経団連の最近の動き

(2001年3月)

「経団連インフォメーション」の記事より


No.296 ( 3月30日発行)より

「企業会計制度に関する提言」を取りまとめ

近年の経済取引の多様化や複雑化、企業活動や資本市場のグローバル化に伴い、会計制度の大変革が国内外で進んでいる。市場のインフラである会計制度の整備によりわが国証券市場の国際競争力を一層高めていくためには、海外制度と大きく相異する会計に関連する法制度や官主導の会計基準設定などのあり方までも含めた改革が必要である。
こうした状況を踏まえ、経団連は3月27日、会計制度に関する総合的な改革を求める「企業会計制度に関する提言」を取りまとめ、関係方面へ建議した。
今回の提言では国際的な情報発信の必要性などの基本的考え方、開示・監査制度や個別の会計基準の整備に関する改革の方向性について経済界の見解を示している。
今後、金融庁や日本公認会計士協会など関係方面に対し働きかけを行い、提言の実現を目指していく。

提言「ナノテクが創る未来社会〜n−Plan21〜」を建議

経団連では、昨年7月に提言「21世紀を拓くナノテクノロジー」を公表し、ナノテクノロジーの強化に向けた、経団連の基本的な考え方を示した。
ナノテクノロジーが今後のわが国の社会経済を支える基盤技術となるためには、国をあげてその戦略的推進を図る必要がある。かかる観点から、産業技術委員会(委員長:金井務 日立製作所会長)ナノテクノロジー専門部会(専門部会長:中村道治 日立製作所理事)では、国として取り組むべき重点研究開発分野やそれを支える制度のあり方について検討を進めてきた。
その結果、今般、提言「ナノテクが創る未来社会」をとりまとめ、3月27日に政府関係各方面に建議した。
本提言では、今後のナノテクの研究開発において重点投資を行うべき分野として、5〜10年先の実用化を目指したフラッグシップ型プロジェクト(次世代半導体、情報ストレージ、ネットワークデバイス)、10〜20年先を目指したチャレンジ型プロジェクト(ナノプロセス・マテリアル、バイオナノシステム、ナノデバイス、ナノ計測、ナノ加工、ナノシミュレーション)、および基礎研究を掲げ、国として、必要な研究体制を整備し、集中的に研究開発を行うべきとしている。

No.295 ( 3月23日発行)より

訪ウクライナ経済ミッションを派遣

日本NIS経済委員会では、3月13日から18日まで、訪ウクライナ経済ミッション(団長:紿田英哉ウクライナ研究会委員長)を派遣した。
ウクライナ研究会は、94年の設立以来、クチマ大統領、キナフ・ウクライナ日本経済委員長をはじめとする同国政府、経済界首脳と協力しながら、日ウ経済関係拡大のための諸方策を推進してきた。しかしながら、ウクライナ日本経済委員会の解散などにより、経済界同士の対話が困難になりつつある。そこで、ウクライナ情勢の調査と対話チャネルの再構築を目的に、実務家14名で構成するミッションを派遣したものである。
ミッション一行は、ユシュチェンコ首相はじめ経済省、産業政策委員会、中央銀行、産業家企業家連盟などの幹部と会い、ウクライナの政治経済情勢、日ウ経済関係について意見を交換した。また、欧州復興開発銀行(EBRD)、米国商工会議所関係者からも、ウクライナ情勢に対する欧米の見方について聞いた。
独立後10年を迎えるウクライナは、昨年、経済が初めてプラス成長に転じた。今回、同国要人との懇談を通して、経済全般に明るさが戻りつつあることが感じられた。また、今後の日ウ経済交流については、ウクライナ経済省、産業政策委員会、産業家企業家連盟、商工会議所との間で連携をとりながら進めていくことが確認され、ミッションは当初の目的を果たすことができた。

今井会長が東南アジアを訪問予定

今井会長が、4月3日から7日まで、タイならびにシンガポールを訪問する。今回の訪問には、上島副会長、森川評議員会副議長、安居日タイ貿易経済委員長が同行する。
アジア経済は、数字の上では危機からの急速な回復を見せたが、不良債権の処理や構造改革などの面で、いま一段の努力が必要となっている。特に最近は、米国経済の減速に伴う対米輸出の減少や、米国と日本を含むアジア諸国の株式市況の連動の影響など、先行き懸念材料もある。日本とアジア諸国は緊密な経済関係にあり、アジア諸国もわが国の経済状況に強い関心を抱いている。
そうした認識のもと、タイおよびシンガポールにおいて各国の政府首脳および経済界リーダーを訪問し、日本経済の現状および見通しを説明するとともに、両国のおかれた状況について理解を深め、さらにはFTAの動きやASEANの将来なども念頭においたアジアの地域協力のあり方についても意見交換を行う。

