経団連の最近の動き

(2001年4月)

「経団連インフォメーション」の記事より


No.300 ( 4月27日発行)より

日米合同運営委員会を開催

4月22日から23日にかけて、米国ニューヨークにおいて、日米財界人会議の合同運営委員会が開催された。
合同運営委員会では、日米両国の政治・経済情勢、デジタルエコノミーの現状と今後の課題、二国間貿易と投資の促進策(含む、日米官民対話)、通商政策のあり方(WTO、自由貿易協定)、規制・構造改革の推進(含む、バード法)、不良債権の現状と展望等について率直な意見交換を行った。
総じて、「わが国の規制緩和、構造改革、不良債権の処理は進展しつつあるが、そのスピードは遅く、短期的に痛みは伴うものの、今後は強力に改革を推進しなければならない。そのためには政治のリーダーシップが不可欠である」との意見が多かった。またこれに関連して、小泉新総裁に対する期待が非常に高かった。

環境自主行動計画 第4回フォローアップ実施説明会を開催します

経団連では、わが国の全産業レベルにおいて環境対策を着実に実施していくための継続的な仕組みとして、1997年に環境自主行動計画を発表した。その後毎年、業種ごとの進捗状況をフォローアップし、調査結果を温暖化対策編並びに廃棄物対策編として取りまとめ、インターネット等を通じて公表している。温暖化対策編については、気候変動枠組条約締約国会議の期間中に、現地においてフォローアップ結果を発表しており、わが国産業界の自主的取組みは、日本国内はもちろんのこと、国連関係者、各国の政府・マスコミ・産業界等からも高く評価されている。
本年も、関係業界・企業の方々のご協力を得て第4回フォローアップを実施する。その一環として、5月16日(水)には実施説明会(温暖化・廃棄物)を開催する。
更なる内容の充実をはかるため、関係各位のご理解、ご協力をお願いいたします。

No.299 ( 4月20日発行)より

アジアにおける円の利用拡大を提言

経団連では、4月17日の理事会で「アジアにおける円の利用拡大について」と題する提言を承認し、同日発表した。今回の提言では、わが国にとってアジアにおける経済連携と地域協力の強化が重要との認識に立ち、改めて円の利用拡大に取り組む必要があることを指摘している。具体的には、政府に対し、引続き円の利用拡大のための環境整備を要望するとともに、企業が経営サイドのより強いリーダーシップによって円の利用拡大に向けた見直しを進めることを求めている。また、官民による取組みとして、わが国における円建て国際市況商品市場の育成・支援や円建てBA市場の再活性化などを提言しており、日本シンガポール経済連携協定にも円の利用拡大に向けた協力策が盛り込まれるよう期待している。さらに、こうした努力に対してアジア諸国の理解と協力を求めることも重要である。

「第3回起業家懇談会」を開催

わが国の経済を活性化するには、新産業・新事業が活発に創出され、発展できる環境を整備する必要がある。そこで、リスクを冒して創業に挑戦され、実績をあげている起業家と経団連トップが意見交換を行う「起業家懇談」の第3回会合を4月18日に開催した。
当日は、渋谷のビットバレーなどで活躍する若手経営者として、学生のインターンシップ事業を行うNPOのETIC代表理事でビットバレーアソシエーションの宮城事務局長、電話料金の課金代行を原資にインターネット無料接続の運営委託を行うフリービット・ドットコムの石田CEO、ウェブ制作業イエルネットの本間CEO、北海道最大の祭典であるYOSAKOIソーラン祭り組織委員会の長谷川専務理事、ITによる日本の商店街活性化を目指す商店街ネットワークの木下社長と懇談した。

21世紀政策研究所ホームページを刷新

21世紀政策研究所(田中直毅理事長)では、5月1日からホームページ(http://www.21ppi.org/indexj.html)と「e−デモクラシー」サイト(http://www.e-demo.org/)を刷新する。同サイトでは「介護保険」や「労働市場」等の公共政策につき、研究者・専門家や一般市民からの意見を基に論点集約を試み、インターネットを活用した新たな時代の公的意思形成に取り組んでいる。またサイト内の「今週の一言」では、田中理事長が当面の諸課題を論じている(毎週金曜日新規追加、音声あり)。さらに希望者にはメールニュースを配信する。

EDINETに関する説明会

6月1日より、証券取引法上の開示関係書類を電子的に提出し、縦覧するシステムであるEDINETの稼動が予定されている。金融庁・財務局では、システムの稼動を前に、同システムによる有価証券報告書等の提出を予定している企業に対して説明会を開催する。
詳細については、金融庁のホームページ(http://www.fsa.go.jp/)に掲載されているのでご参照いただきたい。

