[経団連] [意見書]

「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書(公開草案)」に対するコメント

2002年5月21日
経団連経済法規委員会
 企業会計部会

適切なディスクロージャー制度の整備を進め、わが国資本市場の国際競争力を維持・強化させる観点から、企業会計審議会固定資産部会では、固定資産の減損に係る会計基準の検討が進められてきた。当会では、同審議会から2000年6月に公表された「固定資産の会計処理に関する論点の整理」及び2001年7月に公表された「固定資産の会計処理に関する審議の経過報告」に対し、コメントを提出したほか、審議会での意見反映に努めてきたところである。本年4月19日に公表された「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書(公開草案)」に関し、わが国の固定資産を巡る実態に合致した明確な基準となるよう以下の通りコメントする。

1.将来キャッシュ・フローの見積もりについて

減損損失認識の要否判定のための将来キャッシュ・フローの見積もりに関し、資産又は資産グループ中の主要な資産の経済的残存使用年数が20年を超える場合等には、21年目以降に見込まれる将来キャッシュ・フローに基づいて20年経過時点の回収可能価額を算定し、加算できることが前文において明らかにされている。この点に関し、会計基準又は注解においても明記すべきである。

2.投資不動産の時価情報の注記について

投資不動産の時価情報の注記は今後の課題とされているが、時価把握の困難性や情報の有用性の問題から、開示は適当ではない。

3.適用指針について

企業会計基準委員会において公開草案に示された各事項の適用指針を検討する際には、これまでの議論を踏まえ、企業の実態が適切に反映される指針となるよう、十分な審議が必要である。特に資産のグルーピングに関しては、各社の経営実態に応じた柔軟な取扱いとすべきである。
また、正味売却価額の見積方法に関し、土地を含む固定資産の時価の算定のあり方を明確化することは、減損会計のみならず、わが国会計基準にとっての重要課題である。

4.その他

2000年6月に公表された「固定資産の会計処理に関する論点の整理」では、減損会計とは別に減価償却の処理について指摘がなされている。
すでに企業会計基準委員会の検討課題とされているが、減価償却がわが国企業の財務諸表に与えている影響は甚大であり、現行の税務会計に依存した会計処理を見直す必要がある。
税務上の損金経理要件の撤廃も含め、企業会計上の減価償却のあり方について検討を進めるべきである。

以 上

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