(2001年6月)
「経団連インフォメーション」の記事より
経団連は、6月15日、「温暖化問題へ冷静で粘り強い交渉を求める」と題する緊急アピールを公表した。
地球温暖化対策に関する国際交渉は、ブッシュ政権が、京都議定書離脱の方針を明らかにしたことから難航を極め、わが国国内には、EU各国とともに米国抜きでの議定書発効を目指すべきとの声が高まっている。
こうした考えに対し緊急アピールは、環境十全的な国際的枠組みと達成手段について合意を見るために、冷静に交渉し、温暖化対策を着実に実施することが必要であると主張している。そのうえで、日本政府に対する要望として、日・米・欧が参加する国際的枠組みに向けた努力を続けるべきこと、また、産業界に対して、国際交渉の進展に関わりなく、温暖化対策への取組みを推進すべきこと、さらに、国民に対しては、粘り強い交渉を続ける政府を支援し、拙速な政治決断を求めるべきでないこと、などを訴えている。
現在、来年5月の経団連・日経連の統合に向け準備を進めているが、これに並行して、両団体の首脳の間で意思疎通が図られるよう、標記懇談会を6月20日に開催した。
今井経団連会長ならびに奥田日経連会長の挨拶に続いて、両団体からそれぞれが取り組んでいる重要課題について説明があった。また、統合に向けた今後のスケジュールについても報告され、統合の進め方などについて懇談した。
今回の会合を皮切りに、今後も、適宜、懇談会を開催する予定である。
情報通信技術の発展によって、産業の効率化や国民生活の質的向上がもたらされる反面、ネットワーク・セキュリティ確保が重要になっている。このため、電子商取引の推進に関するワーキンググループでは、セキュリティ対策のあり方について検討を行ってきた。その一環として6月19日には、サイバー犯罪への警察庁の取組みについて説明を聴くとともに懇談した。
コンピュータ・システムへの不正侵入によるデータの改竄、破壊や、電子的ウィルスの流布などの犯罪は急増している。こうしたネットワークの匿名性や無痕跡性を悪用した犯罪に対して法制面、対応体制等を整備する必要がある。また、官民共同でグローバルな対策を講ずる必要がある。欧州評議会が、年内に取りまとめを予定しているサイバー犯罪条約は域外にも開放されており、米国、日本等も検討作業に参加している。
昨年9月に来日したプーチン大統領から、「変化しつつあるロシアをぜひ見に来てほしい」との要請を受け、日本政府の協力のもと、今井会長を団長とする標記使節団を6月2日〜8日に派遣した。使節団は3グループに分かれて、サンクトペテルブルグ、ニージュニー・ノヴゴロド(ヨーロッパロシアグループ)、ノヴォシビルスク(科学技術グループ)、サハリン、ウラジオストーク、ハバロフスク、イルクーツク(極東シベリアグループ)を回り、各地の行政府や企業との懇談、工場・研究所訪問を行った。その後、モスクワに集結し、プーチン大統領ほか政府首脳、国会議員、経済界との間で日ロ経済交流の促進方策について懇談した。
これらの活動を通じて、プーチン大統領が推進する税制改革や連邦法と地方法との調整などの諸改革が着実に推進されていることを確認した。
使節団からは、日本企業が直面している問題の解決方を要請したほか、日ロ貿易投資促進機構の設立や産業見本市のモスクワ開催を提案し、大統領から歓迎された。経団連では、今回の訪ロで提起された課題への対応を進め、日ロ経済関係の拡大に努めることとしている。
6月11日、尾身大臣との懇談会を開催し、産学官連携の推進や平成14年度科学技術関係予算編成のあり方などについて、意見交換を行った。当日は吉野副会長、庄山産業技術委員会共同委員長らが出席した。
席上、尾身大臣より、
6月14日、塩川財務大臣ならびに財務省首脳との懇談会を開催した。
塩川大臣からは「小泉内閣の構造改革路線への支持を心強く感じている。現在はムード先行のところもあるが、思い切った聖域なき構造改革を進めたいと考えており、これから痛みを分かち合っていく必要がある。予算編成にあたっても、従来の既得権益化したシーリングやシェアにとらわれずに、国民のニーズに重点を置きながら作業を進めている」との発言があった。
