経団連「行政指導110番」の利用状況について

【事例1】

〔首都圏の薬局の事例〕


事例

首都圏で薬局を数店営業している会社が、ショッピング・センター内に新店舗(保険薬局)を開設するため県の窓口に事前相談に出向いた。窓口では、「同一フロアに既に医療機関が存在する場合は指定できない。開設後同一フロアに医療機関が入居した場合は更新(3年後)時点で階を移動する等をしなければ更新しない」との説明を受けた(95年3〜4月)。同社では、開設予定のフロアには現在医療機関は存在せず、また、3年後の状況は不明なためその時点で判断するとして開設を決定し、改めて申請の相談のために県の窓口に出向いた。その際には、法令に基づく添付書類以外に、(1)「医療機関が入居する予定はないというビル側の証明書」,(2)「現在医療機関は入居していないというビル側の証明書」,(3)「同一フロアに医療機関が入居した場合、直ちに保険薬局の指定を辞退する旨の誓約書」のいずれかの提出を指導され、その後さらに指導内容が変わり、(3)の提出がなければ申請を受理しない((1),(2)では不可)旨指導された(95年8月)。
同社では、対応に苦慮し経団連「行政指導110番」に相談の上(95年9月)、改めて申請し行政手続法に基づいて審査を求めたところ、同月中に指定を得た。

参考

健康保険法では、薬局が保険調剤を行うためには都道府県知事による保険薬局の指定が必要であり(同法第43条)、厚生省の通達では、医療機関に従属するとみなされる薬局は適格性に欠くとして、新規指定は行わず、また、既存薬局については廃止指導するか、構造・機能・経済上、医療機関から独立するよう改善指導する、としている。
なお、薬局の開設には薬事法第5条による許可が必要で、同社では95年8月に県知事より許可を得ている。

行政手続法では、地方自治体の窓口が行う行政指導は適用除外となっているが、国の法律に基づく申請手続きは適用対象となる(同法第3条2)。従って、健康保険法に基づく指定の申請の手続については、行政手続法に従い、申請が事務所に到達したときは遅滞なく審査を開始しなければならない(同法第7条)。


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