[経団連] [意見書] [ 目次 ]

新たな規制改革推進3か年計画の策定に望む

8.情報・通信分野


  1. 電気通信事業法の基本スキームの見直し、通信法体系への転換
  2. 規制改革要望(2000年10月17日)

    現行の情報通信関連法制について、事業者に事業者の適正な事業運営を図る体系から、利用者の利益と自由かつ公正な競争の確保を目的とする法制へと転換する。その際、設備保有に着目した制度的枠組みではなく、市場支配力の有無に着目した規制体系とし、市場支配力があり、競争が進展していない場合には、必要な規制(上限価格規制、適切な接続ルールの適用、情報開示義務、内部相互補助規制等)を受けるが、競争の進展に応じて規制を緩和する。一方、競争が進展している場合は、料金、接続協定などは原則自由とし、事後チェックの仕組みを設ける。
    事業者が自らの経営判断に基づき、回線設備の設置・リセール・アンバンドルを自由に組み合せられるようにする。

    所管官庁
    総務省

    担当課等
    総合通信基盤局電気通信事業部事業政策課

    内外からの規制緩和要望等に対する検討状況(中間公表)

    ■措置済み・措置予定  □検討中  □措置困難  □その他  □記載なし

    1. 第一種電気通信事業者は、国民生活等に不可欠な公共性の高いサービスを提供する事業である。そうした公共性を担保する上で、事業開始における許可制や約款認可制をとっている。第二種事業者については、事業開始において登録・届出制がとられる等、事業運営にあたっての相対的な自由度が大きくなっている。このように事業区分についてはそれぞれの事業特性に応じて、明確で分かりやすい電気通信事業の枠組みとしてセットされたものであり、基本的に維持することが適当。
    2. 電気通信審議会IT競争政策特別部会第一次答申を踏まえ、電気通信事業者の市場支配力に着目した支配的事業者制度を導入し、支配的事業者による市場支配力の濫用を防止・排除するための措置等を講ずるとともに、非支配的事業者に対しては、利用者利益を確保した上で規制緩和を行なう予定。
    3. 電気通信事業者のネットワーク構築の柔軟性の一層の向上を図るため、従来の一般利用者を対象とした電気通信役務と異なる専ら他の電気通信事業者を対象とした電気通信役務(卸電気通信役務)について、事業者間の個別契約に基づく柔軟な提供を可能とするための措置を講ずる。
      事業者の経営判断に基づくネットワーク構築の柔軟性を高める措置としては、一種事業者がその一部について回線再販売を行ない、全体として一種事業として運営することについて、昨年11月に必要な省令改正を行ない、可能としている。また、一種と二種を兼業する場合の別会社要件の撤廃について、昨年9月1日に実施済み。

    中間公表に対する評価と再要望

    1. IT革命を推進するためには、IT有効活用の基盤となる情報通信サービスが利用者ニーズに即応して低廉・多様に提供されることにより、情報通信市場が拡大して事業者間のさらなる競争を促し、料金の低廉化、多様化がより一層進む、という好循環を形成していく必要がある。そのためには、事業者に設備変更許可などの事前規制を課し、事業運営の適正化・合理化を図る法体系から、利用者の利益と自由かつ公正な競争の確保を目的とする法体系へと転換する必要がある。その際、設備保有に着目して回線調達方法を制約する枠組みではなく、市場支配力の有無に着目した体系とし、市場支配力がない場合には、原則自由で、問題が生じた場合、業務改善命令をはじめとする事後チェックの仕組みを充実させるべきである。
      なお、欧米では、設備に着目して事業者の回線調達方法を制約する規制はなく、市場支配力を有する事業者に対する必要最小限度の規制とそれ以外の事業者における自由な事業展開を基本とした法制が整備されている。
    2. 設備保有の有無に着目した一種・二種事業区分に基づく事前規制を抜本的に見直さないままでは実質的な規制強化となる。支配的事業者規制の導入にあたっては、事業者の事業運営の適正化等を図るための事前規制を抜本的に見直すべきである。
    3. 電気通信事業者のネットワーク構築の柔軟性の一層の向上を図るため、卸電気通信役務を導入するとしているが、そもそも、事業者を区分して回線調達方法を制約していることが問題である。本来、回線設備の設置、再販売、アンバンドル、「芯線貸し」、「帯域貸し」の組み合わせは事業者が自己責任に基づく経営判断として行なうものであり、行政が制約を課すべきではない。利用者から見ても、一種事業と二種事業のサービス内容や事業特性に大差はなく、また、一種事業者にも自由かつ機動的に多彩なサービスを展開することが期待されており、設備設置に着目して事業者を区分して回線調達方法を制約する必要性は見当たらない。事業者が自由に創意工夫を凝らしたサービスを展開でき、利用者による自由なサービスの選択が可能となるよう、回線調達方法を制約している一種・二種事業区分を撤廃すべきである。
    4. 主要国に存在しない、各方面から批判の多い一種・二種事業区分により生じた問題に対応するため、海外に例を見ない卸電気通信役務制度を新たに導入して、規制を更に複雑化するのは好ましくない。事業者の回線調達方法を自由化すれば、卸電気通信役務制度の導入は不要である。


