表紙イメージ 経済Trend ロゴ2011年9月号

グローバル人材の育成に向けて
今月の表紙: 藤橋貴之 作 「池の浦にて」 (エイブルアート・カンパニー登録作品)
障害を持つ方々の個性豊かで、印象深い作品を厳選してご紹介しています。

巻頭言

多様性を尊重する
前田新造 (経団連評議員会副議長/資生堂会長)

特集
グローバル人材の育成に向けて

国内における急速な少子高齢化や、諸外国との国際競争の激化などに伴い、日本企業の間では、国際ビジネスの現場で活躍するグローバル人材の必要性が高まっている。その一方で、ゆとり教育や若者の間で広がる内向き志向などにより、産業界の求める人材と大学で育成される人材との乖離が拡がっており、その解消が急務となっている。グローバル人材の育成に向けた課題と求められる取り組みについて議論した。
特別寄稿
若者の留学経験は日本経済の将来の鍵
ジョン・V・ルース (駐日米国大使)
座談会
グローバル人材の育成に向けて
川村 隆 (経団連副会長・教育問題委員長/日立製作所会長)
経団連が6月にまとめた「グローバル人材の育成に向けた提言」では、グローバル人材に求められる素質・能力や、産学官が相互に連携して取り組むことの重要性などを訴えた。特に大学には、海外からの優秀な留学生の受け入れを増やすなど国際化への取り組みを進めるとともに、社会ニーズを踏まえた実践的教育の強化、リベラル・アーツ教育の充実など、世界のリーダーとなる高度人材の育成に向けた取り組みを期待する。
山口範雄 (経団連評議員会副議長/味の素会長)
日本人社員のグローバル化対応力の養成、外国人人材の採用と育成などの面で、企業の取り組みが求められている。味の素では、グローバル化に向けた人事戦略として、人材やポストの見える化を掲げた「グローバル人事プラットホーム」の構築を進めている。日本社会のなかでグローバル・マインドを醸成していくためには、自治体や学校、NPO、一般家庭を巻き込んだ、草の根的な活動の推進が必要である。
木村 孟 (文部科学省顧問/日本技術者教育認定機構(JABEE)会長/東京都教育委員長)
日本が今後、ものづくりの国として生きていくためには、理工系の人間をグローバル化していく必要がある。そのためには、「工学」という学問研究へのこだわりを離れて、社会のニーズに応じた実践的なエンジニアリング教育へシフトしていかなければならないだろう。また、日本の若者が内向き志向になり、海外へ留学する人が減っていることは憂慮すべきである。一方、優秀な留学生を日本へ呼び込むためには、戦略的な取り組みが必要である。
安西祐一郎 (慶應義塾学事顧問/中央教育審議会大学分科会長)
大学教員の本分は教育にあるが、実際には教育ではなく、研究の成果により評価される。また、大学自治の理念から個々の教育方針は教員の専管事項である。このため、大学教員のエネルギーを教育に向けることは簡単ではない。学生たちの仕事に対する意識と企業のニーズとのギャップに注意を払うことも必要である。企業と協働して社会のニーズを踏まえた実践教育を行うなど、地道な努力を積み重ねることで、より開かれた大学をつくっていきたい。
岩波利光 (司会:経団連教育問題委員会企画部会長/日本電気副社長)
日本はグローバル人材の育成面で、他のアジア諸国と比べて遅れている。昨年、中教審のキャリア教育・職業教育特別部会の委員を務めたが、その検討を通じて、小中学校の段階から、大学に至るまで、企業が出前授業を通じて学校教育に参加し、子どもたちに直接、職業意識や現在の企業活動のグローバル化の実態を伝えることが重要であると感じた。

●求められるグローバル人材の具体像

●グローバル人材育成に向けて大学に求められる取り組み像

●グローバル人材育成における大学側の課題

●ミスマッチを解消するための産学連携への取り組み

産学官が連携してグローバル人材を育成する
〜グローバル人材の育成に向けた提言
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2011/062/index.html
石原邦夫 (経団連評議員会副議長・教育問題委員会共同委員長/東京海上日動火災保険会長)
国際化とグローバル人材育成
〜大学教育改革の観点から
笠木伸英 (東京大学教授/日本学術会議会員)
産業界の求める人材の具体像と大学教育の課題
大久保幸夫 (リクルートワークス研究所所長・専門役員)
グローバル人材の採用・育成に向けた課題
小平達也 (ジェイエーエス社長)
対談
国際協力活動の経験がグローバル人材を育む
伊藤隆文 (国際協力機構(JICA)青年海外協力隊事務局長)
水野達男 (住友化学ベクターコントロール事業部長)
ルポ
グローバル水準の研究・教育実現に向けた挑戦
− シリーズ第1回
グローバル教育の原点は創設時の精神〜早稲田大学
(経団連社会広報本部)
Column
留学が拓く日本の未来
〜世界、そして、日本を理解する若者の育成へ
ジェイスン・ジェイムズ (ブリティッシュ・カウンシル駐日代表)

欧州との経済関係強化と日・EU経済統合協定の推進に向けて
〜経団連訪欧ミッション
米倉弘昌 (経団連会長)
提言
復旧・復興と成長に向けたICT利活用のあり方
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2011/075/index.html
渡辺捷昭 (経団連副会長・情報通信委員長/トヨタ自動車相談役)
清田 瞭 (経団連情報通信委員会共同委員長/大和証券グループ本社名誉会長)
  • 携帯電話やインターネット、ITSを使った新たなサービスが広く活躍
  • 明らかになった課題
  • 被災者の支援・再建にICカードを活用
  • 新産業の創出をスピード感をもって東北地方から具現化
アジアを中心とする新興国との社会保障協定締結の推進等を求める
〜社会保障協定に関する要望
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2011/061.html
勝俣宣夫 (経団連副会長・貿易投資委員長/丸紅会長)
芦田昭充 (経団連評議員会副議長・貿易投資委員会共同委員長/商船三井会長)
  • アジア諸国を中心とする新興国との協定締結が課題
  • 中国との交渉開始が急務
  • 厚生年金任意加入制度の対象拡大を
わが国の経済・社会の活力の維持・向上に向けて
〜今後の高齢者雇用のあり方について
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2011/080.html
篠田和久 (経団連評議員会副議長・雇用委員長/王子製紙社長)
  • 高齢者の生活の安定に向け社会全体での取り組みを
  • 現行の雇用確保措置の維持と幅広い雇用機会の確保を
国際会計基準(IFRS)の適用に関する早期検討を求める
〜IFRS強制適用の是非の判断に向けて
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2011/069.html
廣瀬 博 (経団連企業会計委員長/住友化学副会長)
  • これまでのわが国の取り組み
  • IFRS適用に向けた現状の課題
  • IFRS導入に向けた今後の対応
ディーセント・ワークに向けた国際的な取り組み
〜第100回ILO総会に出席して
中村芳夫 (経団連副会長・事務総長)

● 経営者のひととき
犬は鎹
土橋昭夫 (双日会長)
● あの時、あの言葉
原点に帰る
大須賀頼彦 (小田急電鉄会長)
● エッセイ「時の調べ」
まっとうな人のまっとうな仕事
小山薫堂 (放送作家・脚本家)
● NEW FACE 新会員紹介
JPホールディングス
ピーアンドピー
らでぃっしゅぼーや

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