経団連の最近の動き

(1994年12月)

「経団連インフォメーション」の記事より


「冷戦後の経済協力」につき提言

経団連は、12月20日、「冷戦後のわが国の国際貢献と経済協力の役割」を取りまとめた。今後の経済協力は、官主導の体制では途上国の実情に対応できないとし、民間企業・NGOの役割を重視するなど、民間との提携を強化すべきであることを主張している。 今後は、提言の実現方を関係省庁に働きかけるとともに、実年協力隊構想など経済協力における民間人の活用方策を検討していく。

日本は規制緩和を先送りにはできない

行政改革推進委員会では、12月13日、モンデール駐日米国大使を招き意見交換した。 大使からは「米国の経験からいって、規制緩和は『原則自由、例外規制』の大原則に基づいて進めるべきであり、その進捗状況は緩和された規制の件数ではなく、市場に顕れた効果によって判断するべきである」等の発言があった。

経団連要望3項目がOTO優先案件に

経団連では9月に、OTOに市場開放に関する6項目の具体的要望を提出した。11月28日のOTO推進会議において、経団連ほか在日各国大使館等から提出された規制緩和要望のうち、52案件を取り上げるとともに、その中で16案件を3月までに検討・対応する優先案件とすることを決定した。 経団連要望で優先案件とされた3項目は、(1)関税無税品等に係わる消費税の評価申告の廃止、(2)ミネラルウォーター輸入に関する外国検査結果の受け入れ、(3)税関の執務時間延長である。

女性の社会進出の報告書を作成中

女性の社会進出に関する部会(部会長 坂本西友専務取締役)では、10月に実施した「女性の働き方に関する意識調査」の結果等を踏まえて、現在、部会報告を作成中である。経営者へのアンケートでは、173名より回答があり、うち121名(70%)が、幹部社員として女性の能力活用を積極的に進める必要があると答えている。

社会貢献の実務ノウハウを満載

新しい企業像を模索する動きが続いている。経団連では、社会貢献をその一環ととらえ、突っ込んだ議論を行ってきた。その議論を集大成し、各社の事例・ノウハウ等を満載した『企業の社会貢献ハンドブック─近未来の企業像』(日本工業新聞社刊、2,500円)を発刊した。

総合的な新規事業支援策の実施を

新産業・新事業委員会企画部会では、12月5日、95年度の通産省の新規事業の育成ならびに既存産業の事業革新支援策について、小平産業政策局産業資金課長兼新規産業振興室長から説明を聞いた。小平課長からは「わが国は、市場機能の強化を図り、経営資源の新たな分野・形態での活用を支援することによって、内需主導型で活力ある産業構造への転換を図る必要がある」等の発言があった。

税制改正に向け関係方面に働きかけ

経団連では10月に「来年度税・財政運営に関する見解」を取りまとめ、その後、自民党・社会党はじめ与野党の首脳、ならびに大蔵省・通産省に要望事項の実現を訴えてきた。

12月に入り、与党税調・政府税調での税制改正審議の本格化に対応して、これらの審議への対応方針を協議しつつ、主として国際的イコール・フッティングの必要性の観点から、以下の要望事項を強く働きかけている。

安全で利便性の高い基盤整備の推進を
─ 野坂建設大臣ら建設省と意見交換

12月5日、豊田会長他経団連幹部は、野坂建設大臣ほか建設省幹部と95年度予算・税制、行政改革等をめぐり意見交換した。建設省側からは「経団連が3月に建議した土地・住宅関連の規制緩和要望は大部分を7月5日に閣議決定された政府規制緩和策に盛り込んだが、11月の追加要望についても本年度中に策定予定の規制緩和推進計画の中で対応したい」等の発言があった。

日本社会党との懇談会を開催

日本社会党からの申し入れにより、12月5日に豊田会長ほか経団連首脳と村山委員長、久保書記長ら社会党執行部とが今後の政策運営をめぐり懇談した。日本社会党の政権参加以来、個別テーマでは経団連関係者と意見交換する機会はあったが、首脳同士が懇談するのは初めてのこと。

日ロ経済交流活性化への動き

11月20〜25日、河毛日ロ経済委員長はモスクワでロシア政府・議会・経済界要人と会談。29日には、来日したソスコヴェッツ第一副首相らと懇談した。

その結果、サハリン大陸棚石油・ガス開発協力の実施に必要な諸法が95年初に整うことが明らかになった。旧ソ連時代に締結した第4次極東森林資源開発協力の基本契約についても、その後の情勢の変化に対応するため、再協議することとなった。また債務支払遅延問題も解決に大きく近づいた。

これらの成果を踏まえ、95年の早い時期に東京で第2回合同会議を開催し、具体的なプロジェクトや分野別協力について話し合う予定である。

インドにミッションを派遣

経団連では、1月26日から、規制緩和と国営企業の民営化を中心に経済改革を進め、成果を挙げているインドに投資環境調査ミッションを派遣する(団長:歌田副会長)。

ミッションはインドの経済改革の進捗状況、わが国経済界との協力の可能性などを探る。

ASEANで重みを増すインドネシア

11月21日、第13回日本・インドネシア合同経済委員会に向けて、日本側結団式を開催し、外務省の川島アジア局長から、APECインドネシア会議の模様、最近のインドネシアの政治経済の状況等について説明を聞いた。

川島局長からは「ボゴール宣言に貿易・投資の自由化が盛り込まれるに当たってインドネシアがイニシアチブを取ったことは注目される。それによりAPECは急速に実体をそなえ始めている」旨の発言があった。


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