経団連の最近の動き

(1994年11月)

「経団連インフォメーション」の記事より


行政手続法の着実な履行を

経団連では「行政指導 110番」を設置し、行政手続に関し不公正・不透明な事例を受け付けている。11月22日に関係者の確認を得て、その事例を初めて公表した。

事例は、ある一般ガス会社がガス供給区域の拡張の申請を通産局に対し行なったが、法令等では求められていない報告書の添付が求められ、申請が受理されなかったうえ、行政指導の内容を文書として交付することも断られたというもの。

経団連では、21日に公表内容を通産省に伝えたところ、22日午前に通産省より申請は9日付けで受け付けた旨連絡があった。会員企業各位の周囲でこのような事例があれば、行政指導 110番までお寄せいただきたい。( 行政指導 110番=FAX 03-5255-6234 )

特石法廃止後の石油製品輸入

経団連では、94年度末の特定石油製品輸入暫定措置法廃止後の石油製品輸入のあり方について、「石油政策検討 ワーキング・グループ」(座長:南直哉東京電力常務取締役)で検討を進めてきたが、11月21日、このほど報告を、取りまとめ、資源エネルギー庁ほかに提出した。

報告では、経済的規制の緩和とエネルギーの安定供給の観点から、備蓄制度・品質規格制度の整備を求めるとともに、今後の検討課題として、石油製品の内外価格差や石油政策全般の見直し、流通の効率化を指摘している。

パンフ「規制緩和」を配布中

経済広報センターでは、生活に身近な規制・税などを「家庭生活の1日」の構成にまとめ、4コマ漫画やイラストなどを使ってわかりやすく解説した豊かな暮らしのための規制緩和のパンフレットを希望者に配布している。

APECビジネス会合へ代表団を派遣

11月中旬、インドネシアでのAPECと平行して、米国、豪州、カナダ、韓国等の多数のビジネスマン同士によるビジネスミーティングが行われた。経団連は熊谷日本・インドネシア委員長を団長とするミッションを派遣。11月13日にインドネシア閣僚の出席の下、日・イビジネス会合を開催した。

日米間の信頼醸成を

経団連では、11月中旬の豊田会長を団長とする訪米ミッションの成果を受けて、日米間の信頼醸成のため、対米民間対話の推進と発信機能の拡充に一層力を注ぐこととした。

ASEAN・ベトナム・ミッションを派遣

経団連では、来年の2月と4月に、豊田会長を団長とし、副会長、関係委員長からなるトップ・レベルのミッションをASEAN6カ国とベトナムに派遣する。

第1次ミッションはシンガポール、タイ、ベトナムを訪問し、各国の政治・経済界首脳と2国間のみならず多国間の問題を話し合う。 特に来年には大阪でAPECの会議が開催されることもあり、APECにおける貿易・投資自由化の進め方や域内協力の促進等を中心に話合いを行う予定。

規制緩和を強力に推進

経団連では、5月の 196項目に及ぶ規制緩和要望に引き続き、第2弾として11月17日、19分野 456項目の規制緩和要望(意見書「脱規制緩和に向けた実効ある規制緩和推進計画の策定を求める」)をとりまとめ、豊田会長が五十嵐官房長官に手渡した。

同意見では、政府が策定作業を進めている規制緩和推進5カ年計画において、規制緩和3原則(ゼロ・ベース、サン・セット、公開) を導入・確立し、 (1)経済的規制の5年内の半減、 (2)98年末までの再販指定品目の取り消し、個別法による適用除外カルテルの原則廃止を要望するとともに土地・住宅、流通、エネルギー、金融、農業等の各分野について具体的な緩和改善を要望している。

ウルグアイ・ラウンド協定の年内批准を

ウルグアイ・ラウンド(UR)協定は、各国の批准の後、95年1月の発効が期待されている。そこで経団連では、11月15日、UR関連法案の成立を図るとともに、同協定の年内批准を政府・与野党に申し入れた。

良好な日米関係維持のため課題の克服を

11月11日、ベーカー元米国国務長官を招き、中間選挙後の米国政治、日米関係などについて懇談した。ベーカー元長官からは「共和党は伝統的に自由貿易主義であり、選挙の結果、日米関係が悪化することはない」等の発言があった。

規制緩和で雇用創出は74万人

規制緩和は経済・産業を活性化させる反面、雇用面への影響が懸念され、議論されることが多い。

そこで、経済構造問題委員会企画部会(部会長 西村日本総研副会長)では規制緩和の意義と効果を明確化するために検討を行い、11月15日の理事会に検討結果を報告のうえ公表した(「規制緩和の経済効果に関する分析と雇用対策」)。

同報告では、95年度〜2000年度において、規制緩和により、実質GDPは、177兆円増加、74万人の雇用機会を創出すると試算し、規制緩和のメリットを強調している。なお、短期的な雇用のミスマッチ等に対する対策の充実の必要性を指摘している。

自己株式取得の規制緩和で経団連資料発行 

本年6月、経団連が20数年来、繰り返し要望してきた自己株式取得の規制緩和を含む改正商法及び改正証取法が成立した。そこで、実務家の参考に供するために関係法令を網羅した経団連資料No7「自己株式取得規制の緩和と経団連の活動─平成6年改正商法・証券取引法の解説」を発行した(定価 1,000円)。

持続的、安定的成長を続ける中国経済

10月31日、中国の栄毅仁国家副主席を招き、豊田会長、齋藤評議員会議長等と、急速な発展を続ける中国経済の現状等について懇談した。栄副主席からは「中国経済の成長は目覚ましい。財政・金融面の改革は順調で、社会主義市場経済の実現に寄与している」等の発言があった。


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