No.294 ( 3月16日発行)より

西室東芝会長、吉野本田技研工業社長が副会長に内定

3月12日の会長・副会長会議において、来る5月25日開催の第63回定時総会で選任される副会長および評議員会副議長の候補者が内定した。
副会長については、辻日産自動車相談役、金井日立製作所会長、前田東レ会長、鈴木イトーヨーカ堂社長の4氏が退任する一方、西室東芝会長および吉野本田技研工業社長(両氏とも現在評議員会副議長)が新たに就任する。
また、評議員会副議長については、福原資生堂会長および橋本富士銀行会長ならびに副会長に就任する西室および吉野の両氏が退任する一方、鈴木イトーヨーカ堂社長(現在副会長)、高原ユニ・チャーム社長、庄山日立製作所社長の3氏が新たに就任する予定である。

PFI(Private Finance Initiative)をテーマに国土・住宅政策委員会を開催

3月12日、東京都の青山副知事ならびに日本PFI協会の植田専務理事を招き、PFIをテーマに国土・住宅政策委員会を開催した。
青山副知事からは、「わが国経済の発展や豊かな国土形成のため、21世紀においては、経済効果の高い公共投資に注力すべきであり、1都3県を視野に入れた首都圏の社会資本を重点的に整備する必要がある。公共投資の効率化の観点から、街づくりにPFIを活用することも重要である」との発言があった。
植田専務理事からは、「地方自治体では急速にPFI事業の検討が進んでいる。PFIは、ライフサイクルコストの考え方やリスクの認識、情報公開の促進等の点で、地方自治体に大きなインパクトを与えている。PFIはわが国の社会資本整備に多様な資金を呼び込むといった点でも注目すべきであり、今後、入札方法や地方税の問題等の解決に取り組む必要がある」との説明があった。

No.293 ( 3月 9日発行)より

中国重慶市で環境植林協力プロジェクトの植樹式を開催

3月2日、中国重慶市長寿県で経団連の環境植林プロジェクトの植樹式を開催した。式典には、中国側から500名、経団連側から50名の参加があり、ポプラなど5,000本の苗木を植樹した。
本プロジェクトは、中国委員会(委員長:森下洋一 松下電器産業会長、共同委員長:千速晃 新日本製鐵社長)の植林協力部会(部会長:大國昌彦 王子製紙社長)で2年あまり検討してきたもので、重慶市街地から北東80kmの長江流域に位置する長寿県で、5年間に約570haの植林を行うものである。日本から植林専門家を定期的に派遣・駐在し、育林管理を徹底させる点が特色となっている。環境植林のため、基本的にポプラ、水杉、樫、竹などを植えるが、一部果樹も植える計画である。
今回のプロジェクトは生態環境の保護と洪水の防止を目的としており、プロジェクト遂行のための費用は、経団連の中国委員会や同植林協力部会のメンバー企業からの募金によることとしている。

韓国・全国経済人聯合会が「1%クラブ」を設立

経団連の韓国側カウンターパートである全国経済人聯合会では、韓国企業による社会貢献活動の裾野を広げ、企業と社会の対話推進を積極的に図っていくため、「全経聯1%クラブ」を設立することになった。同クラブには約100社の会員加入希望が寄せられているが、3月14日にはキム・ガクチュン全経聯会長やイ・ヒホ大統領令夫人他、120余名が出席しての創立記念総会を開催する。
当日は、経団連1%クラブ世話人を代表して若原泰之1%クラブ前会長(朝日生命保険会長)が参加、「21世紀の企業経営とは何か」と題した特別招聘講演を行うとともに、関係者との懇談を予定している。

No.292 ( 3月 2日発行)より

経団連・日経連医療関係部会合同会合を開催

経団連と日経連は、遅くとも2002年5月までに完全統合する準備を進めている。一方、2002年度には医療保険制度の抜本改革が予定されており、速やかに議論を開始する必要がある。また、経済財政諮問会議においても社会保障が重要な検討課題となっている。そこで、本年1月、奥田日経連会長から、両団体の統合スケジュールに先行して、医療に関する部会の合同開催について提案があり、今井会長も同意した。両会長の合意を受け、2月26日、経団連社会保障制度委員会医療改革部会と日経連社会保障特別委員会医療政策研究部会の合同会合が開催された。当日は、経団連が2000年11月にとりまとめた「保険者機能の強化への取組みと高齢者医療制度の創設」について説明するとともに、活発な意見交換を行った。

企業会計基準を設定するための民間機関設立に向け市場関係者が合意

経団連は、会計基準の整備を機動的に進め、わが国意見を国際的な場でも反映させていくことを目的とする「(財)財務会計基準機構(仮称)」を設立することで市場関係者と合意し、2月28日にその設立準備委員会(委員長:八木良樹 経団連経済法規委員会企業会計部会長)の発足を発表した。
先進諸外国では民間機関が会計基準の策定を担い、国際会計基準委員会(IAS)の検討にも積極的に参加している。わが国では現在、金融庁企業会計審議会(非常勤委員で構成)が会計基準の策定を行っているが、今後、新財団に設置される常設の「企業会計基準委員会(仮称)」へ段階的に移行させ、経済実態に即した世界中で通用する会計基準や実務指針の策定を行っていく予定である。
会計基準は市場のインフラであるとの観点から、新財団の運営資金は広く公開会社全般に会費としてご協力をいただく予定であり、経団連会員各位にも格別のご高配を賜りたい。

<ご参考>
企業会計基準の整備において主体的な役割を担う 財団法人の設立準備について


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