No.298 ( 4月13日発行)より

東南アジア訪問団をタイとシンガポールに派遣

4月3日から7日まで、今井会長を団長とする東南アジア訪問団がタイとシンガポールを訪問した。タイでは今年の2月に就任したタクシン首相をはじめ経済閣僚や経済界首脳と懇談。日系企業のタイ経済への貢献度に対する新政権の理解を求めるとともに、経済政策・通商政策の策定に際して外国企業が不利になることのないよう十分な配慮を求めた。これに対しタイ側からは、対日関係は今後とも最重要視し、海外からの直接投資は引き続き歓迎するとの発言があった。
シンガポールでは、ゴー・チョクトン首相、リー・シェンロン副首相、ジョージ・ヨー通産大臣ならびに経済界首脳と懇談し、日本・シンガポール関係やアジアの周辺国に対する見方、アセアンの将来やAFTA(アセアン自由貿易地域)の実現性などについて意見を交わした。シンガポール側からは、現在両国間で交渉中の日本・シンガポール経済連携協定に対する経団連の貢献への謝意が示された。

笹川科学技術政策担当大臣との懇談会を開催

本年1月に発足した総合科学技術会議(以下「会議」)を産業界全体としてサポートすべく、経団連の金井副会長・産業技術委員長をはじめ、科学技術・産業技術政策に広く見識を持つ産業人からなる「総合科学技術に関する産業人会議」(会長:秋元三菱マテリアル会長、副会長:常盤花王特別顧問)が設立された。その第1回会合として、4月5日に、笹川大臣および「会議」有識者議員との懇談会を開催した。
当日は、笹川大臣より、

  1. 「会議」は省庁縦割の弊害を打破し、わが国の科学技術政策の司令塔の役割を果たしたい、
  2. 大学の研究成果が社会や産業に十分還元されるよう、官民一体的な取組みが必要である、
との挨拶があった。
産業界側からは、
  1. 重点化戦略の予算化に向け、「会議」において14年度の科学技術予算の総額、重点分野別の内訳を決定することが必要、
  2. 産学連携が国の競争力を左右しており、大学改革が必要、
  3. 「会議」は、国の科学技術政策の司令塔として、イニシアティブを発揮すべき、
との意見が出された。
その他、産官学の人事交流、科学技術の国民理解の増進等について意見交換を行った。

加納時男参議院議員からエネルギー政策について説明を聞く

4月10日、加納時男参議院議員を招いて資源・エネルギー対策委員会(委員長:秋元三菱マテリアル会長)を開催した。当日は「エネルギー政策の重点課題に関する経団連の見解(素案)」について併せて審議した。
席上、加納議員からは以下の説明があった。

  1. わが国のエネルギー情勢は、表面的には平穏ながら、底流には不穏の動きがある。エネルギー需給は安定し、電力の価格もこの20年間に20%低下したが、他方、エネルギーの自給率は18%と先進国で最も低い水準にある。
  2. カリフォルニアの電力危機は電力の完全自由化に潜む問題が顕在化した。電力はハンバーガーと異なり、代替性に乏しい財である。
  3. 個別、場当たり、縦割りといったエネルギー政策の誤りを正すため、自民党では「エネルギー政策基本法(仮称)」の制定をめざして大詰めの検討を行っている。基本法では供給の信頼性を前提として市場化や環境対応を進める考えを示したい。

No.297 ( 4月 6日発行)より

町村文部科学大臣および同省幹部との懇談会を開催

3月26日、今井会長が出席して、町村文部科学大臣はじめ同省幹部との懇談会を開催し、教育改革をめぐって意見交換した。
町村大臣は、「21世紀教育新生プランに基づき、今国会において関連予算および関連法案をすべて成立させるとともに、教育改革の一大国民運動的な拡がりを作っていきたい」と述べた。産業界に対しては、

  1. 教育における父親不在の是正(教育休暇制度の導入等)、
  2. 有害情報対策(スポンサーとしての配慮)、
  3. 学校と社会の交流促進(特別非常勤講師の派遣、教員の社会体験研修の受入れ、高校生・大学生のインターンシップの推進)、
等の要請があった。
経団連側からは、社会性を育む道徳教育の充実、基礎学力の徹底、教育界への健全な競争の導入、国立大学の抜本的な改革、起業家教育の推進、教育委員会の廃止、IT領域の人材育成等について発言があった。

年金2法案の早期成立を要望

4月3日、経済4団体の代表(奥田日経連会長、小林経済同友会代表幹事、香西経団連副会長、浅地日商特別顧問ほか)が古賀幹事長をはじめとする自民党首脳、与党3党国対委員長、公明党首脳、保守党首脳をそれぞれ訪問し、確定拠出年金法案と確定給付企業年金法案の早期成立を要望した。
席上、奥田日経連会長、香西経団連副会長らは、

  1. 本格的な高齢社会の到来を目前に控え、国民の老後生活の安定を図る上で、私的年金制度を充実し、個人や企業の自助努力を促すことが焦眉の課題となっている、
  2. 企業は、国際競争の進展に対応して、企業組織の機動的な再編を推進しており、企業年金制度についても、労使合意を基本としつつ、より柔軟な運用を可能とすることが急務となっている、
  3. 雇用の流動化や就業形態の多様化に対応できるよう、ポータビリティを確保することも重要な課題となっている、
ことを強調し、強く成立を働きかけた。これに対し、古賀自民党幹事長ら首脳は、与党3党の協力のもと責任を持って努力すると述べ、法案の成立に取り組む姿勢を明確にした。


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