[経団連] [意見書] [ 目次 ]
コーポレート・ガバナンス委員会

「わが国公開会社におけるコーポレート・ガバナンスに関する
論点整理(中間報告)」骨子

2000年11月21日
経団連 経済本部

はじめに

企業は、今後より一層株主価値を重視したコーポレート・ガバナンスを構築する必要がある。そのため、
  1. 経営のスピード化・戦略性の向上、
  2. 企業行動の透明性の確保、
  3. ディスクロージャーとアカウンタビリティの充実、
が重要である。

1.資本市場の動向とその背景

近年の資本市場の改革が、持ち合いの解消をもたらし、株主構成を変化させている。
  • 発言力を増す外国人投資家の増加
  • 議決権行使に熱心でない個人株主の増加
  • 議決権行使ガイドラインの策定など新たな動きが見られる国内機関投資家
これを受けて、株主総会、取締役会、ディスクロージャー制度の再検討が必要となっている。

2.株主総会のあり方

公開会社の株主総会には、(1)定足数確保の困難、(2)法定機能の実態からの乖離の問題がある。企業の自主的取組もみられるが、限界があり、制度の見直しが必要である。
(自主的取組)
魅力的な招集通知の工夫/開催日の分散/総会演出
(制度の見直し)
一定数以上の株主を抱える会社の定足数の切り下げ/行使されない議決権を賛成票とみなす/仮決議/総会決議事項の縮減/基準日制度の見直し/IT活用

3.取締役(会)、監査役(会)のあり方

経営の意思決定機能と執行体制を強化し、それに応じたモニタリング・システムを確立するために、各社で自主的な取組が進められているが、以下の課題もある。
  1. 監査役(会)の活用:海外・投資家の低い認知度の改善、会計監査人と連携強化
  2. 社外取締役の導入:十分でない専門性と供給源、過大な責任の見直し
  3. 執行役員制:意思決定と執行の重層化の問題、画一的法制化は自主的取組と齟齬の懸念
会社機関は、各社の自主判断と裁量に任せ、ディスクロージャーで市場の評価に委ねるべきである。
その他、ダイナミックな経営を支えるため、以下の方策が求められる。
  • 代表訴訟制度の見直し
  • 取締役の責任(無過失責任、無限責任、連帯責任)の見直し、並びに、役員損害賠償責任保険の充実
  • ストック・オプション等、報酬制度の充実

4.IR・ディスクロージャーのあり方

公開会社は、法律による規制よりも市場原理によって律せられることが望ましい。そして、公開会社は、市場を重視し、自発的に行うIRを充実していくことが望ましい。

5.まとめ

大規模公開会社については、商法の規制緩和を進め、経営の機動性を確保するために企業経営者の裁量権を拡大する一方、経営のプロセスと成果を明らかにし、資本市場で評価するという方向で進むことが望ましい。
企業が市場メカニズムを最大限に活用できるような「公開会社法(仮称)」の立法化の検討が必要となってくると思われる。
公開会社のコーポレート・ガバナンスについては、資本市場の動向等にあわせ、継続的に検討していくことが必要である。
以 上

日本語のホームページへ