[経団連] [意見書]

医療制度の抜本改革を求める

2001年10月22日
(社)経済団体連合
  会 長  今 井   敬
日本商工会議所
  会 頭  山 口 信 夫
日本経営者団体連盟
  会 長  奥 田   碩
(社)経済同友会
  代表幹事 小 林 陽太郎

 2002年度医療制度改革においては、中長期的に持続可能な医療保障制度の構築と、良質で効率的な医療の実現を図ることが強く求められる。しかし、厚生労働省の「医療制度改革試案」は、医療提供体制の効率化と、医療の質の向上に向けた具体的な方策の進め方が不明確であるため、患者・保険者の負担増のみが先行することは明らかであり、不十分である。とりわけ、医療保険制度の基盤を揺るがしている高齢者医療制度の道筋が示されていないことは遺憾である。このままでは長年積み残されてきた課題の抜本的な解決は望めず、国民の不安感を完全に払拭するものとはならない。

 経済界としては、国民の意見を十分に汲み取りつつ、総理のリーダーシップの下に、抜本改革の名にふさわしく、国民の医療に対する信頼を得られるような成案をとりまとめ、断行していただくことを強く望むものである。決して改革を遅らせることは許されない。

  1. 公的医療保険で賄う医療費について、その守備範囲の見直しを行うとともに、老人医療費のみならず、医療費総額について、経済の動向を踏まえた実効ある伸び率管理制度を導入すること。

  2. 診療報酬については、近年の賃金水準や物価水準の動向に鑑み、マイナス改定とすること。併せて、医療の標準化を急ぎ、診療報酬の包括化を推進すること。

  3. 世代内・世代間の公平な負担に基づく新たな高齢者医療制度の実現を図るため、現役世代の保険原理を歪めている老人保健拠出金制度の廃止に向けて、その道筋を明確に示すとともに、退職者医療制度についても存在意義を見直すこと。

  4. 医療制度の効率化に向け、経済財政諮問会議の「骨太の方針」で示された「医療サービス効率化プログラム」に沿って、具体的な数値目標やスケジュールを含めた改革工程表を作成した上で、進捗状況を国民に開示しつつ、早急な推進を図ること。

  5. 保険者機能の強化を図るため、医療のIT化の推進と情報開示の徹底、規制の見直しを短期間に集中的に実施すること。

以 上

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