長/日立製作所会長)
日本の国際競争力の源泉は、研究開発と人材育成にある。研究開発については、これまでも高かった民間による投資を一層促進するとともに、政府による投資を米国と同水準まで引き上げる必要がある。人材育成については、基礎学力低下や職業意識の希薄化などを払拭し、幅広い教養と多様性に対する適応力を備えたグローバル人材の育成に注力することが求められる。
内田恒二 (日本経団連評議員会副議長・電子行政推進委員長/キヤノン社長)
日本経済の再生は、産業の活性化、企業の発展にかかっている。企業の国際競争力を高めるためにも、法人税減税の速やかな実現を期待する。あわせて、社会保障給付をはじめとする歳出の増大に対応するために、消費税増税を柱とする税制の抜本改革の議論を進めることも必要である。また、共通番号制度の導入により個人認証制度を整備することは、社会保障の基盤になるとともに、行政効率化、企業の業務効率化など、国民に大きなメリットがある。
山口範雄 (日本経団連評議員会副議長・観光委員会共同委員長/味の素会長)
観光は、日本にとって未開拓の市場であり、新成長戦略で「観光立国」を掲げたことは、大いに歓迎したい。また、真の健康長寿社会を実現するためには、社会保障制度や「まちのインフラ」の整備、食生活・環境の改善、コミュニティーの再生、リタイア後の人材活用といった課題がある。ソーシャルビジネスについては、本業で培われたものを活かして社会に貢献することを地道に積み重ねていくことが大切である。
篠田和久 (日本経団連評議員会副議長・雇用委員長/王子製紙社長)
新規雇用の創出には、社会保障・福祉、環境、観光、研究開発、農業といった新たな需要が期待される分野への、政府と民間、両者による活性化策が不可欠である。また、次世代に負担を先送りしている現行の社会保障制度を速やかに改革しなければ、国民の不安は増幅する。消費税率アップを中心とした安定財源の確保、行政業務効率化につながる住民基本台帳制度に基づく共通番号制度の導入を検討すべきである。
中村芳夫 (司会:日本経団連副会長・広報委員長・事務総長)
日本経済の自律回復のためには、成長戦略の実行により民間の活力を高めていくことが重要である。人材育成の観点からは、大学・大学院改革、海外留学支援、留学生の受け入れ促進などが求められる。また、アジアの持続的成長に貢献するには、インフラ整備を積極的に推進し、環境技術などの分野で技術移転を行っていくことが必要である。

●自律回復に向けた成長戦略の実行

●将来を見据えた諸課題の解決

●アジア太平洋諸国の発展に資する日本の役割

2011年、私の提言
開放の視点からの制度設計を
伊藤元重 (東京大学大学院経済学研究科教授)
  • 開放を突破口に
  • あらゆる制度や仕組みを再構築せよ
  • 開かれた国へ、国民レベルの議論を
本格的な対外戦略の策定を
田中明彦 (東京大学大学院情報学環教授)
  • 対外戦略のビジョンを示せ
  • グローバル人材の育成を
  • 政策遂行システムの再構築を図るべき
  • 国力の基盤を維持するために
持続可能な財政運営のために
〜税・財政・社会保障一体改革に向けた提言
井堀利宏 (東京大学大学院経済学研究科教授)
  • 抜本的税制改革とはどのようなことか
  • 成長戦略の実行と人的スキル形成の重要性
  • 若い世代、将来世代を重視する社会保障改革
21世紀の日本の新生と持続的発展に必須の 教育・科学技術・イノベーションの三位一体推進に向けて
柘植綾夫 (芝浦工業大学学長)
  • 日本型イノベーションによる国づくり
  • 世界の潮流から遅れている教育政策
  • イノベーションへの理解を深める教育体系の構築を
  • 司令塔を設置せよ
ITの大転換がもたらす新しいチャンスをつかむ年に
國領二郎 (慶應義塾大学総合政策学部長)
  • ITをめぐる三つの新しい潮流
  • グローバル化、スピード化、オープン化
  • 新しいチャンスを現実のものとするために
資源循環経済とグリーン・ニューディール
細田衛士 (慶應義塾大学経済学部教授)
  • グリーン・ニューディール政策は有効か
  • 資源制約を乗り越えるために
  • 石油ショック以来の挑戦
低炭素社会をいかに実現するか
松橋隆治 (東京大学大学院新領域創成科学研究科教授)
  • 排出量取引は効果的か
  • 民生・運輸部門の効率改善により環境と経済の両立を
  • 二国間クレジットの推進に総合力を発揮すべき
農業を成長産業にする規制改革
八田達夫 (政策研究大学院大学学長)
  • 食料安保対策と両立する改革の方向性
  • 既得権対策としての激変緩和措置をどう講じるか
何を学ぶか 〜農政の立て直しに向けて
生源寺眞一 (東京大学大学院農学生命科学研究科長・農学部長)
  • EUの農政改革をどのように評価するか
  • 学ぶべき三つの教訓
ワーク・ライフ・バランスの推進は日本の現状打破に不可欠
樋口美雄 (慶應義塾大学商学部長・商学研究科委員長)
  • デフレ・スパイラルの進展
  • 世帯主の所得低下を支える配偶者の就業
  • ワーク・ライフ・バランスの推進は企業の競争力向上にも貢献
「働きがい」を支える労働法制
山川隆一 (慶應義塾大学法科大学院教授)
  • 労働市場における「人間」
  • 貯蔵できない「商品」を扱う労働市場
  • 自ら成長し向上できる「商品」
  • 「働きがい」を支える労働法制の整備を
超高齢社会の課題と可能性
秋山弘子 (東京大学高齢社会総合研究機構特任教授)
  • 90年の人生をどう生きるか
  • 社会インフラのハード、ソフト両面からの見直し
  • 超高齢社会の特性を正確に把握すべき
  • 高齢社会を経済成長の源泉に
Column
国際人道支援への日本の貢献
長 有紀枝 (ジャパン・プラットフォーム代表理事)
これからの世の中のルール
市川亀治郎 (歌舞伎俳優)
日本、あるいは日本人の良さを引き出すには
井上道義 (指揮者/オーケストラ・アンサンブル金沢音楽監督)
多文化共生社会を担う次世代の育成を
田村太郎 (ダイバーシティ研究所代表理事)
小惑星探査機はやぶさ
〜地球帰還への7年間、60億kmの飛行
川口淳一郎 (宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙科学研究所教授)
地域の魅力を引き出すアート
〜瀬戸内国際芸術祭のもたらしたもの
北川フラム (瀬戸内国際芸術祭総合ディレクター)
アー・ユー・ムードメーカー?
箭内道彦 (クリエイティブディレクター)
夢づくり
太田光代 (タイタン社長)
特別インタビュー
日本人の良さを伸ばし世界と戦う
岡田武史 (日本サッカー協会理事/前日本代表監督)
世界の成長の原動力としてのアジア太平洋
経済危機後の繁栄を目指して

〜「APEC CEOサミット2010」を開催
米倉弘昌 (日本経団連会長)

● 経営者のひととき
福岡讃歌
川合正矩 (日本通運社長)
● あの時、あの言葉
ビジネスの基本は「誠意」
菊川 剛 (オリンパス社長)
● 翔べ!世界へ―奨学生体験記
奨学金と私の人生
李 建平 (専修大学経営学部教授)
● NEW FACE 新会員紹介
セールスフォース・ドットコム
リコージャパン

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