経団連の最近の動き

(2000年6月)

「経団連インフォメーション」の記事より


No.262 ( 6月30日発行)より

わが国は自由貿易協定を積極的に推進すべき

1990年代に入り、北米自由貿易協定(NAFTA)や南米南部共同市場(MERCOSUR)の形成、欧州連合(EU)の拡大など、世界的に自由貿易協定が急速な広がりをみせている。諸外国においては、自由貿易協定はWTOと並ぶ重要な通商政策の柱の一つと位置付けられている。
しかし、わが国は、これまで自由貿易協定に積極的に取り組んでこなかったため、企業は様々な事業機会を逸しただけでなく、すでに他国と自由貿易協定を締結している国とのビジネスにおいて、競争上不利な立場に置かれている。
そこで、経団連では貿易投資委員会で、新たな通商政策の柱として自由貿易協定を積極的に活用するよう求める内容の提言を取りまとめている。7月18日の理事会に諮り、政府に建議する予定である。

No.261 ( 6月23日発行)より

「21世紀を展望した税制改革に向けて」を発表

税制委員会では総選挙を前に、与党に対して税制を中心とする政策要望を提示し、公約に反映させるべく、6月13日の会合において提言を取りまとめ、20日の理事会を経て公表した。同提言では、国民負担率の上昇を抑制し活力ある経済・社会を構築するため、国・地方を通じた財政改革、直間比率の是正を含めた歳入面の改革、社会保障制度などの構造改革を一体的に進めることが重要であると指摘した上で、当面の課題として、会社分割税制の整備、連結納税制度の早期実現などを求めた。特に地方法人課税については、法人住民税・事業税の一本化など簡素化を中心とする地方税制全体の見直しと地方行財政改革の実現が重要であることを指摘し、法人事業税だけを取り上げて外形標準課税を導入することには反対の立場を明確に打ち出した。なお、9月には、改めて平成13年度税制改正提言を取りまとめる予定である。

「経団連宇宙政策ビジョン わが国宇宙開発利用体制の改革と宇宙利用フロンティアの拡大」を建議

わが国の宇宙開発をめぐっては、

  1. 昨年のH-IIロケット打上げ失敗等により損なわれた宇宙開発の信頼性を回復すること、
  2. 「宇宙の産業化」、すなわち、わが国宇宙産業の国際競争力を強化すること、
が大きな課題となっている。そこで、経団連では、宇宙開発利用推進会議(会長:谷口一郎三菱電機社長)において、産業界の立場から宇宙政策のビジョンを取りまとめ、6月20日の理事会において提言として採択し、政府他関係方面に建議した。
本提言では、政府横断的・総合的な宇宙政策の下で、以下の点を要望している。
  1. 宇宙開発に対する国民の理解を得るため、宇宙開発・利用が経済、安全保障に果たす役割を明確にする。
  2. 次期科学技術基本計画で宇宙を重点分野と位置付け、総合科学技術会議において、宇宙の産業化を視野に入れ研究開発から産業化にわたる総合的な宇宙政策を策定し、政府横断的な体制で推進する。
  3. 宇宙開発事業団の機能については、宇宙プロジェクトの企画、立案、管理の機能に集中させ、設計・製造等の「もの作り」は企業の責任において行なえる体制とする。
  4. 国として、産業化に向けた研究開発と宇宙インフラの整備を推進する。特に、わが国独自のシステム構想と宇宙技術による「勝てるIT宇宙インフラ」を構築し、IT革命を推進する。

関東財務局の移転に伴う有価証券報告書等の提出に関するお知らせ

本年2月、大蔵省関東財務局が「さいたま新都心合同庁舎」へ移転したが、今般、同財務局より、有価証券報告書等の証券取引法開示書類の提出に関する混乱を避けるため、会員各社への周知を図るよう要請があった。
本年3月期決算会社の有価証券報告書等の受理は、「埼玉新都心合同庁舎」と「大手町合同庁舎」の二ヶ所において行なうとの内容である。詳細については、関東財務局ホームページをご参照いただきたい。