  3. 「特定無線設備」および「端末機器」における自己適合宣言方式の導入
  4. 規制改革要望(2000年10月17日)

    機器等を製造もしくは供給する者が技術基準に適合していることを自ら宣言する方式を認めるべきである。

    所管官庁
    総務省

    担当課等
    総合通信基盤局電気通信事業部電気通信技術システム課、電波部電波環境課

    内外からの規制緩和要望等に対する検討状況(中間公表)

    □措置済み・措置予定  □検討中  ■措置困難  □その他  □記載なし

    1. 電気通信分野では、電波の混信の防止や電気通信サービスの安全・信頼性の確保等の観点から、「特定無線設備」及び「端末機器」について、国が指定した公正・中立な機関による基準認証制度が設けられ、技術基準への適合が確保されている。
    2. 「特定無線設備」及び「端末機器」の基準認証制度については、同一設計の機種ごとに認証する制度を導入するなど、制度の簡素合理化を図っており、これに伴い、処理期間の短縮、手数料の軽減が行なわれている。
    3. 自己宣言方式の導入については、万一技術基準に適合しない機器が使用されると、他の通信への混信を与えたり、電気通信ネットワーク全体に障害を与えるなど、国民生活や社会・経済活動の広範な範囲にわたり重大な影響を及ぼす可能性が大きいことが予想されるため、慎重に検討すべきものである。
    4. なお、EUでは、例えば無線設備については、製造業者が自ら適合マークの表示を施し、販売等を行なうためには、第三者機関が行なう試験を受ける等の手続きを経ることが必要とされている。米国では、電話やファックス等の公衆電気通信回線に接続する機器についてのみ、FCCが指定する第三者機関による認証が義務付けられている。米国においては試験データを提出することにより認証が得られる方式を採用しているとあるが、わが国においても、認定点検事業者又は認定試験事業者として総務大臣の認定を受ければ、製造業者等であっても、自ら行なった試験のデータを提出することにより、技術基準適合証明又は技術基準適合認定の審査の一部を省略することが可能。

    中間公表に対する評価と再要望

    1. 企業が急激な技術革新と市場ニーズの変化などに迅速に対応できるよう、自己適合宣言方式を導入し、技術基準の適合についても事前規制から事後チェック型に転換する必要がある。技術基準が明確であれば、技術基準への適合を民間企業自身が判断することは可能である。仮に、技術基準に適合しない機器が市場に投入された場合、かかる行為は、製造者・供給者の市場でのマイナス評価に直結する。このため、国指定の機関による基準認証制度でなくとも、技術基準への適合は、事後チェックで十分確保できる。
    2. ITSや国際標準化が進められているIMT-2000などは、今後需要の増大が予想されている。企業には、国際競争力確保の観点からも、より早く良質な機器をより低コストで提供することが期待されている。新分野の円滑な発展を図る観点から、技術基準の証明や認定の手続に要する時間・費用等の制約をなくす必要がある。
    3. 平成11年3月には、(1)同一設計の機種ごとに認証する制度、ならびに(2)認定された民間事業者が測定したデータを活用する制度が導入された。しかし、これらは実質的に制度の簡素合理化に貢献していない((1)は、実態的に従来行われていたものを制度的に担保したもの。(2)の認定を受けるためには、新たに設置された認定点検事業者等制度ならびに認定試験事業者等制度に則って、指定資格のある要員の確保および測定器の較正義務が課せられ、コストが嵩むことから、(2)の活用は極めて限られたものに止まっている)。
    4. 米国、EUでは、技術基準に示された試験項目に基づき、製造者・供給者が、自らまたは第三者試験機関によるテストを行い、そのデータをもとに自身で適合を宣言することが既に可能になっている。国際競争力確保の観点からも、わが国において自己適合宣言方式を導入することは急務である。
      (米国の場合)
      携帯電話などの無線機器については、FCCから技術基準適合証明証の交付を受けることが必要。製造者または供給者は、自らもしくはNIST1指定試験機関を通じてデータを収集し、その結果をFCCに提出する(当該指定試験機関は、データ収集を行うのみで認証を行うことはない)。FCCは、申請フォーム上の確認を行った上で、証明証を交付している (実質的な自己適合宣言)。
      1 National Institute of Standard and Technology(NIST)。商務省の下部組織。
      (EUの場合)
      EUでは、試験項目は、EU統一規格もしくは加盟国規格(政府が指定する第三者機関が決定)によって定められている。製造者もしくは供給者は、当該項目に従って、試験データを取り、自ら技術基準への適合を宣言できる。製造者もしくは供給者は、試験データの収集を第三者試験機関に委託することもできるが、この場合でも、当該第三者機関の試験データをもとに自己適合宣言を行うことが可能となっている(第三者機関の試験を受ける等の手続を経ることは、義務付けられていない)。


