経団連の最近の動き

(1995年 2月)

「経団連インフォメーション」の記事より


米国のニュービジネスの実態を調査

新産業・新事業委員会では、検討の一環として、ニュービジネスの登場が経済全体の活性化に大きく貢献している米国の事情を調査するため、4月5日〜16日、調査団(団長:古見多香郎企画部会長)を派遣する。
調査団は、米国政府当局との意見交換をはじめ、米国の著名ベンチャーキャピタル、ベンチャー企業、MIT、スタンフォード大学等を訪ね、米国の(1)起業家・ベンチャー企業に関する輩出・育成・支援策、(2)大企業の新規事業進出・コーポレートベンチャリング、経営者の意識改革、(3)人材育成・教育、企業の人事評価システムなどについて調査する。

ASEANミッションの現場から

「箸、仏教、コメは日本とベトナムの共通点」と、ベトナムの最高実力者であるド・ムオイ共産党書記長は訪問中の豊田会長に述べた。
ダイナミックな成長を続けるアジアの息吹を実感し、日本や世界との高度な分業関係のあり方を探るため、2月15〜26日にかけて、経団連訪ASEAN・ベトナムミッションが派遣された。団員13人からなる同団は、東南アジアのビジネス・ハブのシンガポール、外国からの投資誘致に熱心なタイ、さらにドイモイ10年目でASEAN諸国に迫るベトナムを訪れた。この3カ国では、政財界首脳と会談、アジアの多様性とともに、今後の日本経済界への強い期待を実感した。
なお、4月中旬に、第2次ASEANミッションが他のASEAN4カ国を訪問する予定である。

WTOに関する3極民間会合を開催

1月1日、ウルグアイ・ラウンド合意が発効し、世界貿易機関(WTO)が発足した。
経団連では、3月9日にベルギー・ブラッセルのUNICE本部において、このWTO発足を機に、欧州産業連盟(UNICE)、米国製造業者協会(NAM)などと協力し、WTOに関する3極民間会合を開催する。
会合では、環境、労働基準、競争政策などWTOの今後の課題について民間レベルでの意見交換を行う。

太平洋部会が中間報告を発表

環太平洋諸国は、直接投資、技術協力を通じた産業協力関係を深めており、わが国にとって重要性を増している。 この動きに対応し、国際産業協力委員会太平洋部会(部会長:立石オムロン副会長)では、 この程「太平洋地域の発展とわが国の役割」(中間報告)を取りまとめた。
中間報告は、民間の自由な経済活動が地域の経済発展の基本であるとの認識に基づき、 同地域における日米関係の重要性を強調した上で、NAFTA、APEC等の枠組みについて、 WTOとの整合性を求めるとともに、評価を行なっている。
太平洋部会では、今後とも個別の事例を含めて検討を続け、最終報告を取りまとめる予定である。

女性の社会進出に関する部会レポート
「社会が変わる、会社も変わろう、男女の働き方を変えていこう
──働きたい人が力いっぱい、はつらつと働ける社会をめざして」
を公表

経団連では1993年8月に発足した「女性の社会進出に関する部会」での約1年半におよぶ検討を踏まえ、2月8日、標記報告書を公表した。
経団連として初めて女性の問題に本格的に取り組んだものであり、経営者、人事部長、男女社員の考えをアンケートで浮彫りにしつつ、 企業の立場のみならず働く個人の視点も踏まえ、男女の属性を超えて日本人がはつらつと働くための条件について広範な議論を展開している。

「阪神大震災被災地の復旧・復興のための緊急提言」を建議

経団連では、2月6日の会長副会長会議で審議の結果、標記提言をとりまとめた。 政府・関係自治体に建議するとともに、会員企業・団体にも協力をお願いする。 これは2月1日の「震災対策会議」の検討を踏まえたものであり、具体的には、補正予算の早期編成・成立、ならびに
  1. 救援活動の円滑化
  2. 居住・生活環境の改善
  3. 医療機関の再建と被災者のメンタルケアの充実
  4. 幹線道路、鉄道、港湾等の早期復旧と代替ルートの確保
  5. 住民生活の安定化や商工事業者の施設復旧、事業再開への支援
  6. 被災地における商業・流通機能の回復
  7. 義務教育の正常化に向けた環境の整備
  8. 倒壊・焼失した建築物等の撤去と瓦礫処分の促進
  9. 土地区画整理事業、市街地再開発事業の推進
  10. 区分所有集合住宅に居住する被災者等の救済
  11. 産業施設の復旧・操業再開への税制・金融面での支援
  12. 被災地における電力、ガス、通信事業者に対する支援
などについてである。

創造的な人材育成の検討を開始

これからの経済社会においては、創造性や個性に富んだ人材が、あらゆる分野で求められる。 そこで、経団連では、こうした人材の育成について幅広く検討の上、企業との関わりを中心に提言し、 その実現を推進することを目的とし、「創造的な人材の育成に関する懇談会」(座長:末松副会長)を設置した。 第1回会合は2月6日に開催し、前の東京大学総長で、理化学研究所理事長の有馬朗人氏より話を聞く。

ASEAN・ベトナムにミッションを派遣

2月15日〜26日、シンガポール・タイ・ベトナムに、豊田会長を団長とし、副会長・関係委員長で構成するミッションを派遣する。 リー・クァン・ユー シンガポール上級相、チュアン タイ首相、ド・ムオイ ベトナム共産党書記長などと政策対話を行う。 なお4月には、フィリピン・マレーシア・インドネシア・ブルネイに第2次ASEANミッションを派遣する。


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