これに対して、今井会長は「小泉首相ならびに塩川大臣が打ち出した財政構造改革を全面的に支持する。できるだけ早期に、政府債務償還への道筋、持続可能な社会保障制度のあり方、国民負担率などについての将来像を示してほしい。併せて、一日も早く、具体的な財政再建に着手する必要があり、来年度予算編成で『新規国債発行30兆円以下』の目標を達成すべきだ」と発言した。
経団連では、法制審議会会社法部会の商法改正中間試案に対し、経済法規委員会委員各社に対するアンケート結果をもとに、経済法規委員会で意見集約を行い、6月7日に法務省にコメントを提出した。
社外取締役の選任義務や新株発行規制の強化など、企業経営の自治や機動性を阻害することが懸念される事項については、既に4月27日に「会社機関の見直しに関する考え方」で反対を表明している。今回のコメントでは、これらの点を含め、中間試案全般にわたって意見を述べている。
コメントでは、株主提案権の行使期限の繰上げや株主総会の特別決議の定足数緩和等について、中間試案の方向性を概ね評価する一方、社外取締役の選任義務や取締役の任期の短縮、一定以上の新株発行や子会社の株式の譲渡等に総会の特別決議を要求する点などについて、改めて反対を表明している。また、監査・指名・報酬の3つの委員会および執行役制度の一体としての導入については、会社の自治で柔軟に設計できるよう、部分的な選択を提案している。
6月5日、訪日中のフォックス・メキシコ合衆国大統領を招き、日墨経済フォーラムを開催した。席上、フォックス大統領からは以下の発言があった。
ユナイテッド・ワールド・カレッジ(UWC)は、全寮制の国際民間教育機関で、日本を含め世界80ヵ国から選抜、派遣される高校生を2年間教育している。UWC日本協会(会長:野村吉三郎 全日本空輸会長)は、日本人高校生を派遣しており、さる6月4日、定例の総会、役員会に続いて、2001年度に派遣する奨学生(イギリス、カナダ、シンガポール、アメリカ、香港、ノルウェー、インドに12名の高校生を派遣)の激励会を開催した。
当日は、野村会長の挨拶に引き続き、1987年にUWCシンガポール校を卒業した宇宙開発事業団の星出彰彦宇宙飛行士から、宇宙飛行士訓練の模様を交えながら、UWCで身につけた英語力と国際感覚がいかに役立っているか説明があり、新奨学生の皆さんもUWCで大いに学びかつ遊んできてもらいたいとの挨拶があった。
5月25日、第63回定時総会を開催した。企業、政府双方の抜本的な構造改革の必要性を強調した今井会長の挨拶に続き、事業報告・収支決算、事業計画・収支予算がそれぞれ原案通り承認されるとともに、役員等の選任が行われた。その結果、西室東芝会長、吉野本田技研工業社長の2氏が新たに副会長に、また鈴木イトーヨーカ堂社長、高原ユニ・チャーム社長、庄山日立製作所社長の3氏が新たに評議員会副議長に選任された。
最後に、「構造改革を進め民主導の活力ある経済社会を実現する」と題し、
<ご参考>
経団連の関連団体であるCBCCは、5月30日、第12回定時総会を開催した。立石会長(オムロン会長)の挨拶に続き、来賓の上西経済産業省貿易経済協力局貿易振興課長から挨拶があった。
次に、事業報告・収支決算、事業計画・収支予算が、それぞれ原案通り承認されるとともに、役員の改選が行われた。その結果、加藤住友商事取締役、吉澤東京三菱銀行副会長、岡村東芝社長、中市日本電気執行役員、槍田三井物産常務取締役の5氏が新たに理事に選任されるとともに、監事に宮原富士ゼロックス副会長、参与に松田日本在外企業協会常務理事が新たに選任された。
最後に、伊丹一橋大学商学部教授より「人本主義と日本型コーポレート・ガバナンス」と題して講演があり、従業員主権にこそ、わが国のコーポレート・ガバナンスの特徴があると述べた。