経団連の最近の動き

(1999年6月)

「経団連インフォメーション」の記事より


No.219 ( 6月18日発行)より

急がれる都市再生

国際的な都市間競争の中で、わが国都市は、機能更新が進まず、魅力の低下が著しい。国土・住宅政策委員会では、新しい時代の都市に求められるコンセプトを明らかにし、わが国都市を魅力ある都市へと再生するための課題と取り組みを「都市再生への提言」として取りまとめる。22日の理事会での議決を経て経団連の提言として公表する予定である。
新しい時代に求められるコンセプトは、

  1. ライフスタイルの多様化に対応した生活都市、
  2. 人にやさしいユニバーサルデザインの国際都市、
  3. 国際競争力を高める活力ある産業都市、
  4. 自然と調和した環境共生都市、
  5. 災害に強い安全都市、
の5つであり、提言ではこれらコンセプトを組み合わせた特色ある都市への再生を、わが国の人口・世帯数が減少していく2020年頃までに実現することが必要であり、そのためには今から取り組むことが重要であると訴えている。

No.218 ( 6月 4日発行)より

産業競争力会議において技術開発の推進、インフラ整備のあり方を議論

小渕総理が主宰する産業競争力会議の第4回会合が、6月3日の朝、官邸において開催され、技術開発の推進、インフラ整備のあり方などが議論された。
民間側委員からは、金井経団連副会長が「産学官が一体となった産業技術戦略の策定と技術開発の重点化」を、江頭味の素社長が「バイオ産業において米国と競争し得る環境づくり」を、濱中経団連輸送委員会共同委員長が「高コスト構造の是正に直結する交通・物流インフラの重点整備」を、さらに前田日建連会長・前経団連評議員会副議長が「官民連携による交通・物流の結節点の整備」について訴えた。
最後に小渕総理が、

  1. 本日の提言は、精査の上、6月11日に政府がとりまとめる雇用対策・産業競争力強化対策に盛り込む、
  2. 政策資源を真に産業競争力に役立つものに省庁横断的に配分するよう対応する、
  3. 国家としての産業技術戦略を持つため、産学官一体となって策定を行なう、
  4. 高齢化、環境、情報化対応など、未来市場を開拓するための官民の共同プロジェクトについて民間より具体的な提案を求めたい、
と総括した。
次回の会合は7月上旬、中小企業の活性化・ベンチャー企業の育成など新産業・新事業創出に加え、技術開発の官民共同プロジェクトについて議論される予定である。

社会保障制度委員会が発足

先月25日の経団連定時総会において、社会保障制度委員会(共同委員長:福原義春 資生堂会長、福澤武 三菱地所社長)の発足が決まった。社会保障制度委員会では、これまでの経団連提言を掘り下げ、具体的な政策提案をより機動的に行なえるよう、年金改革部会と医療改革部会の2つの部会を設置する。年金改革部会では厚生年金基金制度の抜本的見直しと確定拠出型年金の具体案を、医療改革部会では高齢者医療制度の改革と保険者機能の強化を当面の検討テーマとして取り上げる。
間もなく、全会員企業に対して、委員会への参加依頼と合わせて、7月中旬に開催予定の第1回委員会(今後の社会保障制度改革の基本的考え方について有識者と懇談予定)の案内を出す予定である。多数ご参加いただきたい。


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