[ 日本経団連 ]

低炭素社会実現に向けた取組みのお願い

2010年6月1日
(社)日本経済団体連合会
会長 米倉弘昌


地球温暖化の防止は、人類の存立基盤に関わる極めて重要な課題です。こうした認識の下、日本経団連は、1997年以来、CO2削減のための環境自主行動計画を掲げ、会員各位のご協力・ご参加により、積極的に地球温暖化防止に取組んでまいりました。また、わが国企業は、長年に亘り培ってきた世界最先端の技術を活用し、地球規模での温暖化防止に大きな役割を果たしています。

私たち企業は、生産活動に加え、製品やサービスの提供・調達、研究開発、投融資等、さまざまな活動を行っており、ステークホルダーとの関係を活用して、地球温暖化防止に貢献することが可能です。

2008年度より、京都議定書の約束期間が始まっています。わが国は、2008年度から2012年度までの平均で、温室効果ガスの排出量を90年度比マイナス6%とすることを国際約束しております。そこで、地球温暖化防止の緊急性と国際的義務の履行の必要性、そのために経済界が果たすべき役割を再認識し、環境と経済が調和する低炭素社会の実現に向けた取組みを引き続き率先して推進して下さいますよう、会員各位に以下のお願いを申しあげる次第です。

1.自主行動計画の着実な実施と参加の拡大および低炭素社会実行計画への参加

日本経団連のCO2削減のための環境自主行動計画には、現在、61団体・企業にご参加いただいています。すでに参加されている団体・企業におかれましては、京都議定書の目標達成に向けて各々が掲げる計画の着実な実施をお願いしたいと存じます。また、まだ参加されていない団体・企業におかれましては、是非、私たちの取組みにご参加下さいますようお願いいたします。
さらにポスト京都議定書の産業界の取組みとして、昨年12月には日本経団連低炭素社会実行計画の基本方針を策定いたしました。団体・企業におかれましては、是非、本計画にもご参加いただきたくお願いいたします。

2.運輸・業務部門での取り組み強化

運輸部門においては、物流効率化や省エネ車の導入、モーダル・シフトなどにより、環境負荷の小さい物流システムを構築していただきたいと存じます。
業務部門においても、オフィスにおける省エネのための数値目標の設定、省エネ性能の高い機器の利用、クールビズ・ウォームビズの推進など、オフィス等における温暖化対策をより一層推進されますよう、お願いいたします。

3.技術の開発と普及

長期的な視点からみた低炭素社会実現の決め手は、技術です。そして、技術分野こそ、経済界がもっとも大きな役割を果たせる分野です。引き続き、低炭素社会実現に資する技術のレベルアップを図り世界をリードするとともに、適切な手段で、国内外への技術の普及を図っていただきたいと存じます。あわせて長期的な視点の下に、革新的な技術の開発を積極的に推進することを強く期待しております。

4.省エネ製品・サービスの開発・普及

わが国において民生部門のCO2削減が大きな課題となっている中、経済界は、省エネ製品・サービスの開発・普及により、製品のライフサイクルを通じ温暖化防止に貢献できます。引き続き、世界最高水準の省エネ製品・サービスを開発・提供していただきますよう、お願いいたします。

5.ステークホルダーに対する働きかけ

低炭素社会づくりに向けては、企業は、事業活動を通じた取組みに加え、取引先、従業員、社会など、さまざまなステークホルダーに対する働きかけを行うことができます。
温暖化防止に資する製品・部品などを優先して購入するグリーン購入、温暖化対策に配慮した企業に優先的に投融資を行うグリーン投融資を推進していただきたいと存じます。
従業員・社会一般に対しても、家庭における省エネルギーの推進、CO2排出量に関する表示の充実、環境家計簿の奨励や公開講座の実施などによる啓発活動等をお願いいたします。また、環境報告書等による情報発信、植林・森林保全など緑の国づくりにつながる活動も積極的に行っていただきたいと思います。

上記をはじめとする低炭素社会づくりに向けた取組みの進捗状況については、担当役員や担当部署を設置するとともに、P-D-C-Aサイクルを回すなど社内体制を整備していただきたいと存じます。こうした動きが、やがては地球と共存できる社会システムづくりにつながることを期待します。

以上

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