経団連の最近の動き

(1999年11月)

「経団連インフォメーション」の記事より


No.237 (11月26日発行)より

「科学・技術開発基盤の強化について」を提言

科学技術会議政策委員会では、2001年度から実施する次期科学技術基本計画について4つのワーキンググループを設置し、検討を行なっている。そこで、経団連では、産業技術委員会と産業問題委員会の共同で、次期基本計画の策定に対する標記提言を取りまとめ、24日に建議した。
具体的には次期基本計画において、計画実施のための必要経費の目標値(例えば対国内総生産1%)の明示、技術の創造・融合から事業化・標準化までに至る技術革新の全過程を視野に入れた政策展開を求めるとともに、総合科学議術会議への期待や科学技術・産業技術を支える教育改革、産学官連携の一層の推進、産業技術力の強化策、技術の標準化への取組みと知的財産政策の積極的展開を提言している。

中曽根文部大臣が今井会長へ新卒者採用枠の拡大を要請

中曽根文部大臣は、来春の大学・高校の卒業予定者の就職内定率の悪化を受け(10月現在の就職内定率は大学63.6%、短大36.5%、高校41.2%)、各経済団体のトップに採用枠の拡大を要請した。
11月22日には経団連を訪れ、今井会長に対して、「厳しい経済情勢の中で企業は努力していると思うが、大学生、高校生の就職状況が一段と厳しいので、採用枠の拡大に努めてほしい」旨の要請があった。
今井会長は、「何よりもまず景気の回復が重要である。大臣の要請は会員企業に周知する」と返答した。なお、「経団連では以前より会員企業に対して通年採用など採用方法の多様化を呼びかけ、若者が長期間失業することがないように努めており、また、現在産業競争力会議に向けて人材育成について検討中である」旨述べた。
依然として厳しい経済情勢ではありますが、次代を担う若者の就職について、各社におかれましても、一層のご配慮をお願いいたします。

No.235 (11月12日発行)より

電子署名・認証に関するフォーラムを開催

情報通信ネットワークを通じた取引等における本人確認を的確に行なう手段である電子署名・電子認証に関する法制度のあり方の議論が、電子商取引の発展や電子政府推進の基盤として、国連、OECDなど国際的に高まっている。一方、日本政府は、次期通常国会への電子署名法案提出を目途に鋭意検討を進めている。
そこで、経団連情報通信委員会情報化部会では、11月19日 13時30分〜18時にインターネット法制に関してグローバルな調査・提言活動を行なっている民間団体であるILPF(Internet Law & Policy Forum)と共催で、米国商務省、EU委員会、日本政府の代表者、ならびに日米欧の電子署名・認証制度に関する民間の専門家を招いて国際フォーラムを開催し、電子署名・認証に関する制度整備をめぐる今後の対応のあり方を探ることとしている。

COP5が閉幕
−経団連ワークショップを開催−

10月25日〜11月5日まで、ドイツのボンにおいてCOP5(気候変動枠組条約第5回締約国会議)が開催され、世界168カ国が参加、京都メカニズム、遵守問題、シンク等、種々の論点について交渉を進めた。同会議には世界各国のNGOも多数参加、政府間交渉の進展を見守り、適宜働きかけを行なうとともに、会場内でワークショップを開催するなど活発に活動を行なった。
経団連からは、辻副会長・環境安全委員長、細谷地球温暖化対策タスクフォース座長、中田排出権取引・共同実施等タスクフォース座長等が参加し、欧米産業界との意見交換等を行なった。また、10月30日には、COP5会場においてワークショップを開催した。細谷座長より、先に取りまとめた経団連環境自主行動計画第2回フォローアップの結果について説明したところ、特に欧州の産業界、EU委員会事務局から、産業界の自主的な取組みとして高い評価を受けた。
政府間交渉の結果、COP3で合意された京都議定書の発効を目指して、2000年11月にオランダのハーグで開催されるCOP6までに、京都メカニズムをはじめとする諸課題につき実質的な解決を図ることで合意した。また、京都議定書の批准および発効は2002年を目標とすべきという見解が、開催国ドイツをはじめ多くの国から表明された。

No.234 (11月 5日発行)より

「国際競争力ある資本市場の確立に向けて」を提言

経団連では、11月2日に金融制度委員会(委員長:片田哲也副会長・小松製作所会長)を開催し、資本市場のインフラ整備を柱とする標記提言を取りまとめた。
昨年施行された金融システム改革法により、金融・資本市場の法制面の整備は進んでいる。しかし、先進諸外国と比較すると、電子化等による合理化、効率化の遅れている資本市場のインフラや関連諸制度の整備が、わが国市場を国際競争力あるものとする上でさらに必要である。意見書では、そのために必要な諸施策を要望している。
具体的には、安全で効率的な証券受渡・決済制度の確立や国内証券取引所の効率化によるインフラ整備とともに、発行体や投資家の観点から、会計・開示制度や税制の国際的整合性の確保と、市場を重視した経営手法の多様化を求めている。


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