[経団連] [意見書]

規制改革に関する重点要望

2000年2月8日
(社)経済団体連合会

目  次
  1. 提言
    「規制緩和推進3か年計画の再改定に望む」

  2. 分野別重点事項(目次のみ掲載)


  1. 提言
    「規制緩和推進3か年計画の再改定に望む」
    1. 規制改革は持続可能な経済成長を実現する
    2. 長期低迷を続けてきた日本経済は、規制改革をはじめとする構造改革と政府による需要拡大政策とによって、ようやく回復に向おうとしている。本格的な回復、さらには発展へとつなげていくためには、動き出したばかりの構造改革を着実に推進することが不可欠である。
      ちなみに、経団連は昨年12月6日、アメリカ、EU、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの政府・経済界・学界の代表者の参加を得て規制改革国際シンポジウムを開催したが、規制改革は産業と消費者の双方に利益をもたらし、長期的に持続可能な経済成長を実現するために不可欠であることがコンセンサスとして確認された。
      既得権益を守ろうとする力に負けて改革を先送りすれば、これまでの努力が水泡に帰し、元の木阿弥となることは火を見るより明らかであり、将来においてさらに困難な事態を招くだけであると確信する。

    3. 再改定において再要望事項を全面的に盛り込むことを望む
    4. 本年3月に予定されている「規制緩和推進3か年計画」の再改定に向け、政府は内外から意見・要望を募集し、経団連では昨年10月19日、451項目の規制改革要望を政府に建議した。これに対して、各省庁は本年1月、内外からの要望に関する検討状況を中間的に公表した。
      そこで経団連では、今般、経団連要望事項に対する各省庁の回答状況を精査し、対応が不十分と判断される事項の中で特に緊急度・重要度が高く、3月末の再改定に是非とも盛り込むことを希望する39項目について再要望することとした。
      政府においては、3月末の計画改定において、経団連の再要望事項を全面的に盛り込むよう望む。

    5. 政府の方針通り、税・補助金も対象にすべきである
    6. なお、今回の各省庁からの中間公表に関して、特に2点を指摘したい。
      第一に、税・補助金に関連する要望について、関係省庁から回答がなされなかったものがある。これは、政府が、規制緩和委員会から規制改革委員会への改称に際して、税・補助金についても、「規制改革の推進に密接に関連するものとして検討が必要と判断される事項」については検討対象とするとしたことに反するのではないかと考える。規制改革委員会においては、これらの問題についても各省庁が検討および回答を行うよう指導するとともに、委員会としても積極的に検討すべきである。
      第二に、規制改革委員会が採り上げて検討を行なっているにも拘わらず、省庁が要望元との直接交渉で結論を引き出そうとするケースも見られる。良識的な取り組みを望みたい。

    7. 規制改革推進体制の強化に向け、総理のリーダーシップを期待する
    8. 最後に、現在の3か年計画は来年度が最終年度となるが、政府は規制改革に対する取り組み姿勢にいささかも揺るぎがないことを内外に示すため、規制改革に取り組む体制をより一層強化し、新たな計画を策定することを早急に明言すべきである。
      総理のリーダーシップに強く期待したい。

以 上

  1. 分野別重点事項
    1. 年金分野
      1. 厚生年金基金の代行部分返上および厚生年金基金から税制適格年金への移行の選択を認めること
      2. 確定給付型企業年金(厚生年金基金、税制適格年金)におけるハイブリッドプランの導入
      3. 確定給付型企業年金(厚生年金基金、税制適格年金)の過去勤務債務の償却方法の弾力化

    2. 医療・福祉分野
      1. 社会保険診療報酬支払基金から保険者に対して送付するレセプトのデジタル化
      2. レセプトの一次審査に関する保険者の自主的管理の許容
      3. 営利法人による施設介護サービス(特別養護老人ホーム、老人保険施設)の経営

    3. 教育分野
      1. 私立大学・大学院の施設・設備の増設に関わる規制の緩和

    4. 法務分野
      1. 株主総会の見直し
      2. ストック・オプション制度の改善
      3. 株主代表訴訟制度の見直し

    5. 流通分野
      1. 大規模小売店舗立地法の適正運用(上乗せ・横出し規制の排除、届出書類等の簡素化、同時並行処理の推進等)
      2. 酒類販売業免許における需給調整要件の早期廃止
      3. 医薬品販売に関する規制緩和
      4. 映画館建設に係る用途地域規制の緩和、個別許可制度の適正化

    6. 土地・住宅及び公共工事分野
      1. 共同住宅の建て替えにおける都市再開発手続の採用
      2. SPC(特定目的会社)への不動産譲渡時の譲渡益課税の繰延

    7. 廃棄物を中心とする環境保全分野
      1. 再資源化促進の観点から廃棄物の範囲・区分の見直し
      2. 広域処理促進の観点からの地方公共団体における廃棄物に関する指導要綱の統一化
      3. 移動中の発泡スチロール溶解車における溶解作業の許容
      4. 広域処理促進の観点からの廃棄物の収集運搬資格の見直し

    8. 危険物・防災・保安分野
      1. 保安四法の国際整合化及び国内一元化
      2. 民間検査機関への参入規制の撤廃
        1. (高圧ガス保安法)
        2. (消防法)
        3. (労働安全衛生法)

    9. 情報・通信分野
      1. 旅行取引に関する取引条件書や約款等の電子的手段による交付の実現
      2. 端末機器の複合機器に対する技術基準適合認定等手数料の見直し
      3. 指定電気通信設備以外の接続に関する協定の認可の廃止
      4. 電気通信事業法による事業区分の見直しと競争ルールの整備

    10. 金融・証券・保険分野
      1. 自賠責保険における政府強制再保険の廃止
      2. 社債等登録法の廃止
      3. ノンバンク等異業種の現金自動設備(CD・ATM)からの銀行預金の引出し

    11. 運輸分野
      1. 輸出入・港湾手続の簡素化、情報化
      2. 内航海運暫定措置事業の早期終了
      3. 特殊車両通行許可の緩和

    12. エネルギー分野
      1. ハイサルファーC重油の関税の見直し

    13. 貿易・投資分野
      1. 電気用品の技術基準適合検査方式・記録保存の規制緩和
      2. 電気用品の表示方法の見直し
      3. 暗号製品に関する輸出規制の緩和

    14. 農業分野
      1. 砂糖の価格支持制度と粗糖関税の改善
      2. GLP(優良試験所規範)基準の統合及び新OECD−GLP基準に準拠した新たなGLP基準の制定

    15. その他
      1. 郵便事業への民間事業者の参入

日本語のホームページへ