このたび、新規学校卒業予定者の採用枠拡大や採用選考における多様な経験の評価等について要請がございましたので、以下の通り、お知らせいたします。
新規学校卒業者等の採用選考については、先に、採用内定取消し等への対応に関してお願い申し上げているところです。東日本大震災により、多くの企業が多大な被害に見舞われる中、企業の皆様においては、震災の影響を受けた新規学校卒業者等の積極的な採用に御配慮いただくとともに、柔軟な採用活動を実施していただいていることに、まずもって御礼申し上げます。
しかしながら、今春卒業した大学生の就職率が過去最低となるなど、新規学校卒業者等の就職環境は非常に厳しい状況となっています。来春卒業予定者も含め、一人でも多くの新規学校卒業者等が就職できるよう、引き続き政府一丸となってきめ細かな就職支援や民間企業の雇用創出に向けた環境整備に取り組んでまいる所存です。
一方、就職環境の改善は企業の皆様の御協力も不可欠です。
厳しい経済情勢の中ではありますが、将来にわたる競争力の維持・強化のためにも、採用枠の拡大についてご検討いただき、一人でも多くの新規学校卒業者等を採用していただくようお願いいたします。
また、現在被災地では、震災を契機に災害ボランティアを行う人が増加し、その輪は全国に広がっています。大学や地方自治体などにおいても、ボランティア活動に関する支援態勢が整備され、学生等が被災地へ赴き、がれきの撤去や避難所生活を続ける方への支援活動を行うなどのボランティア活動が推し進められているところです。こうした学生等の自主的な活動は、「新しい公共」の担い手として社会に積極的にかかわる態度を培うとともに、自らの社会的役割を見出す重要な機会となっています。
加えて、日本人の若者が海外留学を通じて、国際感覚を磨くことも重要です。残念ながら、学生の中には就職活動の時機を逸するとの懸念から、海外留学を躊躇する学生もいるところです。海外留学の経験は、国際体験を通じた国際理解・知識の拡大、語学力の向上、国境を超えた幅広い人的ネットワークの形成を促進するものであり、我が国企業の海外展開を牽引するグローバル人材の育成にも寄与します。
こうした活動は、学生等に対し多様な経験の機会を提供し、厚みのある人材の育成という観点からも、その教育的意義は非常に大きいものであります。このため、社会的にも当該活動が積極的に認知され、評価されることが、こうした活動を促す上でも重要であると考えます。
雇用対策法に基づく「青少年の雇用機会の確保等に関して事業主が適切に対処するための指針」においては、かねてよりお願いしている学校等の卒業後3年以内の既卒者に対する新卒枠での応募受付に加えて、通年採用等の導入の積極的な検討や、新規学校卒業者等を含む青少年の募集に当たり、ボランティア活動の実績等を考慮するなど、その将来性も含めて長期的な視点に立った判断をお願いしているところです。
こうしたことを踏まえ、各企業等におかれましては、採用選考において、学生等の様々な活動を通じて得られる多様な経験を積極的に評価していただくとともに、こうした活動が促されるよう、卒業後3年以内の既卒者の新卒枠での応募受付、通年採用の拡大、卒業から就職までの間に多様な経験を積むための猶予期間(GAP YEAR)への配慮など、その環境づくりに御協力くださるようお願いいたします。
最後に、政府においては、従来よりクールビズを通じて節電や温暖化防止の取組を推進しております。今年は大震災を受けた節電の必要性を踏まえ、更なる普及・啓発の強化に努めているところです。各企業等におかれましては、企業内だけでなく、就職活動中の学生等に対しても、面接試験の際に軽装を促すなど、御配慮いただけますと幸いです。
貴団体におかれましては、私どもの要請に何卒深い御理解を賜り、傘下団体及び事業主の皆さまにこの趣旨を徹底していただきたく、御協力をお願い申し上げます。
文部科学大臣 高木義明 |
厚生労働大臣 細川律夫 |
経済産業大臣 海江田万里 |