No.260 ( 6月16日発行)より

第3回経団連PRTR調査結果報告を発表

経団連は、1997年より事業者による化学物質の自主管理を促進する目的で、経団連PRTR(環境汚染物質排出・移動登録)調査を行なっており、6月16日に第3回調査報告をとりまとめ公表した。
第3回調査では、参加団体・企業とも第2回調査より拡大した。また、カバー率(調査対象物質の日本全体の総取扱量に占める参加44団体の取扱い実績の割合)も8割という高い水準を維持した。化学物質の大気への排出(環境への総排出量の約96.7%を占める)について、前回調査との比較を行なったところ、大幅に減少しており、排出削減に向けた各企業・団体の取組みが成果をあげていることが判った。
経団連では、PRTR法に基づくデータ把握が開始されることも踏まえ、経団連独自の調査は今回で終えることとするが、引続き、化学物質に対する産業界の自主管理への取組みを促していく。また、政府のPRTR調査の結果をフォローしていく。

意見書「21世紀の海洋のグランドデザイン」を公表

わが国はその周囲を広大で多様な海洋空間に囲まれた海洋国家であるが、世界的にも高い水準にある海洋に係る調査研究と比較して、その産業化は必ずしも進んでおらず、また、海洋に関する国としての総合開発計画も策定されていない。
そこで、経団連海洋開発推進委員会では、今後の海洋開発の進むべき方向性、および具体的な海洋開発プロジェクトの構想の提案を行なうべく、標記提言を取りまとめ、6月20日の理事会の承認を経て、政府等関係各方面に建議する予定である。
同提言では、まず、環境と共生した形での今後の持続的な海洋開発のあり方を提示した上で、わが国200海里経済水域において生物資源活用、海洋エネルギー開発、調査モニタリングなどを行なう海洋開発ネットワーク構想を提案している。

経団連産業技術委員会ナノ・テクノロジー専門部会を新設

髪の毛の1万分の1のレベルの微細な世界を取り扱う技術であるナノ・テクノロジーは、エレクトロニクス、材料、医療、エネルギーなど様々な分野で革新をもたらすことが期待されている。米国では、日本に遅れているとの認識から、国をあげてナノ・テクノロジーの振興に取り組み始めた。今後、ナノ・テクノロジー分野において、現在日本が持つ高水準の技術レベルをさらに発展させ、より優れた成果を生み出すために、ナノ・テクノロジーの振興に国をあげて取り組む必要がある。
そこで、経団連では、今般、産業技術委員会の下に、ナノ・テクノロジー専門部会(部会長:中村 日立製作所理事)を設置し、ナノ・テクノロジーの振興について、産業界の立場から検討し、提言することとした。
本部会にご関心がある場合には、下記にお問い合わせいただきたい。

【お問合せ先】
経団連 産業本部 渡辺、野村
TEL 03-3279-1411(内線3830,3838)

No.259 ( 6月 9日発行)より

規制改革アンケート調査を実施中

政府の規制緩和推進3か年計画は、今年度が最終年度にあたる。政府は、例年通り内外から規制改革に関する意見・要望を募集し、各省庁の対応状況を公表するとしている。
そこで、経団連では、規制改革の一層の推進・拡充を図る立場から、全会員企業・団体を対象に規制改革に関するアンケート調査を実施し、寄せられた新たな要望等を基に、10月末を目途に規制改革要望を取りまとめて政府に建議し、規制改革の継続・拡充を働き掛けることとした。
アンケートは、5月23日付で全会員(代表者)宛に発送され、締切は6月末となっている。会員企業・団体各位におかれては、規制改革の推進のため、積極的に要望をお寄せいただくようお願いしたい。

