[経団連] [意見書]

外形標準課税導入反対総決起大会
「決  議」

2000年11月17日
外形標準課税導入反対協議会

 政府税制調査会の中期答申は、「法人事業税へ外形標準課税を早期に導入することが望ましい」とし、これを受けて全国知事会、自治省は事業活動価値(利潤、給与総額、支払利子、賃借料の合計)を課税ベースとする具体案を検討中であると言われている。

 この事業活動価値は、ほぼ7割を給与総額が占めており、このような課税ベースによる外形標準課税を導入すれば、雇用に対して深刻な影響を与えることは必至である。

 長期にわたる不況にも、人件費に重くのしかかる社会保険料の雇用主負担に耐えながら、企業は必死で雇用を守り、労働に対する安定的な分配を行なう一方、コストの削減に懸命に努めながら体力を回復し、景気にもようやく明るい兆しが見えつつあるところである。

 しかし、事業活動価値による外形標準課税の導入は、こうした企業の必死の努力により安定的に確保されてきた人件費に課税することによって税収を確保しようとするものである。しかも、その一方で、地方自治体の行財政改革が徹底されているとはとうてい言い難い状況にあっては、納税者として納得できるものではない。地方財政が現状のまま放置されるならば、担税力を顧みない外形標準課税が一度導入されると、将来的には更に強化されていくことは、容易に想像できる。

 地方財政の健全化のためには、何よりも先ず行財政改革による歳出削減等の徹底と、国・地方の税源配分の見直しなど抜本的な改革が行われなければならない。にもかかわらず、徴税側の論理のみによって、先進諸国でも経済への悪影響から廃止・縮小にあり、シャウプ勧告以来その導入が議論され続けながら、多くの問題点を抱えることから、その実施が見送られてきた外形標準課税をあえて導入すれば、地域経済の足腰は再び弱体化へと向かうことになり、地方財政の破綻とともに、わが国経済は地方から崩壊してしまう。

 今、行われるべきは、わが国競争力の強化によって、景気の完全なる回復を果たし、国・地方における税財政の抜本改革を実現することであり、その場しのぎの税収確保策にすぎず、日本経済に深刻な影響を与える外形標準課税の導入には、経済界の総意として反対することを我々は決議する。

以 上

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