[経団連] [意見書] [ 目次 ]
経済・財政等のグランドデザイン策定と当面の財政運営について
〔補論2〕将来推計の方法について(マクロ計量モデルの概要)
本年5月の意見書「少子高齢化に対応した新たな成長戦略の確立に向けて」において使用したモデル(潜在成長率2.7%)をベースに、財政・社会保障制度改革の姿を織り込むために若干の変更を行った。モデルの概要は以下の通り。
- マクロ経済
- 労働投入量
- 将来人口…国立社会保障・人口問題研究所の中位推計値を使用した。
- 就業率…15~64歳は、過去の上昇トレンドから、73%強まで上昇することを想定した。
65歳以上は、高齢者の増加に伴い、15%台まで低下することを想定した。
- 外国人労働者数…現状程度で推移するものとした。
- 労働時間…90年代の平均水準を想定した。
- 資本投入量(純資本ストック×設備稼働率)
「企業収益」「家計部門の貯蓄投資バランス」「前期のストック」を説明変数として設備投資関数を作成し、毎年の純資本ストック(固定資本減耗分を考慮)の増加額を内生的に推計した。
- TFP
91年第Ⅰ四半期(第11循環の「山」)から97年第Ⅰ四半期(第12循環の「山」)までの伸び率(期間平均値)である1.5%を想定した。
- 分配率
労働分配率は0.65、資本分配率は0.35で推移することを想定した。
- その他
- 物価上昇率(消費税率引き上げ分を除く)は「経済成長率」「輸入物価」から推計した。
- 消費税率の引き上げは、消費者物価などに反映される。
- 税引き前企業収益(対GDP比)、長期金利、家計貯蓄、家計可処分所得、1人あたり賃金なども、税負担、社会保障負担・給付ならびに財政事情を反映する形で内生的に推計した。
〔※財政・社会保障制度改革に伴う短期的影響の考慮〕
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本モデルは長期(供給型)モデルであるため、税・社会保障負担増などが経済に及ぼす短期的影響については、別途、短期マクロモデル乗数を織り込む形とした。
- 財政、社会保障
- 中央・地方財政
まず中央財政(一般会計)について推計し、地方の財政状態は、基本的に、中央財政に連動するものと想定する。
- [歳出]
- 一般歳出…「社会保障給付の公費負担分」は必要額を計上する。「公共事業」「その他の歳出」については、それぞれ伸び率を設定する。
- 国債費…元本償還分+利払費(国債残高と金利から推計)+事務経費
- [歳入(公債金収入以外)]
- 税収…家計および非金融法人にかかる直接税、間接税を推計した(税収弾性値は過去の実績を使用)。
- その他歳入…税収の5%と仮定した。
- 社会保障
- [年金]
- 将来の基礎年金給付額は、厚生省推計値をベースとして、本モデルにおける実質賃金上昇率ならびに物価上昇率を反映する形で求めている。「物価スライドのみ」のケースでは、実質賃金上昇率は反映しない。
- 報酬比例部分給付額は「現役世代の定期給与」「60歳以上人口」より推計したうえで、調整率(引き下げ率)を乗じる。
- [医療]
- 将来の医療給付額は「1人あたり医療費の伸び率」「人口」から求める。
- [介護]
- 将来の介護費用は、厚生省推計値をベースに、本モデルにおける賃金上昇率を反映する形で求めている。
以 上
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