[経団連] [意見書]

電気通信分野における競争促進法の早期実現に向けて

IT戦略会議・IT戦略本部合同会合(第5回)への提出資料
2000年11月6日
(社)経済団体連合会

電気通信分野における競争促進法の早期実現に向けて (PDF)


現行電気通信事業法に関して寄せられた主要問題点(未定稿)


 現行電気通信事業法について、主として、事前規制から事後チェックへの移行、市場支配力の有無に着目した制度的枠組みの導入、あるいは行政の透明性の向上等の観点から、以下の問題点が指摘されている(太字の箇所)。

(総則)
1条  この法律は、電気通信事業の公共性にかんがみ、その運営を適切かつ合理的なものとすることにより、電気通信役務の円滑な提供を確保するとともにその利用者の利益を保護し、もって電気通信の健全な発達及び国民の利便の確保を図り、公共の福祉を増進することを目的とする。
「法が焦点を置くべきは利用者であり、事業の適切、合理的な運営は市場における競争に委ねることとし、法は、自由かつ公正な競争の確保とそれを通じた利用者の利益の保護を目的とすべき」
6条  事業の種類(第一種電気通信事業は、電気通信回線設備を設置して電気通信役務を提供する事業、第二種はそれ以外の電気通信事業
「第一種事業者は、法律に位置付けのない、いわゆるゼロ種の設備を利用できるのに対し、第二種事業者については、他の電気通信事業者から電気通信役務の提供を受けてサービスをしなければならないという運用により、ゼロ種の設備を利用できないという規制がされているが、整備された光ファイバーの活用の観点から、第二種への規制を廃止すべき」
「サービス提供に際して設備を設置するか設備を借りるかは事業者が自主的に決定をすべきことである。事業者による設備の設置の有無は利用者とは直接の関係はないので行政が関与すべきでない。設備を自ら設置するか、借りるかは事業者の自主的経営判断に委ねることとし、現行の第一種・第二種の事業区分は廃止すべき」
(事業の許可)
9条  第一種事業許可(役務種類、業務区域、設備の概要を提出、事業計画書を添付、向こう5年間の事業収支を提出等)
「参入促進、自由な事業展開の推進を図るとともに、利用者利益の確保を図る観点から、事業は届出制とし、サービス提供上重大な支障がある、利用者に重大な問題が生じると判断される場合には変更命令等を出せるものとすべき。向こう5年間の事業収支の提出は不要とすべき」
10条  許可基準(事業を適確に遂行するに足りる経理的基礎・技術的能力があること、事業計画が確実かつ合理的であること、電気通信の健全な発達のために適切であること)
「市場競争の中でビジネスを行なったことのない行政に、事業を適確に遂行するに足りる経理的基礎・技術的能力があること、事業計画が確実かつ合理的であること、は判断できないので、それは市場に委ねるべき」
14条  電気通信役務種類(電話、データ、専用)、業務区域、設備の概要の変更の許可
「変更の都度、膨大な資料提出が求められ、デジタル化により役務種類は無意味になっている。また、需給調整条項が撤廃されたため、業務区域、設備のチェックは不要である。サービス提供にあたり設備工事や広告等の事前準備が必要となるが、許可取得時期の予想が困難であるため、ユーザーニーズに基づく迅速なサービス提供に支障を来す場合がある。変更許可は廃止し、市場での競争や利用者の利益等の観点から問題が生じた場合に変更命令等を行なう事後チェックに移行すべき。規制が緩和されれば、許可のタイミングに左右されることなく設備工事や広告宣伝を行なうことや、ユーザーニーズに即応した柔軟なサービス提供や広告宣伝が可能となる」
16条  事業の譲渡、譲受け、法人の合併の認可
「事業許可の届出制化に合せて、利用者にとって重大な問題が生じた場合に変更命令等を行なう事後チェックに衣替えすべき」
18条  事業の休止、廃止、法人の解散の許可
「事業許可の届出制化に合せて、利用者にとって重大な問題が生じた場合に変更命令等を行なう事後チェックに衣替えすべき」
20条  役務種類、業務区域、設備の概要の変更許可の取消し
「利用者にとって重大な問題が生じた場合に変更命令等を行なう事後チェックに衣替えすべき」
(業務)
31条  料金事前届出、変更命令、但し、指定電気通信設備を用い利用者への影響が大きいものは上限価格規制
「指定電気通信設備を設置する事業者であっても、競争が進展すれば規制を緩和すべき」
31条の四 契約約款の認可
「認可制を廃止し、利用者にとって重大な問題が生じた場合に変更命令などを行なう事後チェックに衣替えすべき」
38条の三 接続協定の認可(指定電気通信設備以外)
「接続協定は事業者間におけるプロ同士の交渉の結果であり、認可は不要。行政は交渉が不調の場合の裁定等の形で関与するのが妥当」
40条  外国の政府、企業との協定等の認可
「グローバル化の時代には不適切。行政の関与が必要な場合には変更命令等で対応すべき」「WTO基本電気通信交渉合意国とそうでない国とでは分けて対応する必要がある」
(電気通信設備)
41条 電気通信設備の技術基準適合義務
42条 電気通信設備の技術適合命令
44条 電気通信主任技術者設置義務
「設備に関する枠組みは、有線電気通信法による規律を原則とすべき」
(雑則)
94条 電気通信審議会諮問義務
「審議会委員の選定、審議会の運営等について透明性、公正性を高めるべき」
96条の二 意見の申出制度
「一定期間内に行政が対応することを義務づけるべき。規制、振興部門から独立している部署が対応すべき」
この他、「パブリックコメントをとる、とらない、が行政の裁量に委ねられているが、全ての法令の運用について行なうべき」との意見がある。
以 上

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