経団連「行政指導110番」の利用状況について

【事例6】

〔中国地方の酒類販売会社の事例〕


事例

中国地方の酒類卸・小売販売会社が卸免許の条件(清酒・焼酎は販売不可)解除を所轄税務署に申請したところ、免許枠がないことを理由に「申請を取り下げるよう」行政指導された。行政手続法に基づき行政指導の文書化を求めたところ、後日「指導は取り下げる」「国税局で審査に入る」旨の連絡あり(94年10月〜12月)。その後、国税局の調査が行われるなどで審査に時間がかかり、95年3月になって、「酒税の保全上酒類の需給の均衡を維持する必要があるため」認められないとして拒否通知書が届いた。
なお、同社では「既存の酒類販売業の権益の保護を徒に重視した処分であり裁量権の濫用である」として、拒否処分に対し取消訴訟(行政訴訟)を提起する予定とのこと。

参考

酒類販売には、酒税法に基づき販売場毎に所轄税務署長の免許が必要であり(第9条)、税務署長は「酒税の保全上酒類の需給の均衡を維持する必要があるため」適当でないと認められる場合は免許を与えないことができる(第10条) 。また、税務署長は「酒税の保全上酒類の需給の均衡を維持する必要がある」と認められる場合は、免許に販売酒類の範囲等の条件を付すことができる(第11条)(但し、その必要がなくなった場合は、税務署長は、その条件を緩和し、又は解除しなければならない)(第11条第2項)。免許条件の解除・緩和の取扱いは新規免許に準じて審査される(酒類販売業免許等取扱要領)。
需給調整の観点から行われている参入規制については、規制緩和推進計画(95年3月31日閣議決定)において、「廃止も含め抜本的に見直す」とされている。

行政手続法では、行政庁が申請を拒否する場合には処分理由を提示せねばならないとされている(法第8条)。同社への拒否通知書では、「酒税の保全上酒類の需給の均衡を維持する必要があるため」と理由が記載されている。


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