「産業廃棄物不法投棄原状回復基金」への出捐を要請

経団連は、産業界としての社会的責任を果たす観点から、1998年度に標記基金への出捐を行なった。その後も産業廃棄物の不法投棄が多発しており、基金の扱う原状回復事業の増加が見込まれることから、本年に入り改めて環境安全委員会を中心に基金への出捐について検討してきた。その結果、4月18日開催の経団連理事会において標記基金への産業界としての第二回目の拠出を行なうことが決定された。
本制度では、平年度ベースの総事業費8億円のうち半額の4億円を産業界が負担することとなっており、1998年度と同様、今回についても、建設業界ならびに産業廃棄物処理業界において産業界負担分の8割を負担し、残りの2割を通常経団連が実施している募金の負担割合(経団連方式)で各業界に依頼することになった。さる6月7日、関係業界に対し説明会を開催して出捐を要請したところであり、関係各位のご協力を願いたい。

21世紀の経済新生に向けて関西会員と懇談

6月7日、今井会長と5名の副会長が大阪に赴き、第122回関西会員懇談会を開催し、21世紀の経済新生に向けて関西地区の会員と意見交換した。当日は21世紀型のリーディング産業・分野の創出(前田副会長)、IT革命推進(岸副会長)、アジア経済の再構築と次期WTO交渉(森下副会長)、環境問題(辻副会長)、関西の活性化(香西副会長)について各副会長から発言があり、これをめぐって浦上住友生命保険会長、浅田NTT西日本社長、辻シャープ相談役、藤山藤沢薬品工業会長、秋山関西電力会長(関経連会長)等からコメント・意見があった。なお、会長・副会長一行は懇談会に先立ち、大阪府立産業技術総合研究所を視察した。

No.258 ( 6月 2日発行)より

福間資本市場部会長(三井物産副社長)が国際会計基準委員会評議員に選出

国際会計基準委員会(IASC)は、国際会計基準(IAS)が多国間で一層活用されるよう、2001年1月に各国の会計基準設定主体(日本の設定主体は現在、大蔵省企業会計審議会)との連携強化を図る組織変更を行なう。
経団連では、この機をとらえ、わが国の会計監査制度の国際的な信頼性を向上させるとともに、会計分野での国際的発言権を高めるため、産業界から新IASCへ役員を派遣するよう関係方面への積極的な働きかけを行なってきた。その結果、経団連が推薦する福間金融制度委員会資本市場部会長が、5月22日に19名の初代IASC評議員の一人として選出された。(議長はボルカー前米国FRB議長)
経団連では引き続き経済法規委員会国際会計部会(部会長:伊藤住友電工副社長)などを通じ、わが国産業界の意見を取りまとめ、IASC活動に反映させていく予定である。

牧野労働大臣と「ミスマッチ解消を重点とする緊急雇用対策」を巡り意見交換

5月29日、牧野労働大臣と経団連、日経連、日商、全国中小企業団体中央会の首脳との間で、5月16日に閣議決定された「ミスマッチ解消を重点とする緊急雇用対策」を巡り意見交換を行なった。経団連からは櫻井経済政策委員長(第一生命保険会長)が出席し、現下の雇用情勢に対する見方、並びに雇用改善に向けた経団連の考え方などを紹介した。労働省からは、各経済団体に対し、同対策を積極的に活用するよう要請があった。同対策は、今後1年間、施策を集中的に発動することにより、少なくとも35万人程度の雇用・就業機会の増大を図ることを目的とし、昨年6月に政府が策定した「緊急雇用対策」における助成金の支給要件などを見直したものである。施策は、
  1. 新規・成長分野雇用創出特別奨励金の抜本的拡充などによる雇用ミスマッチの解消、
  2. 職業訓練への支援など学卒未就職者対策の強化、
  3. 緊急雇用創出特別奨励金の全国発動要件の緩和によるセーフティネットの拡充、
などを主な柱としているが、その詳細は、労働省ホームページ(http://www.mol.go.jp)をご参照いただきたい。


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