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総務省「端末機器及び特定無線設備の基準認証制度に関する研究会」の「検討の基本的方向性」に対する意見

2002年9月9日
(社)日本経済団体連合会
  情報通信委員会
  通信・放送政策部会
  情報通信ワーキンググループ

日本経団連としては、技術や市場ニーズの変化に対応した新しい電気通信機器を迅速かつ低コストで市場に投入することができるよう、製造者等が自ら技術基準への適合を宣言する方式(以下、「自己適合宣言制度」と記述)の導入を求めてきた。
さる3月末に閣議決定された「規制改革推進3か年計画(改定)」においては、こうした経済界の要望を踏まえて、電気通信機器の基準認証制度への自己適合宣言制度の導入について、平成14年度中に検討し結論を得るとされたところである。既に諸外国では導入が進んでおり、わが国産業の国際競争力を維持・強化するとともに、利用者利益を増大させる観点から、速やかに導入すべきである。
さる8月19日に公表された標記「端末機器及び特定無線設備の基準認証制度に関する検討の基本的方向性」(以下、「基本的方向性」と記述。意見募集の内容については、http://www.soumu.go.jp/s-news/2002/020819_1.html を参照)は、前文において上記と同様の認識を示しているものの、「I.自己適合宣言制度の導入について」において示されている方向性は、「規制改革推進3か年計画(改定)」の基準認証等の見直しの基本的考え方である「企業コストの低減」、「自己責任の重視」の観点から問題があり、自己宣言制度導入の効用を減殺する恐れ大である。
今後の検討にあたっては、下記の意見を十分参酌されたい〔カッコ内の頁は「基本的方向性」の頁を示す〕。

1.「自己適合宣言制度の導入における基本的考え方」(2頁)

「規制改革推進3か年計画(改定)」にあるように、「製品の作り手自体に責任を負わせることが最も確実・効果的に製品等の不具合の発生を抑止する」という自己責任の考え方を制度設計において貫徹する旨を鮮明にすべきである。
自己適合宣言制度は、「基本的方向性」で示された定義を超えて、製品の企画・開発・製造から市場投入までの一連のプロセスにおける品質管理全般に責任を負うことが前提であると認識しており、そうした自己責任の重さと、それを自ら市場に向けて宣言することによる責任の明確さが製造者等の内部規律の強化につながるものと考える。

2.「自己適合宣言制度の対象機器について」(3頁)

認証制度の対象となる全ての電気通信機器を自己適合宣言制度の対象とすべきである。
上記1で述べたとおり、自己適合宣言制度は、自己責任を前提とすることで内部規律を強化し、不具合の発生抑止を図るものであり、「現行の認証制度に比較して事前のチェックが弱くなり、基準不適合機器が使用されるおそれも否定できない」とする根拠に乏しい。また、仮に「基準不適合機器を事後的に市場から排除するための社会的コストが大きなものとなる可能性がある」としても、当該機器を自己適合宣言の対象とすることが、その可能性をどの程度高めるのかについての合理的な説明がなされていない。
そもそも、端末機器の技術基準適合認定制度、特定無線設備の技術基準適合証明制度の対象は、第一種電気通信事業者による接続検査が不要となる簡易な端末設備、免許手続の簡素化等の対象となる携帯用、車載用等の小規模な無線設備にそれぞれ限定されており、自己適合宣言制度を導入するからといって、この上さらに危険度などを勘案して対象機器を絞る必要性は薄いと考える。

3.「自己適合宣言を行う能力の担保」(4〜5頁)

試験データの信頼性や品質管理能力の担保は、製造者等の自己責任に委ねるべきである。
自己適合宣言を行うにあたっては、「基本的方向性」にあるように「信頼のおける試験データを取得する試験能力及び試験を行った機器と同一の規格の製品を生産し続ける能力が必要」であるが、一定の試験能力を有する試験所で実施した試験結果の使用(試験所認定制度の導入)や一定の品質管理能力を義務づけることは、「自己責任が前提となっている自己適合宣言」と矛盾するものである。その上、自己適合宣言を行おうとする者の試験能力および品質管理能力を担保するため、届出や一定の審査を義務づけるに至っては、もはや「自己適合宣言制度」と見なすことはできない。「明確な試験・測定方法」を定めておけば足りるものと考える。
また、自己適合宣言に必要な試験データの信頼性や品質管理能力を担保するため、国際的な標準を活用するか否かは、正に自己責任の下で製造者等が自ら判断すべきものである。
なお、「一定の試験能力を有する第三者試験所の活用」に関して、豪州では、それを条件としている旨が例示されているが、欧米ではそのような条件は付されていない。

4.「基準不適合機器の市場への流通及び使用の防止」(5〜7頁)

「基本的方向性」では、基準不適合機器の流通・使用の防止の問題が自己適合宣言制度導入にあたっての担保措置として論じられているが、これらの課題は、自己適合宣言制度の導入に伴い生ずるというより、むしろ現行の認証制度そのものが抱える課題と認識すべきである。
即ち、適合認定制度の目的は電気通信回線設備の損傷防止等、適合証明制度のそれは電波の混信防止等であって、市場に流通している基準不適合製品への対応などの事後措置については、現行法上、規定されていない。例えば、誤った認証結果に基づいた機器や認証を受けない機器が市場に流通し、使用される恐れがある。したがって、6頁に掲げられている事後措置等については、自己適合宣言を行った機器に限定して検討すべきではない。
また、自己適合宣言を行った機器に関する情報の提供のあり方については、宣言の信頼性を高める観点から最も適切と思われる方法を製造者等が自ら選択し、実施することを基本とすべきである。

以  上

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