経団連の最近の動き

(1995年 7月)

「経団連インフォメーション」の記事より


消費者・生活者の視点からとらえた公的規制・サービスの問題を検討

消費者・生活者委員会(委員長:鈴木敏文氏)では、これまで、企業と消費者・生活者とのより良い関係づくりに向けて活動を進めてきたが、今年度は新たに、消費者・生活者の視点から、公的規制やサービスなどにおける問題点を取り上げ、その改善策を検討していくこととしている。
そこで、まず8月4日に委員会を開催し、小倉昌男ヤマト福祉財団理事長(前ヤマト運輸会長)から、新規ビジネスを展開する上で障害となった各種規制や官・民の発想の違いについて聞く予定である。

経済・産業の近代化に向け日本の協力を要請
─ウクライナ代表団が来日

経団連では、本年3月に公賓として来日したクチマ・ウクライナ大統領を招いて、同国経済が有する潜在力、日本との経済協力のあり方などについて懇談したが、それを受けて、7月30日〜8月4日の日程で、ポポフ大統領顧問を団長とする代表団が来日することとなった。これは、民間経済界との交流推進を目的とするもので、団員にはミチュコフ副首相、ポドレフ対外経済関係省第一次官などの政府首脳も含まれている。
そこで、日本NIS経済委員会(委員長:河毛二郎氏)では、7月31日と8月3日の2回にわたり、同代表団と、ウクライナ経済の現状と課題、ウクライナ日本経済委員会(委員長:ポポフ大統領顧問)の活動状況などについて懇談する予定である。

社会貢献・国際文化交流活動
94年度実績調査を実施中

社会貢献推進委員会(委員長:椎名武雄氏)、国際文化交流委員会(委員長:高丘季昭氏)では、企業の社会貢献活動に対する社会の関心の高まりを受け、91年から標記実績調査を毎年実施している。
本年も、社会貢献関連支出、社内制度の整備状況などを内容とした94年度実績調査を経団連会員企業ならびに1%クラブ法人会員に対し実施中である(〆切は9月14日)。
この調査結果は、両委員会で取りまとめ、企業の社会貢献の実態について広く社会にアピールしていく予定である。ぜひ、本実績調査にご協力お願い申し上げたい。

「魅力ある日本」を創造するためのグランド・デザインを検討中

世界が転換期を迎えている中で、わが国においては、発展のポテンシャリティーが高いにもかかわらず、旧来の「追いつけ、追い越せ」型の経済発展の行き詰まり等により、一種の閉塞感が漂っている。
経団連では、本年1月の会長の新年メッセージ「活力と創造性あふれる経済社会を目指して」、5月の定時総会決議「閉塞状況から脱却し、活力と創造性あふれる経済社会づくりを進める」を受け、21世紀の経済社会の基本構想づくりを本年度の重要テーマとして取り組んでいる。
そこで、本年4月から、広報委員会企画部会(部会長:奥田 碩トヨタ自動車副社長)において、「構想」づくりに向けて、学識経験者等からのヒアリングを随時行っているほか、今月上旬には、経団連の会員代表者を対象として、理想とする日本の国家像についてアンケート調査を実施し、取りまとめ中である。
また、7月20日から開催中の経団連東富士フォーラムにおいては、「21世紀の経済社会の基本構想」をメインテーマに、
  1. 創造的人材の育成、
  2. 新産業・新事業の創出、
  3. 豊かな国民生活の実現と魅力ある国土の建設、
  4. 新しい国際秩序の確立とわが国の対応、
について集中的に討議している。
これらの一連の活動を踏まえて、12月末を目処に「魅力ある日本の創造」(仮題)と題する「構想」を取りまとめる予定である。

男女がはつらつと働くための課題、議論を「経団連資料」として発刊

女性の社会進出に関する部会(部会長:坂本春生西友専務取締役)では、今春、会社の中での女性が活躍するための意義と課題をレポートにまとめた。
今般、そのための1年半にわたる議論の経過内容や、男女社員の考え方を訊ねたアンケート結果等をまとめ、「経団連資料No.10」として発刊した。頒価は1部1,000円。

