[経団連] [意見書]

新内閣に望む

2000年7月6日
(社)経済団体連合会

 わが国経済は、累次の金融・経済対策等の効果により、ようやく民需主導の自律回復軌道に乗りつつある。新内閣は、引き続き経済新生に果敢に取り組み、民需主導による自律回復の潮流を確実なものにする必要がある。自律回復の重要な鍵を握るのがIT革命である。わが国は、産業、社会、行政などあらゆる分野で情報化を推進し、全国民レベルでIT革命に対応しなくてはならない。
 あわせて、21世紀において、誰もが安心して暮らせる活力ある経済社会を構築しなくてはならない。このためには、たとえ痛みを伴うものであっても必要な構造改革は断行されなくてはならない。新内閣は、まず、社会保障、税制、地方行財政を含む財政構造改革のグランド・デザインを策定し、国民に改革の道筋を示すべきである。
 九州・沖縄サミットを目前に控え、新内閣が日本新生を目指し、下記の重要施策を早期に実行することを要望する。

  1. 民需主導による自律回復のための環境整備
    1. IT活用促進のための環境整備(通信分野における競争促進、通信・放送の融合への対応、ITに対応した規制改革、電子政府の実現等)
    2. 会社分割税制・連結納税制度の早期導入、商法改正
    3. 新事業・新産業創出、企業活力発揮のための規制改革の一層の推進

  2. 国・地方を通じた行財政改革の推進
    1. 財政構造改革のグランド・デザインの策定(長期的な歳出・歳入構造改革スケジュール、具体策の策定等)
    2. 持続可能な社会保障制度の確立(負担と給付のあり方の見直し、世代内・世代間の公平確保、年金・医療・介護・福祉の横断的見直し等)
    3. 国と地方、都市と地方の関係の見直し
      1. 地方の行財政改革の推進(市町村合併の推進、地方税制の見直し等)
      2. 大都市圏再生プロジェクトの推進

  3. 持続的な経済成長のための経済社会の基盤整備
    1. 産業技術力の強化
      1. 総合科学技術会議による戦略的・総合的な科学技術政策の策定・推進
      2. 産学官の役割分担と連携強化(研究助成制度の拡充・強化、技術移転の推進等)
      3. 先端的分野における国家プロジェクトの推進(ミレニアム、ナノテクノロジー、IT宇宙インフラ等)
    2. 教育改革の推進
      1. 創造的で国際的な人材育成のための複眼的・複線的な教育システムづくり(教育の自由化、規制緩和の推進等)
      2. 高い道徳性と社会性を培う教育と社会の実現
    3. 循環型社会の構築と環境保全
    4. 物流効率化等の高コスト構造是正のための基盤整備

  4. 世界経済の発展への貢献
    1. アジア各国に対する協力・支援の強化(人材の育成、裾野産業の育成、e―アジアの推進等)
    2. 自由貿易協定の推進(シンガポール、韓国、メキシコ等)
    3. 包括的なWTO新ラウンド交渉の早期開始

以 上

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