  5. 税務関連書類の電子保存制度の改善
  6. 規制改革要望(2000年10月17日)

    請求書、領収書、申込書などをスキャナー等で読み込んだイメージ・データでの保存を可能とするとともに、電子帳簿保存法適用にあたっての承認基準の明確化・申請手続きの簡素化(電子認証を利用したインターネット経由での申請を含む)、システム関連の保存義務書類の削減等を図る。

    所管官庁
    国税庁

    担当課等


    内外からの規制緩和要望等に対する検討状況(中間公表)

    □措置済み・措置予定  □検討中  □措置困難  □その他  ■記載なし


    中間公表に対する評価と再要望

    制度的に税務関連書類の電子保存が認められたにも係わらず、現行制度の下では、幅広く電子保存を行なうことができず、IT化のメリットを十分には享受できない。因みに、米国では、スキャナー等で読み込んだイメージ・データによる保存が認められている。
    例えば、損害保険業界の場合、申込書等の原始証憑の電子保存が認められていないため、税務関連書類の保管に関わるコストが年間50億円かかっている、という試算もある。


  7. ITS(高度道路交通システム)の省庁横断的推進【新規】
  8. 規制改革要望(2000年10月17日)


    所管官庁
    経済産業省、総務省、国土交通省、警察庁

    担当課等


    内外からの規制緩和要望等に対する検討状況(中間公表)

    □措置済み・措置予定  □検討中  □措置困難  □その他  ■記載なし


    中間公表に対する評価と再要望

    ITS推進に向けて、政府は関係省庁連絡会議を設置しているものの、個々のプロジェクトについては、経済産業省、総務省、国土交通省道路局、国土交通省自動車交通局、警察庁の省庁毎、局毎に実施されていることが多く、相互の連携が不十分である。
    このため、例えば交通情報の収集に関しては、警察庁が一般道にセンサーを配備しているが、橋梁上は国土交通省の管轄であることから、センサーの配備が行われず、VICS情報の収集が不可能となっているケースがある(国土交通省は、自動車専用道路にセンサーを配備)。
    また、安全運転の支援に向けてドライバーに関連情報を提供する観点から、国土交通省道路局においては走行支援システム、国土交通省自動車交通局においては先進安全自動車、警察庁においては安全運転支援システムなどの研究開発が別々に行われている。
    従来の縦割りの取り組みを前提にするのではなく、国民・利用者の視点からITS推進体制を再構築すべきである。具体的には(1)歩行者関連、(2)道路交通環境対策(通常時の交通)、(3)救急・緊急事態対応、(4)道路交通情報・交通需要管理の分野毎に横串を刺して、分野毎に推進の責任体制を明確化するとともに、連携強化を図るべきである。
    特に、連携不足から生じている類似プロジェクトの整理統合を行うとともに、ITSのインフラ技術についても、効率性、コスト・ベネフィットの観点から省庁横断的な検討を行い、決定することとすべきである。


  9. 放送事業における外資規制の緩和
  10. 規制改革要望(2000年10月17日)

    電波法、放送法により、(1)日本の国籍を有しないもの、(2)外国政府またはその代表者、(3)外国の法人または団体、(4)法人または団体であって、(1)〜(3)に該当するものが業務を執行する役員である場合、またはこれらの者がその議決権の5分の1以上を占める場合(受託放送事業者にあっては、(1)〜(3)に該当する者が、その代表者である場合、またはその役員の3分の1以上、もしくは議決権の3分の1以上を占める場合)には、放送局の免許、委託放送事業者の認定は与えられない。
    議決権制限を、「外国人によって代表される特定法人・団体によって議決権が5分の1以上占められる場合」とすべきである。

    所管官庁
    総務省

    担当課等
    情報通信政策局放送政策課

    内外からの規制緩和要望等に対する検討状況(中間公表)

    □措置済み・措置予定  □検討中  ■措置困難  □その他  □記載なし

    放送は、(1)国民共有の財産である有限希少な電波を使用する、(2)大きな社会的影響力を有することから、外資規制を設け、自国民の利益を確保することとしている。具体的には、個々の外国人等が有する議決権を合算して、外国人等の議決権割合が5分の1(受託放送事業者にあっては3分の1)以上に達している会社については、放送局の免許または委託放送事業者の認定を付与していない。特定の法人・団体の有する議決権に基づき、外国人等の議決権割合を判断することは、個々の外国人等が有する議決権割合の合計に事実上の制限がなくなることから、外資規制の目的を達成することができず適当ではない。なお、諸外国においても、個々の外国人等が有する議決権を合算している。

    中間公表に対する評価と再要望

    本格的なデジタル放送時代を迎え、放送法における外資規制の緩和は、放送事業への新規参入を促進し、技術革新に伴う多様なサービス提供を実現させ、市場競争力の強化を通じて放送事業の発展に貢献する。
    従って、外資規制は、外国人株主の経営への実質的な影響力に配慮したものに改めるべきである。


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