規制緩和推進計画の改定に向けて要望を取りまとめ中

本年3月に閣議決定された規制緩和推進計画は、内外からの意見・要望、行政改革委員会(委員長:飯田庸太郎氏)の監視結果等をふまえて、毎年末までに見直し、毎年度末までに改定される。
経団連では、政府の改定作業にあわせて、今秋を目途に、分野別の具体的な規制緩和要望を取りまとめ、行政改革推進本部(本部長:内閣総理大臣)や行政改革委員会等、政府関係先に建議することにしている。
現在、経団連の関係委員会をベースに、昨年11月の規制緩和要望(456項目)のフォローアップならびに新規要望をとりまとめている。ご意見・ご要望がある場合は、分野別の関係委員会か、行革推進室(TEL:03-3279-1411,FAX:03-5255-6234)まで、ご連絡願いたい。

「コーポレート・ベンチャリングにおける経営者の役割」とは

新産業・新事業委員会(委員長:大賀典雄氏)では、ニュービジネスが生まれ育つ社会について検討しているが、6月にはその一環としてペンシルバニア大学との共同調査「新規事業をめぐる経営トップの意識調査」を行った。
それを受けて、7月18日には委員会を開催し、同大学ウォートンスクール起業研究所所長のマクミラン教授と、同調査の分析結果を踏まえて懇談する予定である。

国際貢献・人材派遣構想部会を設置

経済協力委員会では、国際貢献・人材派遣構想部会(部会長:北川正人千代田化工建設副社長)を新設した。同部会の活動を通じて、
  1. 日本の経験を参考にした生きた経済協力の推進、
  2. 「顔の見える」形での国際貢献、
  3. 途上国の民間部門育成への協力、
等の実現を図る。
実際の活動にあたっては、経済協力委員会はもとより関係国別・地域別委員会ほかと緊密な連携を図る。また、在京途上国大使館とのコミュニケーションを円滑に行う。
同部会では、途上国からの要請に基づき、
  1. 関連委員会等の委員長またはそれに準ずる役員クラスから構成されるトップエグゼクティブ・アドバイザー、
  2. 関係企業の部課長クラズの人材による国際ビジネスフェロー(仮称:実年協力隊から改称)
の派遣につき検討を行う。

連結納税制度の検討に着手

近年、企業経営の効率化、新事業への進出等のために、分社経営の必要性が高まってきており、独占禁止法の緩和による純粋持株会社の解禁も検討されている。このような動きに対応すべく、税制面において連結納税制度の導入が求められている。連結納税制度は、既に先進諸外国のほとんどにおいて導入されており、その導入は国際的整合性の観点からも喫緊の課題である。
そこで、経団連では税制委員会の下に連結納税制度打合会(座長:関 哲夫新日本製鐵取締役)を設置し、連結納税制度のあり方、導入にあたって解決すべき問題点等を具体的に検討することとした。第1回会合を7月17日に開催する。

日本関連の事業活動に強い関心
−米国主要企業トップに対する意識調査結果を公表

アメリカ委員会(委員長:槙原 稔氏)では、日米財界人会議の米側メンバー企業を中心とする米国主要企業110社のトップを対象に、日米経済関係に対する考え方や日本市場に対するパーセプション等についてアンケート調査を実施した。
調査の結果、米国企業は
  1. 日本市場は浸透困難だが、日本の長期的・安定的事業関係には満足している、
  2. 数値目標には賛成だが、通商法301条の効果には疑問がある、
  3. 日本の一層の規制緩和と市場開放の推進を望んでいる
こと等が明らかとなった。
この調査結果は無料で配付しているので、こ関心のある方はご一報いただきたい。

21世紀の日本の国家像についてアンケ−トを実施中

経団連では、「活力と創造性あふれる経済社会の基本構想」と銘打ち、21世紀に向けての経済界の決意、実現したいと思う日本の姿、そのための具体的な施策を取りまとめ中である。
そのため、現在、会員企業代表者の皆様が理想とする日本の国家像について、アンケ−トを実施している(〆切は今月10日)。混迷の時代に明るい展望を見出すべく、「構想」づくりに向けて、皆様からご意見をお寄せ頂けるよう、ご協力お願い申し上げたい。


日本語のホームページへ